賢い相続をするために賢くない相続を知る
賢くない相続。
本当にいろいろあります。
簡単に10個ほど列挙すると以下のような事例があります。
- 遺言書に遺言執行者の記載がなく、納税期限までに相続財産の換金の手続きが間に合わない
- 遺言書の内容がざっくりすぎて、その通りに相続するとかなりの不平等が発生
- 不動産だけ相続させられ納税できない
- 相続時精算課税制度を理解しないまま選択適用し、後に後悔
- リビングニーズ特約を使い、死亡保険金が課税対象に
- 毎年の贈与が名義預金として認定され課税対象に
- へそくりが相続財産として課税対象に
- 親族間の貸し借りが相続財産の対象になると知らなかった
- 同じ敷地内に住んでいるのに、別居していたため小規模宅地等の特例が適用できない
- 生前に墓地・仏壇を購入していなかった
ここに記載しているものはあくまでも一部です。
まだまだ、注意しなくてはいけないことは多数あります。
なぜこのようなことになるのか?
理由としましては、相続と一口に言っても本当に多岐な項目にわたります。
- 遺言書はどうなっているの?(法的に有効?家庭裁判所の検認作業が必要?)
- 誰が法定相続人になるの?
- どのような財産が課税対象になるの?
- ●●制度は有効なの?
- 事前にどのようにすれば●●制度は受けられるの?
- 生命保険活用の節税って、そもそもなぜ生命保険が相続時の節税になるの?
- 相続人の間で揉めてまとまらない場合はどうするの?
- 相続税を立て替えて払ってもらったけど大丈夫?
- 1円も相続できないって、法律的にありなの?
- 気づけば税制改正されていて相続税がかかる?
専門家の私達ですら、あなたにとって賢い相続対策を練り上げることは、大変な作業です。
なぜなら一人一人事情が異なるからです。
賢い相続をするのは何かと大変なことなのです。
賢い相続は人それぞれ
よく相続関連の本をお読みになられて、ある一面だけの知識を習得し、それありきで相続税対策を考えてこられる方がいます。
例えば
- とにかく預貯金を不動産に変えればいい
- とにかく借金をすればいい
と思っている方が少なからずいます。
ただ、借金に至っては、単に借金をしただけでは何の意味もありません。
なぜ?
だって、借金したらその分の「現預金も同じように増えます」よね。
1億円の借金をしたら1億円の現預金が増える。
プラスマイナスゼロです。
冷静に考えればすぐわかることなのですが、とにかく節税ありきで考えてしまうと、そういったことも気づかないことがあります。
相続税対策にはいろいろな落とし穴があります。
あなたにとって賢い相続をするためにも、専門家と相談して相続税対策を考えていきましょう。
2次相続や相続後の生活設計を考えた場合【節税対策をしない】ことがあなたにとって賢い相続な場合もあります。
賢い相続をするために賢い贈与を知る
賢い相続をするためにも賢い贈与は必須です。
具体的には
- 110万円の基礎控除におさまる範囲で毎年贈与していく(暦年贈与)
- 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(最大1,500万円まで)の利用
- 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(最大1,000万円まで)の利用
- 20年婚姻配偶者贈与の利用(住む家を配偶者に贈る場合、2,000万円分は非課税というもの。いわゆる「おしどり贈与」)
でも、やみくもに贈与してはいけません。
簡単に上述の例の注意点を述べますと
- 贈与が定期的(毎年同じ日)におこなわれていたり、毎年固定額だったりすると、贈与開始の年に「贈与を毎年受ける権利が贈与された」とみなされ、基礎控除110万円が贈与開始の年のみにしか使えません。
- 贈与を受けた人が満30歳を迎える時点で使いきれずに残額があれば、その分は贈与税の対象になります。
- 贈与を受けた人が満50歳を迎える時点で使いきれずに残額があれば、その分は贈与税の対象になります。
- もともと配偶者の場合、相続税がかからないケースが多く、相続税の節税のメリットがなく、また贈与時の登録免許税や取得税がかかるので注意が必要です。
賢い生前贈与
贈与にも上述のような注意点はあります。
ただ、生前贈与は相続税対策の一つとして昔から利用されている制度で、やり方しだいでは強力な相続税対策になりえます。
また、認知症になれば生前贈与をすることもできなくなりますから、元気なうちに生前贈与することも重要です。
また、生前贈与は相続税対策としての税金面のメリットだけではなく、争続を防ぐ役目もあります。
遺言がない状態で相続が発生した場合、遺産をめぐって話し合いがうまくいかない場合が多く、相続人同士で争いが発生しやすなります。
しっかりと生前贈与を行っていれば、相続発生前に特定の人に財産をあげることで、自分の死亡後の争いをできるだけ防ぐことが可能となります。
なので「生前贈与は親族間の争いを避ける」という点でもメリットがあります。
ぜひ、賢い贈与をしていきましょう。
賢い贈与が賢い相続につながります。
財産を使い切ることが最高の相続対策?
最近、相続対策の話題を目や耳にする機会が増えてきたと、感じる方も多いのではないでしょうか?
そして、こんなことを聞いたことはないでしょうか?
最高の相続対策は【財産を残さないこと、使い切っちゃえばいいんだよ!】
たしかに財産も借金もなければ、相続の心配はいりません。
でも、そんなに都合よく財産を使い切れますでしょうか?
それに自分の財産ならまだしも、親の財産なら子が使ってしまっては、贈与税などの問題も生じかねません。
そうなると、やはり計画的に、それも早くから相続対策を練っておくことが望ましいと言えます。
とはいえ、相続対策と言っても一概にこうすれば良い、というものでもありません。
その方の年齢や家族構成、財産構成、目的などによって取るべき対策が異なってきます。
そこで
- いつまでに何をどうしたいのか
- 目的をはっきりさせておく
ことが大切になります。
- 相続税を減らしたいのか
- 円満な相続をしたいのか
などの目的です。
賢い相続対策の第一歩、それは相続対策の目的を明確にすることからはじまります。
相続対策に関心がございましたら、税理士法人 都心綜合会計事務所にご相談ください。
相談者様と共に最適な相続対策をサポート致します。
賢い相続を動画で解説
賢い相続について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・天野敬佑が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。