賢い相続の第一歩は【相続対策の目的を明確にする】こと

賢い相続は、人それぞれです。

ある相続人にとっては、相続税の節税よりも「相続人同士がもめないのが一番」と考える方もいらっしゃいます。

もちろん、この逆の場合もあります。

このため、賢い相続は【相続人の目的を達する】ことと言えます。

賢い相続をするためにも、まずは「相続対策の目的を明確」にしましょう。

賢い相続をするために、賢くない相続を知る

賢くない相続。

本当にいろいろあります。

簡単に10個ほど列挙すると以下のような事例があります。

  1. 遺言書に遺言執行者の記載がなく、納税期限までに相続財産の換金の手続きが間に合わない
  2. 遺言書の内容がざっくりすぎて、その通りに相続するとかなりの不平等が発生
  3. 不動産だけ相続させられ、納税できない
  4. 相続時精算課税制度を理解しないまま選択適用し、後に後悔
  5. リビングニーズ特約を使い、死亡保険金が課税対象に
  6. 毎年の贈与が名義預金として認定され課税対象に
  7. へそくりが相続財産として課税対象に
  8. 親族間の貸し借りが相続財産の対象になると知らなかった
  9. 同じ敷地内に住んでいるのに、別居していたため小規模宅地等の特例が適用できない
  10. 生前に墓地・仏壇を購入していなかった

4,8などは完全に知らなったために起きることであり、1,2,5,10などは被相続人(亡くなった人)側が意識しないといけなかったことです。

相続に関するルール
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賢い相続をするためにも、ポイントを押さえた相続の仕組みの理解は必要

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なぜこのようなことになるのか?

理由としましては、相続と一口に言っても本当に多岐な項目にわたります。

  • 遺言書はどうなっているの?(法的に有効?家庭裁判所の検認作業が必要?)
  • 誰が法定相続人になるの?
  • どのような財産が課税対象になるの?
  • ●●制度は有効なの?
  • 事前にどのようにすれば●●制度は受けられるの?
  • 生命保険活用の節税って、そもそもなぜ生命保険が相続時の節税になるの?
  • 相続人の間で揉めてまとまらない場合はどうするの?
  • 相続税を立て替えて払ってもらったけど大丈夫?
  • 1円も相続できないって、法律的にありなの?
  • 気づけば税制改正されていて相続税がかかる?
改正
改正
あなたの知らぬ間に相続に関する改正が・・

専門家の私達ですら、あなたにとって賢い相続税対策を練り上げることは、大変な作業です。

なぜなら一人一人事情が異なるからです。

賢い相続をするのは何かと大変なことなのです。

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賢い相続は人それぞれ

よく相続関連の本をお読みになられて、ある一面だけの知識を習得し、それありきで相続税対策を考えてこられる方がいます。

例えば、

  • とにかく預貯金を不動産に変えればいい
  • とにかく借金をすればいい

と思っている方が少なからずいます。

ただ、借金に至っては、単に借金をしただけでは何の意味もありません。

なぜ?

だって、借金したらその分の「現預金も同じように増えます」よね。

1億円の借金をしたら、1億円の現預金が増える。

プラスマイナスゼロです。

冷静に考えればすぐわかることなのですが、とにかく節税ありきで考えてしまうと、そういったことも気づかないことがあります。

相続税対策にはいろいろな落とし穴があります。

あなたにとって賢い相続をするためにも、専門家と相談して相続税対策を考えていきましょう。

相続相談
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専門家と必ず相談しましょう。

2次相続や相続後の生活設計を考えた場合、【節税対策をしない】ことがあなたにとって賢い相続な場合もあります。

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賢い相続をするために、賢い贈与を知る

賢い相続をするためにも、賢い贈与は必須です。

具体的には

  1. 110万円の基礎控除におさまる範囲で毎年贈与していく(暦年贈与)
  2. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(最大1500万円まで)の利用
  3. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(最大1000万円まで)の利用
  4. 20年婚姻配偶者贈与の利用(住む家を配偶者に贈る場合、2000万円分は非課税というもの。いわゆる「おしどり贈与」

でも、やみくもに贈与してはいけません。

簡単に上述の例の注意点を述べますと、

  1. 贈与が定期的(毎年同じ日)におこなわれていたり、毎年固定額だったりすると、贈与開始の年に「贈与を毎年受ける権利が贈与された」とみなされ、基礎控除110万円が贈与開始の年のみにしか使えません。
  2. 贈与を受けた人が満30歳を迎える時点で使いきれずに残額があれば、その分は贈与税の対象になります。
  3. 贈与を受けた人が満50歳を迎える時点で使いきれずに残額があれば、その分は贈与税の対象になります。
  4. もともと配偶者の場合、相続税がかからないケースが多く、相続税節税のメリットがなく、また贈与時の登録免許税や取得税がかかるので注意が必要です。
思わぬ落とし穴が
思わぬ落とし穴が
賢い相続するのは大変。色々な落とし穴があります。

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賢い生前贈与

贈与にも上述のような注意点はあります。

ただ、生前贈与は相続税対策の一つとして昔から利用されている制度で、やり方次第では強力な相続税対策になりえます。

また、認知症になれば生前贈与をすることもできなくなりますから、元気なうちに生前贈与することも重要です。

また、生前贈与は、相続税対策としての税金面のメリットだけではなく、(ちなみに贈与税は相続よりも高いです)争続を防ぐ役目もあります。

遺言がない状態で相続が発生した場合、遺産をめぐって話し合いがうまくいかない場合が多く、相続人同士で争いが発生しやすなります。

争続発生
争続発生
遺言がない場合、争続が発生しやすくなります。

しっかりと生前贈与を行っていれば、相続発生前に特定の人に財産をあげることで、自分の死亡後の争いをできるだけ防ぐことが可能となります。

なので、「生前贈与は親族間の争いを避ける」という点でもメリットがあります。

ぜひ、賢い贈与をしていきましょう。

賢い贈与が賢い相続につながります。

財産を使い切ることが最高の相続対策?

最近、相続対策の話題を目や耳にする機会が増えてきたと、感じる方も多いのではないでしょうか?

そして、こんなことを聞いたことはないでしょうか?

最高の相続対策は【財産を残さないこと、使い切っちゃえばいいんだよ!

使い切る
使い切る
最高の相続対策は財産を使い切ること?

たしかに財産も借金もなければ、相続の心配はいりません。

でも、そんなに都合よく財産を使い切れますでしょうか?

それに自分の財産ならまだしも、親の財産なら子が使ってしまっては、贈与税などの問題も生じかねません。

そうなると、やはり計画的に、それも早くから相続対策を練っておくことが望ましいと言えます。

とはいえ、相続対策と言っても、一概にこうすれば良い、というものでもありません。

その方の年齢や家族構成、財産構成、目的などによって取るべき対策が異なってきます。

そこで、

  • いつまでに何をどうしたいのか
  • 目的をはっきりさせておく

ことが大切になります。

  • 相続税を減らしたいのか
  • 円満な相続をしたいのか

などの目的です。

賢い相続対策の第一歩、それは相続対策の目的を明確にすることからはじまります。

目的を明確にする
目的を明確にする
目的を明確にすることが賢い相続対策の第一歩

相続対策に関心がございましたら、都心綜合会計事務所にご相談ください。

相談者様と共に最適な相続対策をサポート致します。

賢い相続を動画で解説

賢い相続について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・天野敬佑が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

賢い相続