贈与税の時効とは【税務署が更正・決定をできる期間の制限】のこと

贈与税の時効について、解説しています。

贈与税の時効は最長7年

もしも、本来「贈与税を払わなくてはいけない」のに払っていなかった。

もしくは支払った贈与税が過少や過大であった。

このような場合、税務署から納税申告について、更正もしくは決定という処分をされます。

更正とは
更正とは納税者の申告内容が間違っている場合で、税務署が税額等を修正することをいいます。

更正には

  1. 増額更正(税額の増加)
  2. 減額更正(税額の減少)

の2つがあります。

決定とは
決定とは申告する必要があるにも係わらず申告をしていない場合に、税務署が税額等を決定することをいいます。

そして、贈与税の時効とは【税務署が更正・決定をできる期間の制限のこと】をいいます。

贈与税の時効
贈与税の時効
贈与税の時効とは、税務署が更正・決定をできる期間の制限のことです。

正式には「更正・決定等の期間制限」といいます。

この更正・決定等の期間制限とは、この期間を過ぎたら税務署は、納税者が納付すべき税額について、訂正したり決定したりすることができない、という制限です。

なので、税金が免除されるという時効ではありません。

税金免除
税金免除
贈与税の時効は、税金が免除されるわけではありません。

時効の期限は

  1. 通常は6年
  2. 悪質な脱税行為の場合は7年

となります。

贈与税の時効の起算日

贈与税の時効の起算日には注意が必要です。

通常、贈与税は贈与があった年の、翌年の3月15日までに納税する必要があります。

なので、贈与税の時効の起算日は贈与があった日ではなく、贈与された年の「翌年の3月15日」からということになります。

3月15日
3月15日
贈与税の時効の起算日は、贈与された年の翌年の3月15日です。

そして、贈与されたという事実は、契約書があるものについては、契約書の効力が発生した日が贈与日となります。

契約書がない場合は、贈与を履行した時です。

現金の贈与であれば、贈与した相手に現金が渡った時となります。

注意点は不動産等の贈与です。

不動産等の贈与は、場合によっては不動産等の登記日が贈与日となる場合があります。

これは意図的な脱税を防ぐためです。

脱税
脱税
脱税防止のため、不動産等の贈与は場合によっては不動産等の登記日が贈与日となります。

例えば、贈与契約書では10年前にとっくに贈与されていたのにも係わらず、所有権移転登記をつい最近した場合、既に贈与されてから7年を経過しています。

所有権移転登記をするまでの10年の間に贈与税を納税していなくても、贈与契約書では「10年前にとっくに贈与されている」ことになっています。

そうなると、贈与税の時効となり(税務署が納税者が納付すべき税額について訂正したり決定したりすることが出来なくなり)、贈与税を納める必要がなくなります。

このような場合は、「不動産等の登記日が贈与日」となります。

ちなみに贈与契約書が、公正証書であろうと関係はありません。

また、孫に20年前に贈与した。

贈与税を払っていないけれども、もう時効だ。

しかし、もしもこの孫への贈与が名義預金に該当した場合には、「贈与税ではなく相続税の対象」となってきます。
(名義預金の詳しい内容は名義預金対策に記載)

贈与税の時効の起算日は問題になりやい論点です。

なので、贈与した日をはっきり確定させるためにも、以下のようなことをしましょう。

  1. 贈与契約書を作成する(出来れば確定日付もいれる)
  2. 金銭の贈与の場合は、銀行振込などを利用し出来るだけ証拠を残す
  3. 孫名義の場合は、孫自らが管理し名義預金と認定されないようにする

また、贈与されて贈与税がかかる。

その場合には、贈与税の時効を考える前に、きっちり贈与税を納税しましょう。

動画で解説

贈与税の時効について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

贈与税の時効

動画内容

贈与税にも時効があります。

たとえば債権の時効は、債権者側が請求する権利を失ってしまう期限をいいます。

犯罪の時効であれば、検察が控訴を提起できなくなる期限をいいます。

では、贈与税の時効がいつなのかというと、税務署が納税者に対して、更正や決定という処分をすることができなくなる期限をいいます。

更正とは、納税者の申告内容が間違っているときに、その金額を修正する処分をいいます。

決定とは、申告する必要があるにもかかわらず申告をしていない相手に、税務署が納税額を決めることをいいます。

つまり、税務申告があった相手に納税させるときは更正、税務申告がなかった相手に納税させるときは、決定という処分になるということです。

この処分ができる日に期限があって、それを過ぎると、税務署から納税者に、納税を求めることができなくなります。

これが贈与税の時効です。

税金の支払いそのものが免除される、というわけではなく、それを請求する国の権利がなくなる、というものになります。

それでは贈与税の時効について解説します。

贈与税の時効は、通常は6年ですが、悪質な脱税行為の場合は7年です。

では、一体いつが時効の起算日となるのでしょうか。

贈与税は贈与があった年の、翌年3月15日までに納税しなければなりません。

ですので、贈与税の時効の起算日は贈与があった日ではなく、贈与された年の翌年の3月15日になります。

では、贈与があった年はどのように考えればよいのでしょうか。

まず、贈与について契約書があるときは、契約書の効力が発生した日が贈与日となります。

契約書がない場合は、贈与を履行した日です。

たとえば、契約書を作成せずに現金の贈与をしたときは、贈与した相手に現金が渡った日が、贈与日になります。

ただし、不動産の場合は、不動産の登記日が贈与日となる場合があります。

例えば、贈与契約書では10年前に、とっくに贈与されているようになっているけれど、つい最近になって、所有権移転登記をしたという場合があったとします。

通常どおりにこれを判断すれば、贈与があった年は10年前ですから、贈与税は時効です。

しかし、これが意図的な脱税である可能性もあります。

そのような場合は、不動産の登記日が贈与日となることがあります。

こうなると、贈与契約書が公正証書であろうと関係ありません。

それから、相続税との関係にも注意が必要です。

たとえば、祖父が20年前、内緒で孫名義の口座を作り、500万円を入金したとします。

この場合、贈与税はもう時効だから安心といえるでしょうか。

これも安易に考えてはいけません。

もし、この預金が名義預金に該当すれば、祖父が亡くなったとき、祖父の相続財産として相続税の課税対象となります。

名義預金については、別の動画で詳しく解説をしています。

このように、贈与の時効は起算日が問題になることがあります。

安易に時効だと思い込んで、納税をしなくていいと判断してはいけません。