
事業承継税制を活用すれば、後継者に自社株を引き継ぐ際の贈与税や相続税を実質ゼロにすることが可能です。会社の業績が良いほど自社株の評価額は高くなり、その税負担がスムーズな代替わりの大きな障害となってきました。国はこの問題を解決するため、期間限定の「特例措置」を設け、中小企業の世代交代を強力にバックアップしています。
事業承継税制とは、後継者が引き継いだ自社株にかかる贈与税や相続税の「納税」を猶予し、最終的に免除する制度です。
まず、生前贈与で自社株を渡した場合、後継者が支払うべき贈与税が全額猶予されます。
その後、先代経営者が亡くなった時に、その猶予されていた贈与税は正式に「免除」されます。
代わりに相続税が発生しますが、手続きを継続することで、今度は相続税の納税が猶予されます。
さらに次の世代へバトンタッチした際、その相続税も全額免除となるため、実質的な税負担は「ゼロ」のまま継続できる仕組みです。
なお、税負担が実質ゼロになる場合でも、必ず期限内に税務署への申告手続きを行わなければならない点には注意が必要です。
現在の制度(特例措置)では、多様な承継スタイルに対応できるようになっています。
例えば、代表者一人だけでなく、親族が保有する株式もまとめて対象にすることが可能です。
また、後継者は必ずしも一人である必要はなく、最大3人までの共同経営者へ引き継ぐ場合でも、それぞれがこの税制の適用を受けられます。
さらに、親族以外の従業員や外部の優秀な人材を後継者にするケースでも活用できます。
これにより、家族経営から組織経営へのスムーズな移行も税負担なく進めることができます。
この強力な特例措置を利用するためには、法律で定められた「2つの期限」を絶対に守らなければなりません。
1つ目は、都道府県知事へ「特例承継計画」を提出する期限です。
この期限は延長の結果、現在は「2027年9月30日」までとなっています。
2つ目は、実際に自社株の贈与や相続を行う期限です。
こちらは「2027年12月31日」までに実施されたものだけが、税制優遇の対象となります。
また、2025年の改正により、後継者の役員就任要件が大幅に緩和されました。
これまでは「3年以上役員であること」が必要でしたが、現在は贈与の直前までに役員であれば利用可能です。
承継後5年間の雇用維持条件についても、もし従業員数が減ってしまった場合でも、適切な理由を報告すれば猶予が取り消されることはありません。
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