相続税対策にはなりにくい金地金の相続税評価方法
金地金の評価方法は、被相続人が亡くなった日の業者買取価格とされており、公表されている1グラムあたりの金額に、重量をかけた値が相続税評価額となります。

金地金の評価方法は、公表されている1グラムあたりの金額に重量をかけた金額
金地金の買取価格を直接業者に問い合わせる
金地金には貴金属業者の刻印があります。
なので、買取価格はその業者に問い合わせることで分かります。
貴金属業者に預けていたり、純金積立の場合などにも、買取価格はその業者に問い合わせることで分かります。
金地金の財産評価額を知りたい場合には、直接業者に問い合わせをしましょう。

金地金の財産評価額を知りたい場合には、直接業者に問い合わせしましょう。
金地金は相続税対策に向かない?
金地金は価格の変動リスクが常にあります。
また、詳しくはお墓・仏壇の生前購入で相続税対策にも記載していますが、お墓・仏壇は相続財産となりません。
では、お墓・仏壇を金にしたらどうか?
- 金のお墓・仏壇を作り相続財産を減らす
- 後に金のお墓・仏壇を売却し換金する
1,2のどちらの手法も相続税対策として有効とは言えません。
1の金のお墓・仏壇を作り相続財産を減らすですが、純金製など換金性の高いものだったりすると、投資目的とみなされ課税される場合があります。
2の後に金のお墓・仏壇を売却し換金するですが、貴金属業者は200万円を超える金額で金地金を購入した場合、税務署へ「金地金等の譲渡の対価の支払調書」を提出することが義務付けられています。

貴金属業者は200万円を超える金額で金地金を購入した場合、税務署へ「金地金等の譲渡の対価の支払調書」を提出します。
相続後に200万を超えて金のお墓・仏壇を売却すれば、売却した時点で税務署が把握できるということです。
例えば、金の延べ棒で相続の時には隠し通せた。
ただ、それを換金した時には税務署にバレるということです。

金の延べ棒を換金したけど、バレないかなー?
相続時に金の延べ棒を隠すことは、もはや相続税対策ではなく脱税行為です。
絶対にやめましょう。
また、相続税対策の観点から見ると、節税効果がないことや価格の変動リスクがあるので、相続税対策にはなりにくいというのが実情です。
金地金は遺産分割や資産の運用といった面では便利
金地金は相続税対策の面では、ほとんど効果を発揮しませんが、資産運用や遺産分割の際にはメリットがあります。
例えば、金地金と同額の不動産を持っていた場合、不動産には毎年固定資産税がかかります。
しかし、金地金には所有していることによって、何か税金がかかるということはありません。

不動産などと違い、金地金は持っているだけで何か税金がかかるということはありません。
また、金地金を小分けにすることによって、遺産分割がしやすいということもあります。
確かに、金地金は値下がりするリスクや利息がつかないというデメリットもありますが、値上がりする可能性や換金性に優れているといったメリットがあります。
相続税対策の観点からというよりは、金地金は遺産分割や資産の運用といった面から考えるのがいいと言えます。
金地金は申告漏れが多い
金地金は相続税申告の際に、申告漏れが多いと言われています。
相続の税務調査の際に、相続人の方達が本当に金地金の存在を知らない、もしくは忘れてしまっているということは少なからずあり得ます。

夫(故人)が金地金を持っていた?金地金を購入したなんて話、聞いた記憶がないけど、私が忘れてるだけかしら?
金地金を購入した場合には、必ず家族にもそのことをお伝えしましょう。
動画で解説
金地金の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
金地金の評価方法は、被相続人が亡くなった日の業者買取価格とされており、公表されている1グラムあたりの金額に、質量を掛けた金額が相続税評価額となります。
金地金は、資産運用や遺産分割の際にメリットがあります。
例えば、金地金と同額の不動産を所持している場合、不動産には固定資産税がかかります。
しかし、金地金は所有しているだけでは税金はかかりません。
また、小分けにすることで遺産分割しやすい、ということが挙げられます。
ただし、価格の変動リスクがありますので、相続対策にはなりづらいといえるでしょう。
ご注意して頂きたい点は、金地金は相続税申告の際に申告洩れが多いとされていることです。これは、
- そもそも相続人の方々が金地金の存在を知らない
- 若しくは存在を忘れてしまっている
といったことが主な原因となっているようです。
こういったケースを防ぐため、金地金を所有されている方は、その旨をご家族に伝えておいた方がよいと思われます。