各金融機関ごとに確認し、ネット銀行や名義預金にも注意
今回は、被相続人名義の預金(ネット銀行や名義預金も含む)の確認方法や注意点について、解説しています。
被相続人名義の預金を確認
被相続人の相続開始時点での預金残高の確認には、通帳に記帳済みの残高ではなく、金融機関が発行する残高証明書にて確認します。

金融機関が発行する残高証明書にて、被相続人の相続開始時点での預金残高の確認をします。
なので、被相続人に複数の金融機関の口座がある場合には、金融機関ごとに被相続人の相続開始時点での預金残高がいくらあるかを調べる必要があります。
相続が発生した場合、被相続人の
- 通帳
- キャッシュカード
- 金融機関
- 支店名
- 口座の種類
- 口座番号
などを把握しましょう。金融機関に照会し、相続開始時点での残高証明書を入手するためにも必要な情報となります。
通帳がない!確認出来ない。どうすれば?

大変!通帳が見当たらない。確認出来ない?
ご安心下さい。絶対に通帳が必要かと言うと、絶対に必要というわけではありません。
被相続人との関係を証明できる書類(戸籍謄本など)があれば、金融機関に照会し、口座情報を記載した相続開始時点での残高証明書を入手することが出来ます。
(逆に言うと、通帳だけあっても、口座情報を記載した相続開始時点での残高証明書を入手することは出来ません。)
ちなみに、金融機関に口座があるかどうか不明の場合でも、金融機関に照会し、口座があれば口座情報を記載した相続開始時点での残高証明書を発行してもらえます。

口座があるか不明でも、金融機関に照会し、口座があれば相続開始時点での残高証明書を発行してもらえます。
通常、残高証明の発行には数週間かかります。通帳が見つからない場合に、通帳を発見してからでは、相続開始時点での残高証明書の入手が遅くなります。
通帳がなくても、被相続人の口座がありそうな金融機関には照会をしましょう。
そして、最近ではネット銀行を利用されている方が多いです。ネット銀行は通帳がないので、相続人の方が存在を把握しづらく、相続税の申告漏れが発生しやすいという特徴があります。

ネット銀行への預金は、相続税の申告漏れが発生しやすい。
後になってからネット銀行に多額の預貯金が判明した場合には、
- 遺産分割協議のやり直し
- 相続税対策の見直し
- 相続税の申告のやり直し
などが発生します。相続手続きの観点からも、生前にネット銀行を利用しているかどうかを確認するのがベストです。
あと、預金に関しての注意点と言えば、なんといっても名義預金です。
名義預金とは、名義は子供や孫になっていても、実態は被相続人が管理・運用などをしている口座です。
詳しくは名義預金の認定を回避するには贈与を受けた本人が口座を管理するに記載しています。
- 通常の預貯金
- ネット銀行の預貯金
- 名義預金
預金の確認といったら、まずはこの3つを意識しましょう。
被相続人名義の預金残高確認方法
まずは、各金融機関所定の残高証明依頼書などを取り寄せます。
もしくは、各金融機関へ行って、相続が発生した旨と、被相続人名義の相続開始時点での残高証明書を取得したい旨をお知らせすれば、各金融機関所定の必要書類をお渡しされます。
そして、記入方法などについては各金融機関ごとに異なってきます。

各金融機関ごとに所定の残高証明依頼書があり、記入方法も異なってきます。
残高証明依頼書への記入や押印が済み、持参する場合には、必ずしも取引支店に行く必要はありません。該当の金融機関の最寄りの支店でも、書類の受付はしてくれます。
また、持参ではなく、郵送することも可能です。(その場合には、取引支店へ郵送しましょう。)
残高証明依頼書以外に必要な書類
残高証明依頼書と併せて提出が必要な書類は、おおむね以下の通りです。なお、戸籍謄本などは原本提示が必要ですが、依頼すれば原本を還付してもらえます。
なので、1つの戸籍謄本を使いまわして、相続開始時点での残高証明書を取得をすることは可能です。
残高証明依頼書と併せて提出が必要な書類一覧は以下の通りです。
- 被相続人の死亡の事実が分かる戸籍謄本
- 相続人代表の現在戸籍(被相続人との関係が分かるもの)
- 委任状(代理人が請求する場合)
- 印鑑証明書(代理人が請求する場合は代理人の印鑑証明書)
発行後3か月(あるいは6か月)以内のものなど、各金融機関によって必要な書類の条件が異なってきます。
一度取得したのに、発行後3か月過ぎているのでダメな場合は、もう一度取得する必要があります。
これらは各金融機関ごとの対応となります。なので、手続きには時間がかかりやすいです。

相続開始時点での残高証明書を取得する手続きは時間がかかります。
相続が発生した!出来るだけ早めに、被相続人の相続開始時点での残高証明書の取得に取り掛かりましょう。
そして、このような相続手続きが面倒な場合、都心綜合会計事務所へお任せください。
相続税の申告、相続税対策の相談はもちろん、このような相続手続きも代行致します。
相続税の申告や手続きは、東京新宿神楽坂の49年の歴史があり、相続専門部門を有する都心綜合会計事務所へお任せください。
お電話お待ちしております。(なお、お電話での相続相談は承っておりません。)
確認方法や注意点を動画で解説
被相続人の預金残高の確認について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・天野敬佑が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
相続財産を確定するために、亡くなった方の預金は亡くなった日の残高確認が必要です。
記帳ではなく、金融機関が発行する残高証明書で確認しましょう。
亡くなった方が、いくつかの金融機関に口座がある場合には、金融機関ごとに残高証明を出してもらいます。
通帳やキャッシュカードから、金融機関名や支店名、口座の種類と口座番号を調べましょう。
残高証明書をとるのに必要な情報になります。
通帳が見つからない場合でも、亡くなった方との関係を証明できる戸籍謄本などの書類があれば、金融機関で残高証明書をとることが出来ます。
また口座があるか不明な場合でも、必要な書類を持っていき相談をすると、口座があれば残高証明書を発行してくれます。
残高証明書の発行には普通、数週間かかりますので、もし通帳が見つからない場合には、むやみに探し続けるよりも、口座がありそうな金融機関に聞いてみることをおすすめします。
最近ではネット銀行を利用している方も多いです。
ネット銀行は通帳が無いため、他の人には口座があるかわからない場合もあります。
相続税の申告が終わった頃に、ネット銀行に多額の預貯金があったとわかると、遺産分割協議や相続税対策、相続税の申告のやり直しなどが必要になることもあります。
このため、できれば生前にネット銀行を利用しているかを確認しましょう。
また、口座名義が子供や孫でも、実際には亡くなった方が管理・運用をしている場合には、「名義預金」として、亡くなった方の財産として扱われます。
相続税の税務調査で最も多く指摘を受けるのが、この名義預金なので注意が必要です。