法定相続人は亡くなった方の親族関係によって変わる
法定相続人とは、民法によって遺産を相続できる権利があると、定められている一定の親族のことです。
遺産をどう分けるかの基準となるだけでなく、相続税を計算する上でも、法定相続人の数はとても重要になります。
法定相続人は亡くなった方の親族関係によって変わります。
![親族関係図](img/sinzoku-kankeizu.jpg)
いくつかのパターンで、誰が法定相続人になるかを解説しています。
相続できる人(法定相続人)かどうか
とりあえず相続できる権利があるかどうか知りたい方。被相続人(亡くなった方)を基準として、記載しています。
また、相続放棄・欠格・排除と言った例は考慮していません。
相続できる人(法定相続人)に該当するかどうかの基本的ルールを知りたい方は法定相続人になれる人にて記載しています。
配偶者と子供
配偶者と子供が相続できる人(法定相続人)。
両親は相続できる人(法定相続人)ではない。
なお、戸籍上配偶者であれば、どんなに冷め切った関係でも、配偶者は必ず相続できる人(法定相続人)になります。
![相続できる人の事例1](img/souzoku-dekiru01.jpg)
子供と孫
子供は相続できる人(法定相続人)。
孫は相続できる人(法定相続人)ではない。
![相続できる人の事例10](img/souzoku-dekiru10.jpg)
子供がいなくて孫がいる場合は、孫は相続できる人(法定相続人)。
なお、孫が複数人いる場合は、その孫全員が相続できる人(法定相続人)。
![相続できる人の事例12](img/souzoku-dekiru12.jpg)
![相続できる人の事例10-2](img/souzoku-dekiru10-2.jpg)
両親
相続できる人(法定相続人)。
なお、両親が両方とも健在の場合は、両方とも相続できる人(法定相続人)となり、片方だけ健在の場合は、片方のみが相続できる人(法定相続人)。
![相続できる人の事例14](img/souzoku-dekiru14.jpg)
![相続できる人の事例14-2](img/souzoku-dekiru14-2.jpg)
兄弟姉妹
相続できる人(法定相続人)。
![相続できる人の事例16](img/souzoku-dekiru16.jpg)
兄弟姉妹の子供
兄弟姉妹の子供は相続できる人(法定相続人)。
![相続できる人の事例17](img/souzoku-dekiru17.jpg)
配偶者がいて妊娠している(胎児)
配偶者は相続できる人(法定相続人)。
胎児は生まれてくれば、相続できる人(法定相続人)。
![相続できる人の事例3](img/souzoku-dekiru03.jpg)
兄弟が既に亡くなっている場合
![相続できる人の事例3-3](img/souzoku-dekiru03-3.jpg)
両親がご存命の場合
![相続できる人の事例3-4](img/souzoku-dekiru03-4.jpg)
配偶者と配偶者の連れ子
配偶者は相続できる人(法定相続人)。
配偶者の連れ子は相続できる人(法定相続人)ではない。
![相続できる人の事例4](img/souzoku-dekiru04.jpg)
離婚相手
離婚相手は相続できる人(法定相続人)ではない。
離婚相手との間の子供
離婚相手との間の子供は相続できる人(法定相続人)。
ちなみに、父母両方の相続できる人(法定相続人)になります。
内縁の妻
内縁の妻は相続できる人(法定相続人)ではない。
いくら愛し合っていても、戸籍関係がないので、内縁の妻は該当しません。
内縁の妻とその間の子供
内縁の妻は相続できる人(法定相続人)ではない。
子供に関しては以下のようになります。
なお、愛人の子供の場合も同様です。
被相続人(亡くなった方)が女性の場合は相続できる人(法定相続人)。
女性の場合は、産んだという事実があるので、被相続人の子供と証明ができるからです。
被相続人(亡くなった方)が男性の場合は認知をすれば相続できる人(法定相続人)。
認知をしない場合、相続人にはなりません。
男性の場合は、本当に被相続人の子供なのか、証明ができないので認知が必要になってきます。
養子
相続できる人(法定相続人)。
ただし、注意点があります。
相続税法上では法定相続人に加えることのできる養子の人数は、実子がいるときは一人まで、実子がいないときは二人までと制限されています。(民法上は無制限)
異父・異母兄弟
実の兄弟と同じ取り扱い。
よって、子供や孫、両親が既に亡くなっている場合には、相続できる人(法定相続人)。
従妹(いとこ)
従妹(いとこ)は相続できる人(法定相続人)ではない。
法定相続人を動画で解説
法定相続人になれるのは誰か?について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
法定相続人とは、民法によって、遺産を相続できる権利がある、と定められている、一定の親族のことです。
遺産をどう分けるかの基準となるだけではなく、相続税を計算する上でも、法定相続人の数は、とても重要になります。
法定相続人は、亡くなった方の親族関係によって変わります。
これからいくつかのパターンで、誰が法定相続人になるかを解説していきたいと思います。
まず、亡くなった方に配偶者と子どもがいる場合は、この配偶者と子どもの両方が、法定相続人になります。
配偶者については、他の親族の状況にかかわらず、必ず法定相続人になる、というルールがあり、子どもについては、法定相続人の第1順位にあたるからです。
この順位とは、法定相続人になれる順番のことで、もし、第1順位にあたる人がいなければ、第2順位の親族が法定相続人となります。
続いて、亡くなった方に子どもと孫がいる場合です。
この場合、法定相続人となるのは、子どもになります。
ただし、子どもが先に亡くなってしまっているなど、一定の理由によって、相続人になれない場合は、その子ども、つまり亡くなった人からみた孫が、その親の地位を受け継いで、法定相続人になります。
もし、その孫も同様の理由で、相続人になれなければ、さらに、ひ孫が法定相続人になります。
これを代襲相続といいます。
代襲相続によって、法定相続人になれる孫やひ孫がいるときは、法定相続人の順位は、次に移りません。
続いて、亡くなった方に両親がいる場合、この両親が法定相続人になれるのは、亡くなった人に子どもや、その代襲相続人となる、孫やひ孫がいないときです。
両親は、子どもに次いで、第2順位の法定相続人にあたります。
もし、両親のどちらか一方が亡くなっている場合は、遺された方のみが、法定相続人になります。
続いて、亡くなった方に兄弟姉妹がいる場合、この兄弟姉妹が法定相続人になれるのは、亡くなった方に子どもや孫、両親もいない場合です。
兄弟姉妹は、両親に次いで、第3順位の法定相続人になります。
また、法定相続人となるはずだった、兄弟姉妹が先に亡くなっているなど、一定の理由によって、相続人になれない場合は、その子ども、つまり亡くなった人からみた甥や姪が、代襲相続によって、法定相続人となります。
ただし、甥や姪の場合、第1順位の孫やひ孫とは違って、代襲相続が発生するのは、一代限りとなります。
つまり、甥や姪も相続人になれなければ、第3順位の法定相続人は、ナシということです。
続いて、亡くなった人の配偶者が妊娠し、お腹に子どもがいる場合です。
相続のルールでは、お腹の中にいる胎児にも、相続権が認められます。
もし、亡くなった人の配偶者のお腹に胎児がいる場合、生まれてくれば、法定相続人になります。
次は、亡くなった方の離婚相手、つまり、元配偶者についてですが、元配偶者は、法定相続人にはなりません。
続いて、内縁関係にある配偶者についてですが、籍をいれていない内縁の夫や妻は、法定相続人にはなりません。
また、籍をいれていない男女の間に生まれた、子どもの相続権についてですが、男性が亡くなった場合、その男性が子どもを認知しているときに限り、この子どもは、この男性の法定相続人になります。
これに対して、女性が亡くなった場合は、出産の事実から、親子関係が明らかなので、子どもは女性の法定相続人になります。
続いて、亡くなった方に養子がいる場合ですが、この養子は、実の子どもと同様に、法定相続人になります。
養子の人数に、制限はありません。
ただし、相続税の計算において、法定相続人の数に入れることができる養子の数には、上限があります。
上限は、亡くなった方に、実の子どもがいる場合は1人まで、いなければ2人までです。
繰り返しになりますが、この人数制限は、税金を計算するときだけのルールですので、法定相続人になるかどうかの話とは、別と考えてください。
続いて、異父兄弟、異母兄弟については、実の兄弟と同様に、法定相続人になります。
最後に従兄弟ですが、これは法定相続人にはなりません。
以上となりますが、法定相続人には、かなり細かいルールがあり、慎重に判断しなければなりません。
このことから、どの相続においても、まずは、亡くなった人の全ての戸籍を集めて、法定相続人を調査することから始めます。
法定相続人の調査は、非常に手間がかかり、戸籍を読み解きながら、法定相続人を調査することになるため、なかなか難しい作業です。
法定相続人についての、ご相談や調査の依頼は、相続の専門家に行いましょう。
そして、相続のことなら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せ下さい。
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