形見は遺産分割の財産に含めない
一般的な世間の慣習として、故人の遺品を身内や故人の友人に分ける、形見分けというものがあります。
そして、このような形見は相続財産とはなりません。なので、相続税の課税対象とはなりません。
厳密には、これは遺産の分割となりますが、慣習上容認(遺産の分割に該当しないと)されています。
通常、形見と言えば、故人が身につけた衣服やアクセサリー、写真や日記、時計や書籍といったものです。
しかし、仮に形見が高額なものであった場合はどうでしょうか?
数千万円もするダイヤでも、形見なので相続税は免除?とはいきません。
たとえ本当に形見だったとしても、そのような高額なものは遺産分割の対象となり、相続税の課税対象となります。
遺産分割の対象にならない形見というのは、簡単に言ってしまえば、財産価値がさほどないものです。
なので高額なものを遺産分割もせずに、形見という理由だけで相続することは出来ません。
遺産分割もしていない、遺言書もないような場合、その高額な形見は相続人間の共有の相続財産となります。
形見分けは相続人の共有物の贈与
形見の品は相続人間の共有財産です。
その形見を形見分けとして、故人の友人などに分けることは、【相続人間の共有財産の贈与】ということになります。
なので、他の相続人に相談なしで勝手に形見分けをする権利はありません。
たとえ、被相続人に生前言われていたとしても、その形見は相続人の共有物となります。
後でトラブルに発展しないためにも、相続人間の合意の上で、形見分けは行いましょう。
また、相続税対策としては、「形見が相続税の課税対象になるのか?ならないのか?」を見極める必要があります。
仮に相続税の課税対象となるようなものを形見分けとして、被相続人の友人に渡した場合、贈与税の対象となります。
この形見は高額なのでは?
迷われた場合には、その形見分けは慎重にしたほうが無難です。
形見を軽率に行うと、遺産分割協議や相続税対策に影響が出たりします。
そして、相続税対策をしたい方や、相続税の申告の際に形見の取り扱いなどを相談したい場合には、都心綜合会計事務所までご連絡下さい。
無料の個別相続相談を承っております。(なお、お電話での相談は承っておりません。)
動画で解説
亡くなった人の形見が遺産分割の対象になるのか、また、相続税の対象になるのかについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
一般的に形見というと、亡くなった人が大事にしていた衣服、写真や日記、時計や書籍といったものだと思います。
こうしたものは相続人にとっては大切な思い出ですが、財産的な価値は通常ありません。
そのため、慣習的にこうした形見は、相続財産ではないものとして取り扱います。
遺産分割の必要もなく、相続税もかからない、というわけです。
しかし、物には限度というものがあります。
もしそれが数千万円もするダイヤだったら、いくら形見と言い張っても、その相続税を免除するようなことはできません。
こうした価値のあるものは、遺産分割をするまでは、相続人全員の共有の財産という扱いになります。
一部の相続人だけで、勝手に形見だと決めつけて、処分をしてしまったり、亡くなった人の友人に、勝手にあげたりすることはできません。
では、どこからが形見で、どこからが相続税の対象になるのでしょうか。
残念ながら、この線引は明確にはできません。
鑑定しないと価値がわからないようなものもあります。
そのため、後でトラブルに発展しないためにも、形見かどうか迷ったときは、まずは相続人全員の合意のもとで、他の財産と同じように分けてください。