相続の税務調査で85.8%の方が追徴!その額は平均816万円
相続税の税務調査が入るとどうなるか?
正しく申告しているから何も問題はないはず・・。
しかし、現実には税務調査に入られた方の85.8%の方が追徴、いわゆる罰金(ペナルティ)を受けるという現実があります。
そして追徴税額の平均は816万円です。
ちなみに相続税が無申告の方の追徴税額の平均は1,570万円で、簡易な調査(電話や税務署への行くことなど)の場合は、追徴税額の平均は58万円となります。
これらについて詳しく知りたい方は、令和4事務年度における相続税の調査等の状況(国税庁HP)をご参照ください。
そして相続税の税務調査率(調査に入られる確率)は、令和4年度であれば5.4%、簡易な調査も含めると15.3%となります。
なお、どういう方が調査を受けやすいかは、税務調査はどういう場合に来やすいか?に記載しています。
しかし、なぜ85.8%もの方が追徴税を支払うことになるのか?
これには相続税、特有の難しさが関係しています。
税務調査と一口に言っても、法人税の範囲である会社の税務調査、所得税の範囲である個人の税務調査などがあります。
法人や個人(個人事業主)の税務調査であれば、簡単に言ってしまえば、
- 収入はいくらか
- 経費はいくらか
ということになります。
本来、収入であるものを計上してない。
本来、経費でないものを経費に計上している。
このような調査が基本であり、比較的シンプルで分かりやすいと言えます。
もちろん各税法独自の難しさはあります。
ただ、その中でも相続税は、税理士の知識と経験が特に求められる税法と言えます。
それは、例えば歪な土地の評価などは、ものすごく極端に言ってしまえば正解がないからです。

歪な土地の評価などは、あれが良くてこれがダメというようなものではない
相続税は「法人や個人のように収入は?経費は?」という世界ではなく、適正な評価額か?という世界だからです。
また、土地の評価額だけではありません。
例えば相続財産に絵画があったとします。
相続人の全員がその絵画には価値がないと思い、財産という認識もなく、絵画を財産に未計上で相続税の申告をしました。
でも実際は、ものすごく価値のあるものだったら?
それが税務調査で判明したら?
もうこの時点で追徴税額です。
逆の場合もあります。
価値のある絵画として、鑑定結果の金額を相続財産として申告。
でも、後にその絵画が贋作と判明し、価値がないものになった。
(この場合は相続の申告をやり直し、払いすぎた税金を税務署から還付してもらいます。)
絵画の例は分かりやすかったかもしれません。
では、これが土地の評価だったら?
歪な土地であればあるほど、その土地を誰が評価したかによって、評価額は変わってきます。(詳しくは、財産評価は税理士で激変!利用価値が低い土地は減額可能かも?に記載しています。)
では、その評価額は適正なのか?
そうです。
相続税は簡単にコレが間違っているから修正してください。罰金です。といようなシモロノではありません。
土地の評価ひとつにしても、申告した税理士と税務署側で見解が分かれることはザラです。
よって、相続税の税務調査対策には、税法の理解はもちろん、その他の幅広い知識や経験などが必要となってきます。
相続人の方は、普通であれば相続人になるのは一生に1~2回です。
そして、相続税の申告をした税理士が相続に詳しくなかったら・・
国は資産税に力を入れてきていることもあり、優秀な人材が相続税(いわゆる資産税)に集まっているとも言われています。
また、ただでさえ税務調査官はその道のスペシャリスト(法人なら法人のスペシャリスト、相続なら相続のスペシャリスト)です。
結果的に調査に入られたかの85.8%の方が、平均816万円もの追徴税額を受けるという事態になります。
税務調査の際に「脱税」しているのでは?と思われる事項
税務調査の際、以下のような事項が判明すると脱税しているのでは?と疑われやすくなります。
- 死亡した人の預貯金から不明な出金がある
- 故人の過去の収入と比べて、遺産が少ない
- 専業主婦にもかからわず、預金や株をたくさん持っている
- 子供が遠方に住んでいるのに、故人の近くの銀行に子供名義の預金がある
税務調査の際の「署名や押印」は義務ではない
税務調査の際に絶対にしてはならないことがあります。
ちなみに以下のようなことではありません。
- 脱税をあきらめる
- 隠していた財産を明かす
- 生活費という名目で豪遊していたと正直に話す
ちなみに上記に該当するような方は、都心綜合会計事務所では相続税の申告はお断りさせて頂きます。
ここでいう、税務調査の際に絶対にしてはならないこと=脱税がバレない方法や税務職員をだます方法といった意味ではありません。
税務調査の際に絶対にしてはならないこと!
それはズバリ署名や捺印に応じないことです。

税務調査の際に署名や押印をしてはならない
税務調査の際に「署名や捺印」を求められることがあります。
ただ、その署名や捺印する文書は
- 申告モレがある
- 相続人の反省の気持ちがある
など、相続人が申告モレをして申し訳ありません、というような内容になっている場合があります。
これは本当に申告モレなのか微妙な時などに、税務署側が有利にしようとするための行為です。
反省文のようなものに署名したからといって、調査が甘くなったり、仮に追徴税が発生した場合に、その金額が安くなるというものでもありません。
逆に税務署側に有利となる証拠を与えるようなものです。
本当に財産を隠していたり、もともと脱税するつもりという方は論外ですが、相続税では見解の相違が発生しやすい分野です。
税務署側の言っていることに納得できないけれども、調査を早く終わらせたいなどの気持ちで、気軽に税務署側が提示した書類に署名・押印をしてはいけません。
調査官が署名・押印を求めてくるということは、逆に言えば、それだけ課税する根拠が乏しいということでもあります。

調査官が署名・押印を求めてくるということは、課税する根拠が乏しいとも言える
なので、納税者に不正を認めさせ課税するということです。
そして、その文書のタイトルは確認書などといった場合が多く、中身を精査せずに署名や押印すると、後に大変なことになります。
税務調査に入られて、何かに署名・押印することは義務ではありません。
税務調査の際には署名・押印はしないようにしましょう。
申告漏れ注意チェックリスト
以下は相続税申告の際に漏れやすい主な財産です。
税務調査でトラブルに発展しないためにも、相続税の申告前に必ず確認しておきましょう。
- 共有不動産
- 先代名義の不動産
- 別荘や遠方の不動産
- 借地権
- 出資金
- 取引相場のない株式
- 同族会社への貸付金や未収入金
- 相続開始直前に引き出したお金
- 相続開始3年以内の相続人への贈与
- タンス株
- 上場株式や単元未満株
- 私道
- 金地金
- 自動車
- 海外財産
- タンス預金
- 家財などの動産