
被相続人(亡くなった方)の遺言書が見つからない、作成していたかどうかも分からない。そんな時は「公証役場」と「法務局」の2つの機関で、遺言書が保管されていないか検索・確認をしましょう。
遺言書には主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。遺言書が見当たらない場合、現在は以下の2つの公的機関で検索を行うのが一般的です。
どちらか一方だけでは確認漏れが発生する可能性があるため、両方の機関で照会を行うと確実です。
日本公証人連合会が運営する「遺言検索システム」を利用することで、平成元年(1989年)以降に作成された公正証書遺言および秘密証書遺言の検索が可能です。

「公正証書遺言」の場合は内容の確認および謄本の交付まで受けられますが、「秘密証書遺言」の場合は「作成した事実」があるかどうかのみの確認となります(原本は本人が保管しているため)。
なお、遺言書の検索自体は全国どの公証役場でも可能ですが、遺言書の謄本(コピー)の交付を受けるには、実際に作成された公証役場へ請求する必要があります。遠方の場合は、郵送での交付請求も可能です。
誰でも検索できるわけではなく、法定相続人などの利害関係者に限られます。一般的に以下の書類が必要となります。
※公証役場によって運用が異なる場合があるため、事前に電話等で確認することをおすすめします。
自筆証書遺言は、以前は自宅の金庫や仏壇などから自力で探し出すしかありませんでした。しかし、2020年(令和2年)7月より「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が施行され、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)で預かる制度が始まりました。
これにより、相続人は全国の法務局に対して、被相続人の遺言書が保管されているかどうかを検索する「遺言書保管事実証明書」の交付請求を行うことができます。
もし保管されていることが判明した場合は、「遺言書情報証明書」を請求することで、遺言書の内容を確認することができます。この制度を利用して保管された遺言書は、家庭裁判所での「検認」手続きが不要になるというメリットもあります。
遺言書の有無は、相続財産の分割や税務申告に多大な影響を与えます。
もし遺言書が存在することを知らずに相続人間で遺産分割協議を行い、後から遺言書が発見された場合、原則として遺言書の内容が優先されるため、せっかくまとまった遺産分割協議が無効となることがあります。

例えば、遺言によって法定相続人以外の人に財産を譲る「包括受遺者(※)」が指定されていた場合、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を持ちます。そのため、包括受遺者を除外して行われた遺産分割協議は無効となります。
協議のやり直しだけでなく、前提が崩れることで当初想定していた相続税対策が無駄になったり、修正申告等の手間が発生する恐れがあります。後々のトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議を進める前に、まずは公証役場と法務局での「遺言書の確認」を必ず行いましょう。
(※)包括受遺者とは
遺言によって、無償で財産を法定相続人以外の他人に残すことを「遺贈」といいます。遺贈のうち、財産を特定せず「全財産の3分の1」などの割合で与えることを「包括遺贈」といい、それを受け取る人を包括受遺者と呼びます。