
相続税の計算をする上で、まずは「どんな財産に税金がかかるのか」を把握することが重要です。本記事では、相続税の対象となる財産を種類ごとにわかりやすくまとめました。「こんなものまで対象になるの?」と驚くような意外な財産や、間違いやすいポイントもあわせて解説します。各項目の関連記事も紹介していますので、ぜひご活用ください。
相続税の対象となる財産と、状況によって対象となる財産をケース別にご紹介します。
現預金の中で最もトラブルになりやすいのが「名義預金」です。
口座の名義が配偶者や子供、お孫さんであっても、亡くなった方が実質的にお金を出して管理していた場合は相続財産とみなされます。
ネット銀行の口座や、勤務先の社内預金なども見落としがちなので注意しましょう。
また、海外の金融機関にある預金も原則としてすべて相続税の対象となります。
この条件については、「相続税の納税義務者は誰?まずは簡単な表で概要を理解しよう」の記事をご覧ください。
株式などの有価証券は、証券会社から届く書類などで存在を確認できます。
ここで忘れやすいのが、単元未満株(端株)の存在です。
最低売買単位に満たない少額の株式であっても、立派な相続財産として税金の対象になります。
また、NISA口座にある株式も非課税のまま相続人が引き継ぐことはできず、相続税の計算に含める必要があります。
単元未満株の調べ方については、「被相続人の「単元未満株」はどう調べる?残高証明書に載らない株式の見つけ方」に記載しています。
不動産の相続において、意外と申告漏れが多いのが「私道」です。
一見すると価値がなさそうでも、相続税の評価額がつくケースがあります。
ご自宅の敷地だけでなく、周辺の道路の権利を持っていないか法務局の図面などで確認することが大切です。
詳しくは「私道は相続財産から漏れやすい?見落としを防ぐ確実な調べ方」という記事をご参照ください。
建物については、自宅や賃貸アパートだけでなく、建築途中の家屋も相続税の対象です。
一方で、建物と構造上一体となっている設備は個別に評価しません。
家庭内の動産類についても、価値のあるものは相続税がかかります。
自動車やバイク、貴金属、骨董品などは個別に評価を行います。
日常的に使う一般的な家具や家電製品については、一つひとつ計算するのではなく「家財一式」として一定額でまとめて申告するのが一般的です。
なお、投資目的ではない日常的にお参りする一般的なお墓や仏壇は非課税となります。
そのため、生前にお墓を購入しておくことがメジャーな節税対策となっています。
亡くなった方が個人事業主だった場合、事業に使っていた財産も相続税の対象です。
売掛金や商品在庫、事業用の備品なども忘れずに計上しましょう。
近年急速に増えているのが、暗号資産(仮想通貨)やスマホ決済の残高といった「デジタル遺産」です。
これらも利用規約で死亡時に失効するものを除き、相続可能なものは立派な相続財産となります。
デジタル遺産は通帳や郵便物がなく見落としやすいため、スマホのアプリ画面や受信メールを手掛かりに探すことが重要です。
一方で、ショッピングのポイントなどは、規約で死亡とともに失効すると定められているケースが多く、原則として相続できません。
ただし、ANAやJALなどの大手航空会社のマイルについては、期限内にご家族が手続きをすれば引き継げるケースがあります。
死亡退職金や生命保険金は「みなし相続財産」として税金がかかります。
ただし、生命保険金や死亡退職金にはそれぞれ「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が用意されているため、受け取った全額に税金がかかるわけではありません。
なお、この非課税枠の計算に使う法定相続人の数には、相続放棄をした人も含めて計算できるので安心してください。
ただし、法定相続人の数に含められる養子の人数には制限があり、実子がいる場合は1人まで、実子がない場合は2人までとなります。
一方で、葬儀でいただいた香典や、死亡後に受け取る未支給の公的年金などは相続税の対象にはなりません。
※ただし、未支給の公的年金は相続税がかからない代わりに、受け取ったご家族の一時所得として所得税の対象になる場合があります。
相続税の計算では、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も重要になります。
故人が残した借金や未払い医療費などは、プラスの財産から差し引くことができます。
ただし、住宅ローンで「団体信用生命保険(団信)」に加入しており、死亡時にローンが完済される場合は、マイナスの財産として差し引くことはできません。
また、お葬式にかかった費用(葬式費用)も同様に差し引くことが可能です。
ただし、香典返しや、初七日・四十九日などの法要費用、墓石・仏壇の購入費用などは控除の対象外となるため注意しましょう。
香典が非課税となる一方で、葬儀本体にかかった費用はマイナス財産として扱えるため、領収書などは必ず保管しておきましょう。
初心者の方が一番見落としがちなのが、「すでに贈与してもらったから相続税とは関係ない」という勘違いです。
亡くなる前に贈与された財産は、一定期間さかのぼって相続税の計算に足し戻す(持ち戻す)ルールがあります。
この持ち戻しの対象となる期間は従来の3年から7年へと延長されていますが、現在は経過措置の期間中で、2031年に向けて段階的に延長されている最中です。
また、「相続時精算課税制度」を使って贈与した財産も、原則として相続税の計算に含める必要があります。
ただし、2024年(令和6年)以降の年110万円以下の贈与については、新しい基礎控除枠ができたため、計算に含める必要はなくなりました。
さらに、祖父母からの「教育資金の一括贈与」や「結婚・子育て資金の一括贈与」の使い残しがある場合も、原則として死亡時に相続財産に足し戻される点には注意が必要です。
※なお、「教育資金の一括贈与」の新規利用は2026年3月末で終了していますが、「結婚・子育て資金の一括贈与」は2027年3月末まで利用可能です。
相続財産を評価する際の基本ルールは、「亡くなった日(相続開始日)の時価」で計算することです。
しかし、財産の種類によってその時価の計算ルールは大きく異なります。

例えば、証取引所で売買されている上場株式と、家族経営の会社などの非上場株式とでは、評価の手順がまったく違います。
同じ土地であっても、自分が住んでいるのか、人に貸しているのかで評価額は変わります。
さらに近年では、分譲マンションの評価ルールが新しくなり、市場価格とのズレを調整する複雑な計算が導入されています。
そもそも時価と一言で言っても、人によって価値の感じ方は違います。
そこで相続税のルールでは、土地の評価には路線価を用いるなど、客観的な基準を設けています。
このように、亡くなった日の時価で評価するといっても、実際には非常に複雑な作業になります。
財産の評価方法を少し間違えただけで、支払う相続税の金額が何百万円も跳ね上がってしまうことも珍しくありません。
さらに、一定の条件を満たす土地の評価額を最大8割も減額できる「小規模宅地等の特例」のような制度もあります。
こういった特例を正しく使えるかどうかで、相続税額が大きく変わるケースがあるのです。

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