税務調査は無作為で行われているわけではない

税務署も申告内容を確認したり、内容を調査したりする時間が必要ですので、申告後すぐに来るわけではありません。

また、税務調査は無作為で行われているわけではありません。

無作為
無作為
税務調査先は無作為に選ばれている訳ではない

調査の対象になりやすい申告、簡単に言うと、目をつけられやすい申告というものがあります。

いつ頃来るのか?

どのように調査されるのか?

どういう場合に来やすいか?

税務調査を避けやすくする方法はないのか?

といったことを解説しています。

相続税の税務調査は遅れてやって来る

通常、相続税に限らず税務調査は申告後、しばらく経ってから来ます。

ただ、このしばらくの長さですが、相続税の調査の場合は、申告後半年から2年後といった場合が多く、かなり遅れてやってきます。

なので、忘れた頃にやってくる場合が多いです。

そして、相続税の税務調査は秋頃に来る傾向があります。

ただ、もちろんですが秋頃以外に税務調査が来る場合もあります。

税務調査
税務調査
税務調査は用心している時よりも、忘れた頃にやってくる場合が多いです。

これは納税者のところに実際に調査に入る前に、税務署が下調べをする為で、この下調べにある程度の期間が必要だからです。

これを【準備調査】といいます。

下調べ
下調べ
実際の調査に入る前に、税務署は下調べをします。

ちなみに、相続税で一番多い申告漏れの財産は現預金です。

次に土地・有価証券の順番となっています。

そして、相続財産の多い方の方が、やはり税務調査は入られやすいです。

税務署は相続税の課税になりそうな人を、既にリストアップしているとも言われ、相続財産があればあるほど、税務調査を受ける確率は高くなります。

税務職員がいきなり訪れてくることはありません

相続税の調査がある場合、事前に税務署から連絡があります。

そこで調査予定日などを調整します。

そして通常、相続税の申告は税理士に依頼していることが多いと思います。

税理士に依頼して相続税の申告をし、事前通知に関する納税者の同意が記載された「税務代理権限証書を税務署に提出している場合」には、納税者ではなく、税理士に税務署から電話で連絡が来ます。

なので、この場合には納税者に税務署からの電話が来ることもありません。

税理士
税理士
相続税の申告を税理士に依頼し、事前通知に関する納税者の同意が記載された税務代理権限証書を提出した場合、税務署からの調査の電話は納税者ではなく税理士に来ます。

税務調査はどのように行われるか

実際に税務調査に来る税務職員の人数は2名前後が多いです。

そして、調査期間は2日間が多く、被相続人(故人)の自宅で行われます。

そこで、調査官から質問を受けるという形になります。

調査官は調査のベテランです。

変な隠し事は、まず通じないと思った方が賢明です。

ただし、相続税の調査は、申告後半年から2年後に実施される場合が多く、本当に申告内容を忘れてしまったという方も少なくありません。

その場合、正直にその旨をいいましょう。

忘れた
忘れた
申告後半年から2年も経つと、本当に相続税の申告内容を忘れてしまうこともあります。

調査官は下調べをした上で来ています。

既に大体の内容は分かった上で調査に来ていますので、変な隠し事や憶測で発言すると、無意味な疑いをもたれる可能性も出てきます。

分からないことは分からない。

覚えていないことは、覚えていないとはっきり言いましょう。

疑い
疑い
変な隠し事はもちろんダメですが、憶測での発言で変な疑いをもたれる可能性もあります。知らない場合は知らないとはっきり答えましょう。

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税務調査はどういう場合に来やすいか?

以下のような場合、税務調査が来やすくなります。

  1. 申告書に間違いがある
  2. 申告書に添付されている資料が理解しづらい
  3. 相続財産が少ないと思われる
  4. 相続財産が約3億円超

1の申告書に誤りや間違いがある場合には、調査が来やすくなります。

また、2の添付資料に不備があったり、分かりづらかったりしても同様です。

これを防ぐには、綺麗で間違いのない申告書を作成する必要があります。

会計事務所によっては、費用削減から添付資料は全て白黒で印刷して提出するという噂を聞いたことがあります。

ただ、税務職員も人間です。

カラーでないと分かりづらい資料は、ちゃんとカラーで提出しましょう。

そういった小さなことから税務調査を招いては本末転倒です。

理解不能
理解不能
税務職員も人間です。仮に何の間違いもない申告書だとしても、理解できない資料などを添付した場合は、不要な税務調査を招きかねません。

そして3の相続財産が少ないと思われる、というのは既に税務署は相続税が発生するような方は、ある程度資産を把握しているとも言われています。(被相続人の過去の確定申告データなどにより)

税務署が推定している財産より「著しく少ない金額」の相続税申告の場合には、やはり税務調査を受けやすくなります。

そして、申告書も完璧、税務署が推定している金額と同じくらいの額で相続税の申告をしても、相続財産が約3億円超の場合には税務調査を受ける確率は高まります。

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税務調査を避けやすくする方法

実は税務調査を避ける方法、厳密に言いますと、税務調査が入る確率を減らす方法というものがあります。

それは、相続税申告書に税理士による計算事項等を記載した【書面添付を付けて申告する】という方法です。

そんないい制度があるのか?じゃぁー、絶対に頼んだ税理士に書面添付を付けて申告してもらう、と思う方が大半かと思います。

ただ、そう簡単にはいきません。

この書面添付を付けて申告するということは、税理士にとってリスクがあります。

簡単に言ってしまえば、書面添付というのは、この納税者は正しく相続税を計算し、相続財産の漏れや隠し事もなく、正しい申告であることを、私〇〇税理士が保証します、というものです。

書面添付
書面添付
書面添付とは、この相続税の申告書は間違いなく正しいです。税理士である〇〇が保証します。というような制度

税務署側から見た場合、○○税理士さんがこの納税者は正しく申告しているということを保証しているのか?じゃぁー、あまり調査しなくてもいいかなー?というような感じの制度です。

でも、実は書面添付を付けているにも関わらず、相続財産の漏れや隠し事があったら?

隠し事
隠し事
書面添付を付けているにも関わらず、相続財産の漏れや隠し事があったら大変なことに・・

この場合、悪質なのか、単純なミスなどかにもより違ってきますが、最悪、その○○税理士に【業務停止命令】などもあり得ます。

税理士から見ると、この書面添付を付けて申告することは、このようなリスクを伴います。

リスク
リスク
書面添付は税理士にとってリスクがあります。

なので、本当に一点の曇りもないような相続税の申告書でないと、基本的に書面添付を付けて申告することが出来ません。

税理士にとって危険だからです。

相続人が被相続人の財産を全て把握していない場合もあります。

相続税の申告後に「相続人の誰も知らなった預金や財産」があった、などということも珍しくはありません。

珍しくない
珍しくない
相続税の申告後に、相続人が知らなかった被相続人(故人)の財産がでてくることは珍しくありません。

このように、相続人が被相続人の財産を全てきっちり把握していない場合などには、通常書面添付を付けて相続税を申告することは出来ません。

また、書面添付を付けて相続税を申告したからといって、「100%調査が省略される」かというと、そういう訳でもありません。

調査が来る場合もあります。

100%ではない
100%ではない
書面添付を付けたからといって、100%調査がこないというわけではありません。

ただ、一つ言えることは、税務調査が来ようが来まいが、正しく申告すれば何の問題もありません。

問題ない
問題ない
正しく申告すれば、税務調査が来ても何の問題もありません。

相続が発生した。

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ベストな相続税申告のお手伝いを致します。

なお、相続税対策(節税対策)はもちろん致しますが、脱税相談等は一切お断り致しております。

相続税の税務調査について動画で解説

相続税の税務調査はいつ頃来るのか?また、税務調査が入りやすいのはどういった場合か?について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

相続税の税務調査はいつ頃来る?

動画内容

相続税の申告をすると、その内容が本当に正しいかどうか確かめるために、税務職員が家にやってきて、調査が行われることがあります。

税務調査は2人くらいで、亡くなった方の自宅にやってくる場合が多く、2日間ほどかけて行われることが一般的です。

その間、相続人の方は、主に、申告内容についての質問を受けたり、資料の提出を求められたりと、対応に追われることとなります。

そして、この税務調査は、相続税の申告を行った後、半年から2年ほど経ってから、行われることが多いです。

税務署も申告内容を確認したり、内容を調査したりする時間が必要ですので、申告後すぐに来るわけではありません。

税務調査は、無作為で行われているわけではありません。

調査の対象になりやすい申告、簡単に言うと、目をつけられやすい申告、というものがあります。

どのような申告かというと、まずは、申告書に間違いがある場合や、申告書に添付されている資料に不備があるものです。

申告書や資料がまずければ、申告した内容も疑わしい、と思われるのは当然のことです。

続いて、申告した相続財産が単純に高額である場合も、税務調査の対象になりやすいといえます。

おおむね3億円を超えると、対象になる確率が高まると考えてよいでしょう。

また、税務署が予想していた額より、申告された相続財産が少なかったという場合も、税務調査の対象になりやすいといえます。

税務署は、それまでの確定申告書などの情報から、個人の財産をある程度把握しています。

もし税務署が把握している情報よりも、相続税の申告書に書かれた財産が極端に少なければ、脱税のために財産を隠したのではないか?と疑われやすくなります。

このような基準で税務調査が入りやすくなるのですが、逆に、税務調査を避けやすくする方法もあります。

それが、税理士の書面添付です。

税理士の書面添付とは、相続税の申告内容について、税理士が正しいものであることを、保証する専用の書面を添付することをいいます。

税理士にとっては、自身が書面添付を行った申告書が、万が一嘘の内容だった場合、業務停止などの処分を受けるリスクもある書類ですので、安々と添付できるものではありません。

それだけに、税務署からも税理士の書面添付が行われている申告書は、信頼されやすくなります。

ただし、100%税務調査の対象にならないわけではなく、財産額が多い申告や、他の理由で税務署が調査すると決めたときは、書面添付をしていても税務調査の対象になります。

今回は税務調査についてのお話でしたが、仮に税務調査が入っても、正しく相続税の申告を行っていれば何も怖くありません。

適正な相続税の申告なら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せ下さい。