
家庭裁判所において、遺言書の検認を受けていないからといって遺言書が無効となるわけではありません。しかし、勝手に開封すると法律による罰則(過料)があるほか、不動産の名義変更などで大きな支障が出ます。検認の重要性と注意点を解説します。
被相続人(亡くなった方)の遺言書(公正証書遺言を除く)を見つけた場合、開封前に家庭裁判所において、遺言書の検認という手続きをする必要があります。
民法において、「封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもと開封しなければならない」と規定されています。

なお、公正証書遺言は検認という手続きは必要ありません。また、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されていた自筆証書遺言も、検認が不要となります。
遺言の検認という手続きが必要な遺言書は、原則として以下の通りです。
この2つの遺言書は被相続人自身が保管しているため、家庭裁判所において、
の確認をしてもらいます。これを「検認」といいます。
家庭裁判所で相続人立会いのもと遺言書を開封し、遺言書の「内容」「形状」「日付」「署名」などを明確に記録することで、相続人に遺言書の存在を証明し、その後の改ざんを防止する目的があります。

ただし、検認はあくまで「遺言書の状態を保全する手続き」であり、「遺言書自体の有効・無効」を判断・証明するものではありません。
そのため、「検認済みだからその遺言書の内容は全て法的有効である」とは限りませんし、「検認を受けていないから遺言書が無効になる」というわけでもありません。
結論から言いますと、誤って検認を受けずに開封してしまっても、遺言の内容自体は無効とはなりません。また、開封してしまった人の相続権がなくなることもなく、通常通りに相続できます。

しかし、「無効にならないから勝手に開けても問題ない」というのは大きな間違いです。
家庭裁判所外で勝手に封印のある遺言書を開封した場合、民法第1005条の規定により「5万円以下の過料(罰金のようなもの)」に処される可能性があります。
さらに、名義変更や不動産登記などの相続手続きにおいて、検認を受けていないと以下のような手続きが進められなくなります。
万が一、家庭裁判所の検認を受ける前に遺言書を開封してしまった場合でも、事後から検認を受けることは可能です。そのまま放置せず、必ず家庭裁判所へ検認の申し立てを行ってください。

特に注意が必要なのが、不動産の名義変更(相続登記)です。
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から「3年以内」に登記を行う必要があります。
公正証書遺言(または法務局保管の自筆証書遺言)以外の遺言書で相続登記を行う場合、必ず「検認済証明書」が添付されている必要があります。
検認申請は、家庭裁判所へ申し立ててから期日が決まるまでに1〜2ヶ月ほどの時間がかかるケースも珍しくありません。検認を後回しにして手続きが滞り、結果的に相続登記の義務化の期限を過ぎてしまうと、さらに「10万円以下の過料」の対象となる恐れもあります。
相続が発生し、自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけたら、できるだけ早く家庭裁判所へ検認申請を行いましょう。
「遺言書に封がないから、自分に都合の良いように書き換えてしまおう」「自分に不利な内容だから燃やして隠滅しよう」といった行為はどうなるでしょうか。

前述の通り、ただ「誤って開封してしまっただけ」であれば相続権は失われません。しかし、遺言書の内容を意図的に書き換えたり、破棄・隠匿(燃やす、捨てる、隠すなど)したりした場合は全く話が違います。
そのような悪質な行為をした人は、民法の「相続欠格事由」に該当し、相続権を完全に失います。
さらに、私文書偽造罪や詐欺罪などの刑事罰で処罰される可能性も極めて高くなります。
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