
遺言書で自身の遺留分が侵害されていることが分かっても、放置していては自動的に財産を受け取ることはできません。ご自身の最低限の権利を守るためには、「遺留分侵害額請求」を行う必要があります。この請求には厳格な時効が定められているため、早めの対応が肝心です。また、最初から必ず裁判になるわけではなく、まずは当事者同士の話し合いから手続きをスタートするのが一般的です。
亡くなった方の遺言書に、「愛人に全ての財産を譲る」など極端な内容が書かれていることがあります。
このような遺言内容は、残された家族の最低限の取り分である「遺留分」を大きく侵害しています。
(遺留分の詳しい内容は、遺留分とは?その計算方法や割合、兄弟との関係はにて記載しております。)
それでは、遺留分を侵害している遺言書は無効になるのでしょうか。
「無効になるから自分の財産は守られる」と安心しても良いのでしょうか。
結論から申し上げますと、安心することはできません。
遺留分を侵害していても、遺言書そのものは有効として扱われます。

つまり、あなたが何もしなければ、遺言書の記載通りに財産が引き継がれてしまいます。
時間が経てば、自動的に遺留分を取り戻せるような仕組みにはなっていません。

遺留分を侵害された相続人は、自らの権利を守るために「遺留分侵害額請求」を行わなければなりません。
これは、遺留分を侵害して財産を多く受け取った相手に対し、「侵害された遺留分に相当するお金を払ってください」と申し出る手続きです。
重要なポイントは、不動産などの財産そのものを直接取り返すのではなく、「お金(金銭)」での清算を求める権利だということです。
遺言自体を無かったことにする手続きではありません。
遺留分侵害額請求をわかりやすく表現すると、以下のようになります。
このような通告を、財産を多く受け取った相手(他の相続人や愛人、第三者など)に対して行います。
もし複数人があなたの遺留分を侵害している場合は、その全員に対して通告を行う必要があります。

この通告は口頭やメールでも法律上は可能ですが、後々のトラブルを防ぐためにも、証拠能力が高い「内容証明郵便」を利用して行うのが一般的です。
遺留分侵害額請求には、明確な期限(時効)が定められています。
上記のどちらか早い方の期限を迎えると、権利が消滅します。
例えば、相続が起きてから11年目に遺留分が侵害されていた事実を知ったとします。
この場合、すでに10年が経過しているため時効が成立しています。
相手に対して「侵害された分のお金を払って」と通告することは一切できなくなります。
時効には十分な注意が必要です。
では、具体的な請求の手続きはどのように進めればよいのでしょうか。
結論から言うと、遺留分侵害額請求の第一歩は「相手との話し合い(交渉)」です。
いきなり裁判所に訴える必要はありません。
どうしても話し合いがまとまらない場合や、相手が無視して交渉すらできない場合に、家庭裁判所の「調停手続き」を利用します。

まずは相手に「私の遺留分に相当するお金を払ってください」と内容証明郵便等で通告を行います。
そこで双方が納得し、支払いの合意ができれば、裁判を行うことなく解決します。
仮に調停や裁判へ発展したとしても、遺留分を侵害されている側は、法律で守られた正当な権利を主張しているため、基本的には有利な立場で進めることができます。

まずは期限内に相手へしっかりと通告を行い、証拠を残すことが何より重要です。
通告の際は、必ず配達証明付きの内容証明郵便を利用するようにしましょう。
ご自身の遺留分について疑問を感じたり、遺留分侵害額請求を検討されたりしている場合は、お気軽に税理士法人都心綜合会計事務所までご相談ください。
当事務所では、相続税対策から相続手続き、申告まで総合的にサポートしております。
なお、お電話での直接の相続相談は承っておりませんので、あらかじめご了承ください。