
家族が亡くなった際に行う「準確定申告」の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内です。生前に確定申告が必要だった方の所得を計算し、相続人が代わって申告や納税を行う重要な手続きとなります。
確定申告を行う義務がある方が年の途中で亡くなった場合、代わって相続人が申告手続きをしなければなりません。
この特別な申告手続きのことを「準確定申告」と呼びます。
申告の期限は、相続の開始があったことを知った日(ご家族が亡くなったことを知った日)の翌日から起算して4か月以内と定められています。
亡くなった年の1月1日から死亡した日までの所得を計算し、亡くなった方の納税地を所轄する税務署へ申告書を提出します。
現在はスマートフォンやパソコンからe-Tax(電子申告)での提出も可能です。
代表者の相続人がe-Taxで送信し、他の相続人がシステム上で承認手続きを行うといった流れで完結できるため、相続人が遠方に住んでいるケースなどでは非常に便利です。
ただし、本来確定申告をすべき方が、その年の確定申告期限(原則3月15日)を迎える前に、前年分の申告を済ませずに亡くなってしまうケースもあります。
このような場合は、前年分の確定申告と本年分の準確定申告のどちらも、亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内が提出期限となります。
申告の結果として税金が発生する場合は、この期限内に納付も済ませる必要があります。
一方で、納めすぎた税金が戻ってくる還付申告となる場合は、必ずしも4か月以内に提出しなければならないという決まりはありません。
還付申告の期限は、亡くなった日の翌日から起算して5年以内となります。
そのため、還付のみであれば焦って4か月以内に手続きをしなくても問題ありません。
相続人が複数いる場合は、原則として全員が連署して1つの準確定申告書を提出することになります。
しかし、他の相続人に申告内容をしっかりと通知し、書類に他の相続人の氏名を付記すれば、各相続人が別々に提出することも認められています。
提出先は手続きを行う相続人の住所地ではなく、あくまで「亡くなった方の納税地を所轄する税務署」です。
通常は亡くなった方の最後の住所地が納税地になりますが、個人事業を営んでいた場合は事業所の所在地に設定されていることもあるため、過去の申告書の控えなどで事前に確認しておきましょう。
通常の確定申告は1年単位(1月1日〜12月31日)で計算しますが、準確定申告は1月1日から亡くなった日までの期間で計算を行います。
このとき、事業用資産の減価償却費などは月割りで計算することになりますが、売上や経費自体は「亡くなる日までに実際に発生・支払った金額」を集計して計算します。

また、各種の所得控除についても、亡くなった日までに実際に支払いが済んでいる金額が控除の対象となります。
例えば、以下のような控除は生前に支払った分のみを計算に含めます。
亡くなった後に相続人が支払った入院費などは、準確定申告の医療費控除には含めることができません。
これらは相続税の計算上、マイナスの財産(債務控除)として差し引くことになります。
配偶者控除や扶養控除が適用できるかどうかの判定についても、死亡日時点の状況をもとに判断することになります。
亡くなった方が青色申告で個人事業を営んでおり、相続人がその事業を引き継いで引き続き青色申告を利用したい場合は、別途手続きが必要です。
この場合、相続人自身の住所地を管轄する税務署長へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。
提出期限は、亡くなった時期によって以下のように変動します。
特に年末近くに亡くなったケースでは、準確定申告の提出期限(4か月以内)よりも青色申告承認申請書の期限のほうが早く到来することがあるため注意が必要です。

なお、亡くなった方がインボイス発行事業者などの消費税の課税事業者だった場合は、消費税の準確定申告も同じく4か月以内に行う必要があります。
さらに、インボイス発行事業者が亡くなった事実を知らせるため「適格請求書発行事業者の死亡届出書」という書類も税務署へ提出します。
事業を引き継いで引き続きインボイスを発行したい場合は、相続人ご自身で新たに「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要もあるため、早めに対応するように心がけましょう。
この青色申告承認申請書の手続きは、悲しみの中で慌ただしく過ごすうちにうっかり忘れてしまいやすいポイントです。
青色申告には、純損失の3年間繰越控除や最大65万円の特別控除、青色事業専従者給与などの大きな税務上のメリットがあります。
基本的に、生前の状態で確定申告が必要だった方は、亡くなった後も準確定申告が必要になります。
概ね以下のようなケースに当てはまる場合は、準確定申告書の提出義務があると考えましょう。
会社員やアルバイトなどで、死亡時に年末調整が完了している場合であれば、原則として準確定申告は不要です。
ただし、生前に多額の医療費を支払っていた場合などは、準確定申告(還付申告)を行うことで税金が戻ってくる可能性があります。
準確定申告が必要かどうかご自身での判断が難しい場合は、東京新宿神楽坂の都心綜合会計事務所までお気軽にご相談ください。

準確定申告の手続きや期限について、税理士法人 都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。
動画内容
準確定申告とは、亡くなった方の所得について、相続人が代わりに行う、確定申告のことです。
準確定申告の対象になるのは、亡くなった人の1月1日から、死亡日までの所得になります。
ただし、前年の確定申告の申告期限よりも前に亡くなり、前年の確定申告をしないまま、亡くなってしまった方の場合は、前年分の申告も、相続人が行わなければなりません。
確定申告の期限は、通常3月15日ですから、それよりも前に亡くなった方の場合、前年と死亡した年の、2つの準確定申告を行うパターンもある、ということです。
ただし、亡くなった方の全てに、準確定申告が必要になるわけではありません。
亡くなった方に、準確定申告が必要となるケースは、通常の確定申告が必要となるケースと同じです。
たとえば亡くなった人が個人事業を営んでいた場合や不動産賃貸業を営んでいた場合、また、亡くなった方が会社から給与をもらっている方であれば、給与収入が2,000万円を超えている場合、給与所得や退職所得以外に20万円を超える所得があった場合、亡くなったときの年末調整が行われていない場合などが準確定申告が必要になる主なケースとなります。
続いて、準確定申告を行う人について、お話をします。
準確定申告を行うのは、亡くなった方の相続人です。
相続人が2人以上いる場合は、全員で1通の準確定申告書を提出するか、それぞれが個別に提出するか、選択することができます。
ただし、個別に提出する場合、内容がバラバラにならないよう、他の相続人に申告した内容を通知し、準確定申告書には、他の相続人の氏名などを書いて、提出する必要があります。
続いて、申告期限についてお話しします。
準確定申告の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内です。
前年の準確定申告を行う場合も、その期限となります。
準確定申告書の提出先は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署となることが、ほとんどですが、提出先を事業所の所在地にしている場合もあるので、個人事業を営んでいた方の場合は、過去の確定申告書などから、提出先を確認しましょう。
最後に、相続人の青色申告の手続きについて、お話をします。
亡くなった人の個人事業を、相続人が引き継ぐ場合、その相続人は、自分で税務署に青色申告の承認申請書を提出する必要があります。
理由は、青色申告者の地位が、相続では引き継がれないからです。
ただし、その提出期限が、亡くなった方の死亡日によって、変則的となることに、注意をしてください。
亡くなった日が、1月1日から8月31日の場合、青色申告の手続きの期限は、相続開始日から4か月以内となります。
注意が必要なのは9月以降で、亡くなった日が9月1日から10月31日の場合、手続きは、その年12月31日が期限となり、亡くなった日が、11月1日から12月31日の場合は、翌年2月15日が期限となります。
9月以降に亡くなった場合は、期限が特定の日付に固定されているため、亡くなった日によっては、準確定申告の提出期限よりも、青色申告の承認申請の期限の方が、短くなることがございます。
提出し損ねてしまうと、翌年まで、青色申告の特典を受けられないため、提出期限には十分注意が必要です。
準確定申告は、自分以外の人の確定申告ですから、ご自身の確定申告を毎年している人であっても、なかなか難しいと思います。

準確定申告が必要かどうか、また、どのように行ったらよいのかなど、迷われたときは、専門家に相談しましょう。