父親の隠し子の場合は認知が必要で、母親の場合は認知不要
結論から言いますと、財産を相続することは可能です。
ただ、父親の隠し子の場合は認知が必要です。
認知とは、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子供に対して、父親が自分の子どもであるとして「認知届」するというものです。
要は自分の子供に間違いない、ということを認めて、法律手続きをすることです。
ちなみに、認知は子どもの本籍地または住所地の役所に認知届を提出します。
役所によっては、父親の本籍地、住所地でもいいところもあります。
なお、母親の場合はこの認知は必要ありません。
母親はご自身から生まれたという事実があるので、認知をする必要がありません。
認知された子供を「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」と言います。
そして、法律上の婚姻関係にある男女間の子供は「嫡出子(ちゃくしゅつし)」と言います。
では、この非嫡出子と嫡出子は、相続において何か違いがあるのでしょうか?
現在では、非嫡出子と嫡出子の相続においての取り扱いは同じです。
違いはありません。
ただ、昔はありました。
非嫡出子の法定相続分は嫡出子の1/2でした。
ただ、この制度は昔から問題があるのでは?と言われていた制度でした。
同じ父親、もしくは母親から生まれたのに、非嫡出子と嫡出子で相続分を変えるのは(非嫡出子に不利なのは)、差別ではないか?という論点がありました。
そして、平成25年9月4日の最高裁判決によって、非嫡出子と嫡出子の相続分は同一ということになりました。
兄弟姉妹が被相続人のときは、半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の1/2
誤解しやすいのですが、嫡出子と嫡出子の相続分は同一というのは、「同一の父親、もしくは同一の母親の死亡」の際の法定相続分です。
自身が死亡したことによって相続が発生する場合で、法定相続人が兄弟姉妹の場合は、全血兄弟姉妹(両親とも一緒)と半血兄弟姉妹(異母兄弟・異父兄弟)の法定相続分は異なります。
この場合、半血兄弟姉妹の法定相続分は全血兄弟姉妹の1/2となります。
非常に混同しやすい部分ですので、注意しましょう。
相続税対策をしっかりしてきた。
でも、ここを勘違いしていて、またやり直しに・・。
隠し子がいないどうかチェックしましょう。
隠し子がいないかどうかの確認方法は、隠し子は戸籍をしっかり追えば自然に確認できる!にて記載しています。
動画で解説
隠し子が相続人になれるかどうか、その相続分は、他の子どもと同じかどうか、ということについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
まず、亡くなった方のお子さんは、その方の相続人になります。
では、そのお子さんが隠し子であった場合はどうでしょうか。
ここでいう隠し子とは、結婚していない男性と女性との間に生まれた子どものことをいいます。
法律では、この子どものことを非嫡出子と呼びます。
非嫡出子である子どもが相続人になるかどうかは、亡くなった人と子どもとの間に、親子関係が認められるかどうかによって変わります。
親子関係が認められるための条件は、男性と女性で違いがあります。
まずは男性。
つまり、子どもの父親の場合は、子どもを認知しなければ親子関係は認められません。
もし、夫と愛人との間に生まれた子どもがいる場合、夫がその子を認知しているかどうかで、その子が夫の相続人になるかどうかが変わる、ということです。
これに対して女性は、子どもを出産している事実が認められていれば、親子関係は認められますので認知は必要ありません。
それでは非嫡出子の相続分は、結婚して生まれた子どもと同じなのでしょうか?
答えは同じです。
昔は非嫡出子の相続分は、結婚して生まれた子どもの半分でした。
それが平成25年9月に出た最高裁判決によって、それぞれの相続分は平等になりました。
ただし、先ほどご説明したとおり、父親の場合は認知をしていなければ相続人にはなれません。
認知されていない場合、父親からの相続分はゼロとなります。
さて、相続分が平等となったのは、結婚して生まれた子と隠し子との話です。
ちなみに、前妻との間に生まれた子と後妻の子も平等となります。
よく誤解されやすいのが、兄弟姉妹が亡くなったときの扱いです。
複数の兄弟姉妹が相続人になったとき、そのなかに異父兄弟、異母兄弟がいるとします。
お父さんが違う、あるいは、お母さんが違う兄弟や姉妹ということです。
異父兄弟、異母兄弟の相続分は半血兄弟姉妹といい、両親が同じ兄弟の半分となります。
たとえば長男が亡くなり、その弟と妹が法定相続人になる場合、もし妹が再婚した母の子であれば、母親が違うため、妹の相続分は弟の半分になる、ということです。