
相続手続きや相続税の申告において、絶対に避けて通れないのが「遺産がどこにあるか」を探し出す作業です。そして、「これ以上はもう財産がどこにもない」と最後まで確認しきることも、同じくらい大切になります。集めた情報をもとに正確な財産目録を作り、今の状況をしっかりと「見える化」していきましょう。
ご家族が亡くなられた悲しみの中、遺産相続の手続きは突然始まります。
亡くなった方がどこにどれくらいの財産を持っていたのか、そのすべてを把握しているご家族はほとんどいらっしゃいません。
相続税の計算や節税対策も重要ですが、まずはその前提となる財産探しでつまずいてしまう方が非常に多いのが現実です。
お仕事や日常生活がある中で、亡くなってから10ヶ月以内という申告期限までにすべての遺産を漏れなく探し出すのは、ご家族にとって大変な労力となります。
個人の財産を家計簿などで1円単位まできっちり管理している方は少ないため、いざという時に何から手をつけていいか分からないのは当然のことです。
しかし、どうぞご安心ください。
私たち税理士法人都心綜合会計事務所は、創業から50年目を迎えました。
長年の経験と実績から、ご家族が気づきにくい隠れた財産を見つけ出し、正確な財産目録を作成するノウハウを蓄積しております。

亡くなった方が意図的に財産を隠していない限り、手元に残された品物や書類から財産の全体像をある程度推測することは十分に可能です。
まずは、手帳、名刺、金融機関からの郵便物、古い通帳、領収書、過去の確定申告書の控えなどを探してみましょう。
特に有効な裏ワザとして、郵便局で転居届を出し、亡くなった方宛の郵便物を代表相続人のご自宅へ転送するよう設定しておく方法があります。
この設定により、年に数回しか届かない銀行や証券会社からの残高のお知らせなどを確実に見つけることができます。
ただし、亡くなった方の郵便物を転送する場合、インターネットからの手続きはできません。
原則として郵便局の窓口へ出向き、亡くなったことや相続人であることを証明する戸籍謄本などの提示が必要になります。
また、不動産については、毎年届く固定資産税の納税通知書が重要な手がかりとなります。
もし見つからない場合でも、2026年2月にスタートした法務局の「所有不動産記録証明制度」を利用すれば、亡くなった方が全国に所有している不動産を一覧リストとして取得することが可能です。
なお、この制度を利用するためには、法務局の窓口やオンラインで被相続人の戸籍謄本や法定相続情報一覧図の写しなどの書類を提出し、請求を行う必要があります。
通帳の記帳履歴からは、年金、給与、配当金、家賃収入、保険料の引き落とし、クレジットカードの利用履歴など、さらに多くのお金の流れを読み取ることができます。
近年は紙の通帳や明細書がないデジタル遺品も増加しており、ネット銀行やスマホ決済アプリに多額の資金が残されているケースも珍しくありません。
この場合、パソコンやスマートフォンの画面、ブラウザのブックマーク、受信メールの履歴が強力な手がかりとなります。
しかし、スマートフォンのパスワードが分からないと、中身を確認することすらできないという現実的な壁が立ちはだかります。
携帯電話会社のショップに死亡診断書を持っていけば解除してもらえると誤解されがちですが、実際には解約はできても端末のロック解除は行ってくれないケースがほとんどです。
可能であれば、ご本人がお元気なうちにスマートフォンのパスワードだけでもご家族で共有するか、エンディングノートに書き留めておくことをお勧めします。
このように、急なご不幸であっても、家の中にある情報を一つずつ丁寧に辿っていくことで、財産の全体像を少しずつ浮き彫りにすることができるのです。

財産探しをひと通り終えた後、これ以上相続する財産はどこにもないという最終確認をとることも非常に重要です。
ないものをわざわざ証明する必要があるのかと疑問に思われるかもしれません。
しかし、遺産相続において親族間でトラブルに発展してしまう大きな原因の一つが、この疑心暗鬼なのです。
亡くなった父はもっと貯金を持っていたはずだ、と疑う人が一人でもいると、遺産分割協議は一向に進みません。
私に内緒で勝手にお金を使ってしまったのではないか、といった感情的な対立に発展してしまうと、もはや節税対策どころではなくなってしまいます。

相続人全員が納得して話し合いを進めるためには、すべての金融機関をしっかりと調査し、客観的な証拠をもって示す必要があるのです。
また、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産がないかどうかの確認も欠かせません。
借金については、通帳の引き落とし履歴のほかに、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターなど)に開示請求をすることで確認できる場合があります。
円満な相続手続きを進めるためには、ある財産をすべて探し出すことと、隠し財産や漏れがないことを証明することの2つが欠かせません。
もし可能であれば、こうした確認作業はご本人がお元気なうちに、ご家族と一緒に行うのが最もスムーズです。

亡くなられた後に、残されたご家族だけでゼロから口座や不動産を探し回るのは、想像以上に精神的にも体力的にも大きな負担がかかります。
私たちのような専門家が代理で金融機関を回って調査することも可能ですが、委任状の記入など、どうしてもご家族にお願いしなければならない手続きが発生してしまいます。
お盆やお正月など、ご家族が集まる機会を利用して、少しずつでも共有しておくことを強くお勧めします。
ご家族の誰もが、トラブルなく円満に遺産を分け合いたいと願っているはずです。
しかし、実際には何から手をつければいいのか分からず、結果的に残されたご遺族が苦労を抱え込んでしまうケースは後を絶ちません。
相続対策の第一歩としてやるべきなのは、今現在どんな財産を持っているのかを紙に書き出して、しっかりと把握することです。
現状を正しく知ることで、初めて具体的な方針がはっきりと見えてきます。
決して難しく考える必要はありません。
まずは現金、預貯金、不動産、株式、そして借金などのマイナス財産も含めて、ざっくりで構いませんので一覧表として書き出してみましょう。
そこに、通帳の残高や固定資産税の課税明細書などを見ながら、分かる範囲で金額を記入していきます。
これが、相続手続きの土台となる「財産目録」と呼ばれるものです。
預金や株式であれば、最新の残高証明書やインターネット上の株価を確認することで、おおよその金額は容易に把握できるかと思います。
一方で、土地や建物などの不動産は路線価と呼ばれる特殊な基準を用いて評価額を計算するため、一般の方には少し難易度が高い作業となります。
不動産を漏れなく見つけ出すことは、正しい税金計算のためだけでなく、2024年4月から義務化された相続登記のペナルティを防ぐためにも極めて重要です。
また、配偶者やお孫さんの名義で作った預金口座や、生活費の余りを貯めたへそくりであっても、元々のお金を出したのが亡くなった方であれば名義預金として相続財産に含めなければならないケースがあります。
さらに、過去に行われた生前贈与も相続税の計算に大きく影響してきます。
2024年1月からのルール変更により、相続財産に足し戻す対象となる生前贈与の期間が、亡くなる前3年から段階的に7年へと延長されていきます。
直近の通帳履歴だけでなく、数年単位で遡って過去のお金の動きを確認する必要がありますので、十分にご注意ください。
不動産の複雑な評価や、過去の資金移動で判断に迷った時は、決して無理をせず税理士などの専門家にご相談ください。

私たちが丁寧にお話を伺い、きちんとした財産目録を作成して相続税の試算を行ってみると、ご相談者様も驚くような結果が判明することがよくあります。
それまで気づいていなかった深刻な問題点や、逆に安心できる材料がはっきりと見える化されるのです。
最初は漠然とした不安を抱えてご相談に来られたお客様も、財産が目に見える形になることで、前向きに手続きを進められるようになります。
税理士法人都心綜合会計事務所では、ご家族の大切な財産をしっかりと守るために、隠れた遺産の徹底的な調査から、正確な財産目録の作成、そして相続税のシミュレーションまでをトータルでサポートしております。
現状を正しく見える化し、皆様と一緒に最適な相続への道のりを歩んでまいります。

財産目録を作成することの大切さについて、税理士法人都心綜合会計事務所の税理士である田中順子が動画でもわかりやすく解説しております。
字幕が付いておりますので、音を出せない環境でも安心してご視聴いただけます。
ぜひ一度ご覧ください。