
教育資金一括贈与の特例は、2026年(令和8年)3月末で新規の受付が完全に終了しました。すでに専用の口座を開設して制度を利用している方は、これまで通りに資金を引き出すことができます。しかし、度重なる税制改正によって、使い残したお金に対するルールが昔よりも格段に厳しくなっています。贈与してくれた方が亡くなった際の「相続税への持ち戻し」や、習い事に使える「23歳の年齢制限」など、今のルールを正しく理解しておくことが大切です。ここでは、すでに口座を持っている方が今後絶対に気をつけたい最新の注意点を、初心者向けにわかりやすく解説します。
教育資金一括贈与の特例とは、お孫さんや子供の教育資金として、最大1,500万円まで非課税で贈与できるお得な制度でした。
しかし、令和8年度(2026年度)の税制改正において、この制度の延長は行われないことが決まりました。
そのため、2026年3月31日をもって、金融機関での新規口座開設や、追加でお金を預け入れることは終了しています。
ただし、すでに専用口座を作ってお金を入れている方は、引き続き非課税で教育資金を引き出すことが可能です。

ここからは、すでに制度を利用中の方が「思わぬ税金」を払わずに済むよう、最新の厳格化されたルールを見ていきましょう。
この制度が始まった当初は、お金を贈与した祖父母などが亡くなっても、口座の残金には相続税がかからないという大きなメリットがありました。
しかし、富裕層による過度な節税を防ぐため、度重なる税制改正でルールが非常に厳しくなっています。
現在では、贈与者が亡くなった時点で口座に使い残しがあると、原則としてその残額は相続財産に加算されてしまいます。
この加算ルールのことを「持ち戻し」と呼びます。
お孫さん(受贈者)が23歳未満であったり、学校に在学中であったりする場合は、例外として持ち戻しの対象にはなりません。
しかし、令和5年の改正によって、さらに厳しい例外が設けられました。
それは、亡くなった贈与者の財産が5億円を超える場合、お孫さんが23歳未満であっても残金が全額加算されるというものです。
さらにお孫さんが相続税を払うことになった場合、本来の相続税額に2割が上乗せされる「2割加算」の対象にもなります。
昔の「無条件で持ち戻しがない」という知識のままでは大変危険ですので、くれぐれもご注意ください。
なお、「贈与者の財産が5億円超」のルールは2023年(令和5年)4月以降の資金が対象ですが、お孫さんへの「2割加算」は2021年(令和3年)4月以降の資金からすでに適用されています。
ただし、それ以前に預け入れた資金であっても、契約した時期によっては使い残しに相続税がかかるケースがあります。
ご自身の契約時期と当時のルールをしっかり確認しておきましょう。
贈与された資金は、学校などからの領収書を金融機関に提出することではじめて引き出せます。
このとき、お金の使い道によって非課税となる上限額が異なる点に注意が必要です。
学校等に対して直接支払う費用については、最大1,500万円まで利用することができます。
学校等以外の支払先に対する費用については、500万円が上限となります。

ここで非常に重要となるのが「年齢制限」です。
学習塾や習い事など「学校等以外」の支払いにこの資金を使えるのは、お孫さんなどが23歳に達するまでと法律で決められています。
23歳の誕生日以降は、学校等への支払いのみが非課税で引き出せる対象となります。
年齢が上がると使い道がぐっと限定されてしまうため、計画的にお金を利用しましょう。
この教育資金一括贈与の特例は、お孫さんなどが満30歳になった時点で専用口座が終了する仕組みです。
もし30歳を迎えた時点で口座に使いきれなかった残金がある場合、その残額に対して贈与税がかかってしまいます。

以前は、祖父母から成人した孫への贈与として、税率が安く優遇された「特例税率」で贈与税が計算されていました。
しかし、令和5年の税制改正により、この残金に対しては税率の高い「一般税率」が適用されることが変更されました。
ただし、こちらも2023年(令和5年)3月31日までに預け入れた資金の残額であれば、従来どおり特例税率で計算してもらえます。
このように、使い切れずに30歳を迎えた場合のペナルティは昔よりも大きくなっています。
残額が贈与税の基礎控除である110万円を超えていると、高い税金をご自身で納めなければなりません。
ただし、30歳を迎えた時点で「学校等に在学している場合」などに該当すれば、最長で40歳まで口座を延長できる特例もあります。
制度を利用中の方は、ご自身の状況と期限をしっかり把握し、教育資金として使い切ることを心がけましょう。