
土器や古墳などの文化財が地中に埋もれている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」と呼びます。この土地の相続税評価については、かつては明確な法律のルールがありませんでしたが、現在では国税庁から公式な評価方針が示されています。発掘調査費用の自己負担が生じる場合は、見積額の8割を評価額から減額できる可能性があります。ただし、自治体の補助が出る場合などは減額できないため注意が必要です。
土器や古墳といった歴史的な価値を持つ文化財が地中に埋まっていると判明している土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地(しゅうちのまいぞうぶんかざいほうぞうち)」と呼びます。
一般的には、単に「埋蔵文化財包蔵地」と呼ばれることが多いです。
テレビ番組などで遺跡の発掘調査をしている映像を見たことがあるかもしれませんが、まさにそのような場所が該当します。
実は、この埋蔵文化財包蔵地の相続税評価について、以前は法律などで特別な計算ルールが明確に決められていませんでした。
しかし、令和6年(2024年)7月に国税庁から公式な評価の考え方が発表され、現在では明確な基準のもとで評価額を計算するようになっています。
基本的には周辺にある普通の土地と同じ方法でベースの金額を計算し、そこから特定のマイナス要因を差し引く形で評価します。
相続税の財産評価は、原則として土地の「時価」をベースに計算されます。
埋蔵文化財包蔵地には、この時価を下げるマイナス要因があるため、実際には評価額を下げることが可能です。
文化財保護法という法律により、文化財が埋まっている土地で住宅の建築や土木工事などを行う場合には、事前に行政への届出が必要になります。
その際、場合によっては行政から本格的な発掘調査を指示されることがあり、その発掘調査にかかる費用は原則として土地の所有者が負担しなければなりません。

この「将来的に発掘調査の費用を負担しなければならない可能性がある」という事実が、土地の時価を下げる大きな要因になります。
そのため、普通の土地として計算した評価額から「発掘調査費用に相当する金額」をマイナスして計算することが国税庁のルールでも認められています。
この発掘調査費用については、土木工事業者などが作成した見積額を使用します。
ただし、見積額の全額をそのままマイナスできるわけではなく、実際に控除できるのは「見積額の8割」となります。

この「8割控除」という基準は過去の裁判例などで使われていたものですが、現在では国税庁の公式な見解としてしっかりと明記されています。
ここで注意しなければならないのは、「文化財が埋まっているかもしれない」という単純な理由や漠然とした不安だけでは評価額を下げられない点です。
各自治体のホームページにある「遺跡マップ」や「埋蔵文化財地図」に載っている「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当していることが一つの目安になります。
ただし、最新の国税庁のルールでは、自治体のマップに載っていない土地であっても、実際に文化財が埋まっていて発掘費用の自己負担が生じるのであれば、評価減の対象になると明言されています。

一方で、発掘調査が行われることになっても、絶対に評価減ができるとは限りません。
なぜなら、所有者に「発掘調査費用の負担が発生しないケース」があるからです。
本格的な発掘調査を行う前には、行政の費用負担によって「試掘調査」と呼ばれる簡単な事前調査が行われます。
この試掘調査の結果、遺跡が存在する可能性が低いと判断された場合は、本格的な発掘調査は行われないため、自己負担も発生せず評価額のマイナスはできません。
さらに、発掘調査が行われる場合でも、費用の自己負担が発生しないケースがあります。
例えば、マンション建設のような営利目的の開発ではなく、「個人が自分の住むためのマイホームを建てる」といった非営利目的の場合です。
このような個人の専用住宅のケースでは、多くの自治体が発掘調査費用を公費で負担、あるいは補助してくれる制度を設けています。
このように、行政の補助などによって所有者の自己負担が一切発生しない場合も、土地の評価額を下げることはできません。