法人等への相続は可能で「法人税」か「相続税」がかかる

法人等への相続について、解説しています。

法人(株式会社)や同好会などへ財産を相続させることは可能

自分の妻や子供よりも、自分が所属していた○○同好会や△△株式会社に財産を相続させたい。

少なからず、そのように思う方もいらっしゃるかもしれません。

では、その○○同好会や△△株式会社に財産を相続させることは出来るのか?

結論から言いますと、【遺贈や死因贈与】で相続させることは出来ます。

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遺贈とは死因贈与とは

法人に相続させることはもちろん、同好会などにも相続させることは可能です。

同好会
同好会
法人のみならず、同好会などにも相続させることは可能

相続というのは、誰かが亡くなると相続人が発生します。

この相続人は民法で決まっています。

遺贈(遺言で相続させること)や死因贈与(被相続人の死亡の伴い発生する贈与)であれば、相続させる相手を○○同好会や△△株式会社に指定することが出来ます。

株式会社や同好会以外に、以下のような所にも相続させることは出来ます。

(例)

  1. 町内会
  2. PTA
  3. 同窓会
  4. 公益財団法人
  5. 社会福祉法人
  6. 学校法人

法人などが財産を相続すると、相続税はどうなるの?

株式会社や同好会、学校法人が相続によって財産を取得した場合の相続税はどうなるか?

これは以下のようになります。

人格のない社団又は財団の場合

人格のない社団又は財団は、以下のようなものを言います。

  1. 町内会
  2. PTA
  3. 同窓会
  4. 後援会
  5. 同好会

人格のない社団又は財団については、「個人とみなして」相続税が課税されます。

町内会
町内会
町内会などへの相続は、個人とみなして相続税が課税される

法人(株式会社)などの場合

相続税ではなく、法人税がかかります。

法人は相続税の納税対象者とはならないためです。

株式会社
株式会社
株式会社などの法人は、相続税の納税対象者ではない

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赤字会社などの法人への相続で相続税を無税にする

持分の定めのない法人の場合

持分の定めのない法人は、以下のようなものを言います。

  1. 公益財団法人
  2. 公益社団法人
  3. 一般財団法人
  4. 一般社団法人
  5. 社会福祉法人
  6. 学校法人

法人は相続税の納税対象者とはならないので、相続税は基本かかりません。

ただし、持分の定めのない法人の場合は、「相続税がかかる場合」があります。

それは、持分の定めのない法人を利用して、不当に相続税を安くしようとしたり、相続税の課税を逃れようとした場合です。

課税逃れ
課税逃れ
持分の定めのない法人を利用して、課税逃れをしようとした場合には、個人とみなされて相続税がかかる

どういうことか?

例えば、相続人が一般社団法人の理事だったとします。

一般社団法人から適正に働いた分の給料等を貰っていれば、その社団が相続しても相続税はかかりません。

ただし、相続人が一般社団法人の理事でも、働かずに不当に毎月数百万などを、その一般社団法人から貰っていた場合、その社団は個人とみなして、相続税がかかります。

そして、その理事が相続人でなく、相続人と特別な関係のある人(例えば内縁の妻など)でも、同様の取り扱いとなります。

相続人が直接相続すると相続税がかかるので、「一旦、相続人と関係のある一般社団法人などに相続させて」、その一般社団法人から、不当に給料などをもらうのは許しませんよ(相続税を課税しますよ)ということです。

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一般社団法人を利用した相続税対策は今も可能?

ちなみに、法人税が既に課税されていた状態で、相続税が課税された場合、その相続税額から法人税額分が控除されます。

動画で解説

法人への相続について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

遺産を法人や団体に相続させることは可能?

動画内容

今回は、遺産を法人や団体に相続させことが可能か、ということについて、お話しをさせて頂きます。

結論からいいますと、法人や団体に遺産を相続させることは可能です。

株式会社や、社団法人、財団法人、それから町内会や同好会、PTAなども、遺産を相続させる相手として、選ぶことができます。

ご自身が生前に所属していた法人に、思い入れのある方であれば、ご自身の家族よりも、そちらに遺産を遺したい、という気持ちがあるのかも知れません。

では、どうやって相続させるかというと、遺言書による遺贈や死因贈与によって行います。

死因贈与とは、生前のうちに「私が死んだらこの遺産を贈与します」という契約を、相手と結んでおく方法のことです。

法人や同好会などの団体は、法律上の相続権をもつわけではありませんので、厳密にいえば相続ではなく、遺言書や死因贈与契約による、贈与という形をとることになります。

契約
契約

さて、それでは遺産を受け取った法人や団体はどうなるのかというと、遺産に対して税金が発生します。

まず、町内会やPTA、同好会などが遺産を取得した場合は、相続税がかかります。

このような団体を、人格のない社団や財団というのですが、この人格のない社団や財団が遺産を取得した場合は、個人とみなされ、相続税が課税されます。

続いて、株式会社や有限会社といった、一般的な法人が遺産を取得した場合、これは相続税の対象にはなりません。

ただし、受け取った財産に法人税がかかります。

最後に、一般社団法人など、持ち分の定めのない法人といわれる法人についてですが、この法人は、財産を受け取っても、税金は基本的には収益事業にしかかからない、ということとなっています。

ただし、このことを利用して、親族の相続税を不当に安くするために、遺産を法人に相続させると、相続税がかかることがあります。

たとえば、1億円の財産があった場合、この財産を相続人がそのまま相続すると、相続税がかかってしまいます。

そこで、被相続人や相続人と特別に親しい関係にある人が、理事を務める一般社団法人に、この1億円をいったん相続させておき、その後、相続人がその一般社団法人から、給与など何らかの名目で、財産を受け取るケースです。

もちろん、働いた分の給与を受け取るのなら相続税の対象にはなりませんが、その働きに見合っていない多額の資金を受け取った場合には、相続税を不当に安くするための相続だったとされてしまい、相続税の課税対象となってしまいます。

法人への相続は、このような特性をふまえて、十分注意して行いましょう。