死亡時に法律上の配偶者かどうかがポイント

「離婚協議中」や「再婚」した場合でも、相続人になれるのどうかについて、解説しています。

配偶者は必ず相続人になれる

配偶者とは正式な婚姻関係にある夫や妻のことです。

内縁関係の方や愛人の方は、配偶者とはなりません。

正式な婚姻関係とは、戸籍上配偶者になっていることを意味します。

そして配偶者であれば、他の相続人がどうであろうと常に相続人になります。

配偶者
配偶者
配偶者であれば、他の相続人がどうであろうと常に相続人

ちなみに、ここでいう配偶者とは被相続人(故人)の配偶者のことであり、相続人の配偶者のことではありません。

そして、厳密には「相続開始時点における(故人が亡くなった時点における)」被相続人の配偶者が相続人になります。

なので、被相続人が亡くなる前日に離婚が成立した場合でも、その配偶者であった方は相続人になれません。

離婚成立
離婚成立
被相続人が亡くなる直前の離婚成立でも、配偶者は相続人になれません。

逆に被相続人が亡くなる寸前まで離婚協議中であったとしても、離婚が成立していなければ配偶者の方は相続人になれます。
(ちなみに離婚訴訟中に被相続人が死亡すると、その時点で離婚訴訟は終了となります。また、離婚訴訟を遺族は承継出来ません。)

また、1日前に被相続人の正式な配偶者になった場合には、その方は相続人になれます。

あくまでも、被相続人の死亡時の配偶者のみが相続人になるのであり、離婚した過去の配偶者は相続人になれません。

再婚しても相続できる?

被相続人の死亡後、別の方と再婚しても相続出来ます。

再婚しても配偶者は相続権を失いません。

あくまでも被相続人の死亡時に配偶者であれば相続人になりますので、たとえ遺産分割協議がまとまっていなくても、配偶者として遺産を相続する権利はなくなりません。

権利
権利
被相続人の死亡時に配偶者であれば、遺産を相続する権利はなくなりません。

遺産分割がまとまっていない状態では、被相続人の遺産は相続間で共有の状態になっています。

ただし、遺族年金は再婚により停止されます。

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遺族年金等の給付手続きをすることは相続税対策に等しい行為

被相続人の生前に配偶者が不貞をしていた場合

不貞の有無は相続に関係ありません。

なので、被相続人の生前に配偶者が不貞をしていたとしても、その配偶者の相続権が失われることはありません。

不貞
不貞
不貞の有無は相続に関係ありません。

ただし、不貞が原因で相続開始前に離婚が成立すれば、もちろんその配偶者の相続権はなくなります。

ただ、相続開始時点に離婚が成立していなければ、配偶者の相続権は失われません。

勝手に離婚届を出された場合など

  • 偽装離婚をした
  • 騙されて離婚した
  • 脅迫されて離婚した
  • 本人の同意なく勝手に離婚届を出された

これらのような場合には、「離婚そのものが無効、または取り消し」になるのかどうかという問題になります。

無効や取消
無効や取消
離婚そのものが無効または取り消しになるのかどうかが問題

たとえば借金の取り立てから逃れるために妻に財産を託し、その後離婚し夫が自己破産した場合などには、仮にこの離婚が偽装離婚であたっとしても、離婚が有効であれば配偶者に相続権はありません。

ただ、脅迫や騙されて離婚した場合には、離婚の取消しができます。

この場合には「相続権は失われない」ことになります。

後妻業への対応は一番の相続税対策?

後妻業(ごさいぎょう)という言葉があります。

これは(高齢者の遺産を狙った犯罪を題材にした)とある小説の本のタイトルです。

財産目的で妻に先立たれた資産家の妻になり、その遺産を相続していく方達や、それを生業としていることを指す言葉として、定着している感があります。

そして、実際に相続人の気づかぬうちに親が再婚していた。

相続が発生して、はじめて再婚していたことに気づいた。

まさか配偶者がいるとは思っていなかった。

再婚
再婚
気づけば再婚している。

しかし後の祭りです。

この時点で【後妻の法定相続分は1/2】となります。

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法定相続分

下手をすると、遺言書で全ての財産を後妻へ、などと記載されているかもしれません。

こうなってきますと、(後妻がいない前提で)相続税対策をしても、ほとんど意味がありません。

このような事態に陥らないためにも、

  1. 親とマメに連絡を取る
  2. 戸籍を確認する

といったことをしましょう。

後妻業への対応は、被相続人への認知症対策と同じくらい、相続税対策としては重要と言えるかもしれません。

動画で解説

離婚協議中や再婚した場合でも、配偶者として相続人になれるかどうかについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

離婚協議中や再婚した場合でも相続人になれる?

動画内容

まず、亡くなられた方に妻や夫がいる場合、その妻や夫は必ず相続人になります。

ただし、亡くなられた時に、その方が「法律上の配偶者である」ことが必要です。

たとえば離婚協議中で、明日離婚届を提出しに行くという日に、夫が亡くなった場合でも、妻はそのときはまだ配偶者ですから、配偶者として相続人になります。

別居中でも夫が浮気をしている場合でも、とにかく離婚をしていなければ法律上は配偶者です。

また、夫を亡くして相続人となった妻が、夫が亡くなってすぐに別の男性と再婚したとしても、相続が発生した時点で離婚をしていないわけですから、相続人であることに変わりはありません。

逆に、相続が発生する1日前に離婚していた場合は、相続の時には配偶者ではないため相続権はありません。

あくまで亡くなったときに、法律上の配偶者かどうかがポイントになります。

それでは、もし配偶者に脅されたり騙されたりして、離婚届を書いて(出して)しまった場合は、どうなるのでしょうか。

脅迫や詐欺によって離婚をした場合、その離婚は後から取り消すことができます。

ただし、偽装離婚などを行ったあとに相続が発生して、あれは偽装離婚でした、と主張してもそれは通らず、相続人にはなれません。

さて最近、後妻業という言葉が、世間に定着しているように感じます。

簡単にいうと、配偶者に先立たれた人などと、遺産目当てで結婚することを繰り返している人のことです。

ドラマの中だけの話として、片付けてしまうのではなく、高齢のご家族と離れて暮らしている方は、少し注意をしてあげてください。

騙されているかどうかはさておき、2人の意思で婚姻届をだしている以上、後妻には配偶者としての相続権があります。

もしそうなれば、遺産の大部分は、後妻が自分の意思で放棄をしない限り、後妻が受け取ることになります。

知らないうちに、高齢のご家族が怪しい相手と結婚してしまった、ということにならないよう、心配な方はマメに連絡をとったり、時には戸籍をとりよせて、確認したりしておくことが大切です。