相続のことなら創業50年目の「税理士法人 都心綜合会計事務所」にお任せください

骨董品等の相続税評価は難しい

美術品や工芸品、書画骨董品などの相続税評価は、主に以下の2つの価格を参考にして決められます。

  • 売買実例価額(似たような品物が実際に売買されている価格)
  • 精通者意見価格(専門家や鑑定人が査定した価格)

「家にある壺や絵画はすべて専門家に依頼すべき?」と不安になるかもしれませんが、すべてを個別に評価する必要はありません。原則として、1個(または1組)が5万円以下のものであれば、一般の電化製品や家具などとまとめて「家財一式」として手軽に申告することが可能です。

しかし、5万円を超えるものは個別に評価(一般動産として評価)する必要があり、さらに希少性や価値が高いものは「書画骨董」として鑑定などを踏まえた慎重な評価が求められます。

家財
家財としての評価
1個または1組が5万円以下のものであれば、家具や家電と一緒に「家財一式」として申告できます。

書籍のアイコン関連記事

自動車や家具、衣類や書籍などの動産の遺産分割方法

価値を調べる際、「美術年鑑」を参考にする方もいらっしゃいます。美術年鑑には、保存状態が完璧だった場合にデパートや画廊が販売する際の「参考価格」が載っています。

ここで注意したいのは、美術年鑑に載っているのはあくまで「購入価格(小売価格)」であり、相続税の計算に使う「現在の価値(財産評価額)」ではないということです。年鑑に載っているような有名な作家の作品や、高額になりそうな骨董品がある場合は、自己判断せずに必ず専門家(鑑定人)に査定してもらいましょう。

鑑定人の選定を間違えると大変なことに

実は、美術品の鑑定人には国家資格のような明確な基準がありません。

そのため、依頼する鑑定人によって、評価額が「何十倍にも変わってくる」という恐ろしいケースも存在します。また、「美術年鑑の価格」と「実際の鑑定価格」が大きくかけ離れることも日常茶飯事です。鑑定の結果、年鑑の数十分の一の評価額に下がることも十分にあり得ます。

だからこそ、鑑定をお願いする際は、「美術品の相続評価に実績があり、心から信頼できる鑑定人」を選ぶことが極めて重要です。

信頼
鑑定人の信頼性
評価額が大きく変動するからこそ、実績豊富で信頼できるプロに依頼しましょう。

もうひとつ覚えておきたい税務上のポイントとして、鑑定にかかった費用は、相続税の計算から差し引く(控除する)ことができません。

「骨董品の評価額よりも、鑑定費用の方が高くついてしまった…」という本末転倒な事態にならないよう、事前に費用の目安を確認しておくことが大切です。

書籍のアイコン関連記事

相続にかかる費用は生前に支払うのが節税につながる

骨董品等の物納は現実的ではない

「価値の高い骨董品を相続したけれど、手元に現金がなくて相続税が払えない…」

このような場合、その骨董品そのものを国に納める「物納(ぶつのう)」を希望される方がいらっしゃいます。物納とは、現金での納付がどうしても困難な場合に、モノで税金を納める制度です。

しかし、詳しくは相続税の物納制度の利用は簡単ではない!その仕組みや手続方法でも解説していますが、物納には「この財産から優先して納めてください」という厳格な順番(順位)が決められています。

実は、骨董品や美術品の物納順位は非常に低く設定されているため、制度として利用するのはあまり現実的ではありません。納税資金にお困りの場合は、物納を期待するよりも「骨董品を売却し、その代金で相続税を支払う」のが最も現実的でスムーズな解決策です。

納税
納税資金の確保
骨董品の物納はハードルが高いため、売却して現金化し、納税に充てるのが現実的です。

ただし例外として、【特定登録美術品】に該当するものであれば、この厳しい順位に関係なく優先して物納することが認められています。

特定登録美術品とは、国の法律に基づいて美術館等での公開が促進される重要な美術品のことです。ただし、これを物納に利用するには「相続開始の時(お亡くなりになる前)において、既に国からの登録を受けていること」が条件となります。相続が起きてから慌てて登録することはできないため、事前の生前対策が必要になります。

骨董品等を寄付すれば相続税対策になる

「故人が集めていた骨董品や美術品を相続したけれど、自分は興味がないし管理もできない…」

もし引き継ぐ予定がないのであれば、国や地方公共団体、あるいは特定の公益法人が運営する美術館などに寄付をするという選択肢があります。

寄付として無事に受け入れてもらえれば、その美術品や骨董品にかかるはずだった相続税は非課税(ゼロ)になります。

ただし、税務上の大きな注意点があります。この非課税の特例を受けるためには、相続税の申告期限(原則として、お亡くなりになった日の翌日から10ヶ月以内)までに寄付の手続きを完全に終わらせる必要があります。審査などに時間がかかることもあるため、早めの行動が不可欠です。

相続税
寄付による非課税
10ヶ月の申告期限内に美術館などへ寄付が完了すれば、その品物に相続税はかかりません。

寄付は強力な相続税対策になるだけでなく、誰も管理せずに眠らせておくよりも、その価値を必要とし、大切に保管・展示してくれる美術館に託す方が、集めていた故人もきっと喜ばれるのではないでしょうか。

納税資金にお困りの際は「売却して現金化する」ことも重要ですが、期限内に「寄付をして相続税そのものを減らす」という選択肢も、ぜひ合わせて検討してみてください。

書籍のアイコン関連記事

相続財産の寄附は手続きを失敗すると非課税ではなく課税される

一方、もし「売却」を選ぶ場合は、骨董品に強い専門家や専門業者に相談することを強くお勧めします。

素人が適正な価格で買い手を見つけるのは非常に困難です。専門家を通せば、確かなルートで買い手を探してもらえたり、場合によってはオークションへ出品して予想以上の価格で売却できる可能性も広がります。

オークション
売却の相談
売却の際は、独自のルートやオークションを活用できる専門家に依頼しましょう。

  1. ホーム
  2. 相続の仕組み
  3. 相続税のかかる財産
  4. 美術品や骨董品等の相続税評価方法