
大切なご家族が亡くなられた後、相続手続きは想像以上のスピードで進める必要があります。悲しみに暮れる間もなく、膨大な書類集めや相続税申告の準備が待ち受けているからです。金融機関がご逝去を知った時点で銀行口座は凍結され、原則としてお金の引き出しは制限されてしまいます。ただし現在は「預貯金の仮払い制度」があり、当面の生活費や葬儀費用として一定額までは引き出し可能です。とはいえ、心が落ち着いてから着手したいというのが本音だと思われますが、制度上のタイムリミットは待ってくれません。後悔を残さない相続を実現するためにも、全体の流れをあらかじめ把握しておくことが重要です。四十九日の法要が明ける頃には、具体的な手続きに向けて動き出せるように準備をしておきましょう。
生前に十分な対策を完了されていた場合を除き、残されたご家族には多くの課題が降りかかります。
具体的には、以下のような作業を順序立てて進めなければなりません。
法改正により生前贈与の加算期間は3年から7年へ段階的に延長されています。
2026年中の相続発生であれば過去3年分の確認で済みますが、2027年以降は徐々に確認期間が延びていく点に注意が必要です。
こうした一連の大変な作業を、わずか10か月という短い猶予のなかで終わらせる必要があります。
この期間は、驚くほどあっという間に過ぎ去ってしまいます。
ご遺族の皆様が実際に財産調査や話し合いを始められるのは、四十九日の法要が一段落してからになることが大半です。
そのため、実質的に動ける期間は半年程度しか残されていないケースも決して珍しくありません。
限られた時間のなかで、ゼロから財産を探し出し、話し合い、申告までを行うのは極めて過酷な作業です。
亡くなられた方が財産の一覧表を残していなかった場合、ご遺族が手探りで複数の銀行口座や不動産を特定しなければなりません。
不動産に関しては、2026年2月から法務局で「所有不動産記録証明制度」がスタートしました。
これにより、亡くなった方が所有している全国の不動産を一覧表で取得できるようになり、以前より調査の負担は軽減されています。
しかし、それでも調査作業全体には膨大な時間と労力を要し、精神的にも消耗してしまいます。
さらに、相続人同士が遠方に住んでいたり仕事で忙しかったりすると、全員で集まって話し合う時間を確保することすら難しくなります。
ただでさえ余裕のない状況で、遺産の分け方を巡って意見が対立し、「争族(争う相続)」に発展してしまったら取り返しがつきません。

話し合いが平行線をたどっている間にも、申告期限は容赦なく迫ってきます。
万が一、期限内に申告が終わらないと、税金を大幅に減らせる特例制度が利用できなくなるなどのデメリットが生じます。
その結果、特例を使わずに多額の税金を払い、とりあえず期限内に申告だけ済ませるという悪循環に陥る方が後を絶ちません。
時間に追われて焦ったまま申告を行うと、本当に納得のいく相続税対策を行うことは不可能です。
「自分だけ不利な遺産分割になってしまったのではないか。」
「もっと税金を安く抑える賢い方法があったのではないか。」
「生前にもっと話し合って、早めに準備をしておけばよかった。」
相続が終わった後に、このように深く後悔されるご遺族は非常に多いのが現実です。
いざ相続が発生すると、皆様が想像されている以上に時間は残されていません。
まずは「相続には厳しいタイムリミットがある」という事実だけでも、しっかりと覚えておいてください。

当事務所は創業から50年目を迎えますが、生前対策が全くされておらず、財産の一覧表すら存在しない状態からのサポートは今でも困難を極めます。
残されたご家族に重い負担を背負わせないためにも、生前の元気なうちから対策を講じておくことが何よりも大切です。
もし、事前準備がないまま相続が発生してしまった場合は、一刻も早く相続に強い専門家へご相談ください。
何度でもお伝えしますが、手続きを完了させるための時間は本当にありません。
参考までに、相続開始日(ご逝去された日)から相続税の申告期限に至るまでの、一般的なスケジュールをまとめました。
処理しなければならない項目の多さに、きっと驚かれることと思います。

長い人生のなかでも、身内の相続を経験することは多くても一回か二回程度だと思われます。
不慣れで大変な手続きだからこそ、絶対に後悔のない相続を実現していただきたいと私たちは強く願っております。

すでに相続が発生してしまっている方であっても、今から講じることができる対策は残されています。
ただし、手続きに使える時間は刻一刻と減り続けています。
相続税の申告や手続きでお悩みの方は、ぜひお早めに税理士法人・都心綜合会計事務所までご連絡ください。
経験豊富な専門家が、皆様からのご相談を心よりお待ちしております。