原則は法定相続分や遺言による指定相続分で按分
原則として相続人が2人以上いる場合には、準確定申告の納付は、
- 法定相続分
- 遺言による指定相続分がある場合にはその指定相続分
により按分して計算した額により、各相続人が負担します。
準確定申告書の提出期限は相続開始後4か月以内です。
この短い期間で相続人が複数いる場合、被相続人の準確定申告の納付を誰が負担するのか?決まっていない場合がほとんどです。
なので、相続人が2人以上いる(相続人が複数人の場合)は、各相続人が法定相続分又は指定相続分により申告納付をします。
遺産分割協議が整うのを待っていたら、4か月以内に納付出来ない可能性が高まるからです。
ただ、実際の相続の現場においては、特定の相続人が相続人を代表して、一旦準確定申告の納税を済ませ、その後に納税したことを考慮しながら、遺産分割協議の内容を決めるといったことも多いです。
還付になる場合も同様
準確定申告で還付になる場合(税金が戻ってくる場合)も同様で、相続人が2人以上いる場合には、法定相続分又は遺言による指定相続分がある場合にはその指定相続分により按分して計算した額により、各相続人が還付を受けとります。
そして、実際の相続の現場においては、特定の相続人が代表してその還付額を受領し、その後の遺産分割協議において当該還付額を考慮した遺産分割が行われることも多いです。
ただ、この還付金を相続人の代表者が一括して受領するためには、準確定申告書に
- その代表者以外の相続人の委任状
- 遺産分割協議書(もしくは遺言書)等
の添付が必要です。
ちなみに委任状は、国税庁のホームページ委任状(準確定申告用)
から取得することが出来ます。
準確定申告の納税や還付金の相続税の取り扱い
被相続人の準確定申告で納付した所得税は、被相続人の債務として相続財産から債務控除出来ます。
また、還付の場合には被相続人の未収金として相続財産になります。
なお、還付加算金については相続財産ではなく、相続人の雑所得として所得税の課税対象となります。
死亡した年の所得についての住民税はない
住民税は「その年の1月1日に国内に住所がある人」について、前年の所得に応じて課税されます。
よって、故人の死亡した年の所得については、住民税は課税されません。
令和2年5月に死亡した場合、令和3年1月1日には、もちろん住所はないことになります。
よって、令和2年の所得に応じた住民税は発生しません。
準確定申告の納税と還付金について動画で解説
準確定申告の納税と還付金について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
まず準確定申告とは、準確定、亡くなった人、つまり、被相続人の確定申告のことです。
亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの、被相続人の所得に対してかかる税金を、税務署に納めることをいいます。
準確定申告は、亡くなった日の翌日から4ヶ月以内に相続人が行わなければなりません。
通常の確定申告と同様に、期限内に申告と納税の両方を行うことが必要です。
もし相続人が2人以上いる場合、申告と納税は相続人全員で行わなくてはなりません。
ただし、相続人で話し合い、1通の確定申告書に全員が連署することで、代表者1人が申告と納税をすることもできます。
では還付金がある場合はどうなるでしょう。
通常の確定申告と同じで、準確定申告でも還付金が発生することがあります。
例えば、年金から源泉徴収された所得税などがあると、税金が還付される場合もあります。
還付金は、準確定申告書に記載した相続分に応じて、各相続人が受け取ります。
しかし還付金は、そのまま相続財産になるものです。
そのため代表者1人がまとめて受け取った方が、その後の遺産分割協議がしやすい、ということもございます。
もし1人がまとめて受け取りたい場合は、準確定申告に
・相続人全員の委任状
・遺産分割協議書や遺言書等
を添付することで可能となります。
準確定申告や相続税申告、相続手続きのことなら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。