相続発生後に精算が行われる

医療保険や介護保険料の精算金、高額療養費の還付金、と相続の関係について解説しています。

後期高齢者医療保険料等の還付金は相続財産、未払金は債務控除

相続発生後(被相続人が死亡後)に、各市区町村へ死亡届を提出すると、被相続人の住所宛てに、

  • 国民健康保険料
  • 介護保険料の精算
  • 後期高齢者医療保険料

の精算書が、後期高齢者医療広域連合や各市区町村から送付されます。

そして、被相続人が生前に支払済みの保険料で、相続発生後に精算が行われます。

後期高齢者医療保険
後期高齢者医療保険
被相続人が生前に支払済みの保険料は、相続発生後に精算されます。

その結果、高額療養費などが還付となった場合には、その還付金は被相続人が受け取るべき財産となり相続財産となります。

また逆に、保険料の精算につき納付となった場合には、債務控除の対象になります。
(債務控除についての詳しい内容は、被相続人(故人)の税金の未払いは債務控除できるに記載しています。)

ちなみに相続人から委任状で、各機関への照会を代理人がすることも可能です。

なお、後期高齢者医療広域連合や各市区町村の精算金等の照会の手数料は無料です。

手数料無料
手数料無料
後期高齢者医療広域連合や各市区町村の精算金等の照会の手数料は無料

後期高齢者医療保険料や国民健康保険料、介護保険料の支払いについては、納税者が自身で(納税通知書が郵送され)納税をする普通徴収と、年金受給者の場合などには、年金から徴収される特別徴収があります。

ただ、どちらの方法でも、相続発生日以前に支払済みのものが精算され、還付となるものは相続財産となります。

また、どちらの方法でも、相続発生日時点で未払いのものがあれば債務控除の対象となります。

注意点として、相続発生日以降に徴収され精算された結果、還付となったものは相続税申告の対象になりません。

医療保険や介護保険料の清算金、後期高齢者医療保険料の還付金は金額的な影響から言えば、相続税対策に大きな影響はありません。

ただし、適正な相続税の申告のためには必要です。

わずかな金額だから別にいいや、というのは申告においては通じませんので、必ず確認するようにしましょう。

動画で解説

医療保険の還付金などは相続財産?について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

医療保険の還付金などは相続財産?

動画内容

今回は、医療保険や介護保険料の精算金、高額療養費の還付金は、相続財産になる、ということについて、お話をさせて頂きます。

ご家族の死亡届を出すと、亡くなった人の医療保険や、介護保険の精算が行われます。

医療保険とは、国民健康保険や後期高齢者医療保険のことをいいます。

これらの保険料は、亡くなった月で、月割り計算をして精算をされます。

保検料の支払い方法には、年金からの天引きによる方法や、口座引き落としなどがありますが、どちらも精算の対象です。

これらを精算した結果、保険料を納め過ぎ(てい)た場合は、還付金が支払われます。

そのほかにも、高額療養費の制度によって、還付金が支払われることもあります。

もし、医療保険や介護保険、高額療養費による還付金がある場合、相続財産になるのでしょうか?

これは亡くなった日より、前に支払ったものが、精算されたのかどうかで、変わってまいります。

亡くなった日より前に、支払ったものから生じた還付金であれば、相続税の対象です。

では、亡くなった日より、前に支払ったかどうかを、どうやって確認するかというと、市町村や後期高齢者医療広域連合から送られてくる、精算書によって、確認することができます。

こちらから内容を照会することもできますので、覚えておきましょう。

照会は、代理人でも可能です。

それから、保険料を精算した結果、還付ではなく不足していた、という場合もあります。

この場合、不足額は、亡くなった人の債務となります。

相続税の計算では、この不足額は債務控除として、相続財産から差し引いて計算します。

医療保険や介護保険、高額療養費の還付金で変わる相続税は、それほど多くはないと思いますが、正しく相続税を申告するためには、大切なことです。

通常すべての人が加入する、公的保険の内容ですので、忘れずにチェックをしてください。