
代襲相続とは、本来相続人となるべき人が相続開始以前に死亡していることなどにより財産を受け取れない場合、その人の直系卑属(子供や孫など)が代わりに相続することをいいます。代襲相続が発生する原因には、「死亡・欠格・廃除」の3つがあります。
代襲相続は、本来であれば相続権を持っている人が、以下のいずれかの理由で財産を受け継げない場合に、その人の直系卑属(※下記参照)が代わりに相続することを指します。
※相続欠格や廃除についての詳しい解説は、相続人にならないケースは放棄・欠格・廃除・同時死亡の4つあるをご覧ください。
【ポイント】ひ孫へと続く「再代襲(さいだいしゅう)」
代襲相続人となるはずの孫もすでに亡くなっているなどの理由で相続できない場合、さらにその下の世代である「ひ孫」へと代襲相続が続きます。これを「再代襲(さいだいしゅう)」と呼びます。被相続人の直系卑属(下の世代)へは、条件を満たす限りどこまでも代襲相続が続きます。
ここで、代襲相続に関して最も間違いやすい重要な注意点があります。
それは、「相続の放棄」は代襲相続の原因にはならないということです。
「自分は財産をいらないから相続放棄をして、その分を自分の子供(亡くなった方から見た孫)に相続させたい」と考える方がいらっしゃいますが、この方法は認められていません。

代襲相続の本来の理念は、「もしその人が生きて(または正当に)相続していれば、いずれはその子供に財産が引き継がれたはずだ」という考えに基づいています。
しかし、相続放棄は「本来相続できる権利があるのに、自らの意思でその権利を手放した」という状態です。そのため、代襲相続の理念とは異なり、相続放棄をした人の子供が代わりに相続することはできない仕組みになっています。

(*)直系卑属とは
子や孫など、自分より下の世代で直通する系統の親族を指します。養子やその孫も含まれますが、兄弟姉妹や甥・姪、子供の配偶者は含まれません。詳しくは【血族と姻族の違い】や【親族や親等数】について徹底解説をご参照ください。
被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹がすでに亡くなっているなど、代襲相続の条件に当てはまる場合は、その兄弟姉妹の子供(甥や姪)が代襲相続人になります。
ただし、兄弟姉妹の代襲相続は「兄弟姉妹の子供(一代限り)」までと法律で決まっています。そのため、甥や姪も亡くなっていた場合、その先の孫やひ孫へと「再代襲」が続くことはありません。

どのような順番で兄弟姉妹が相続人になるかについては、法定相続人になれるルールは第1位~第3位まであるで詳しく解説しています。
被相続人(亡くなった方)の父母や祖父母などの「直系尊属」にも代襲相続はあるのでしょうか?
例えば、「被相続人の父はすでに亡くなっているが、祖父は健在である」といったケースで、祖父は財産を相続できるのでしょうか。
結論から言うと、状況によっては祖父が財産を相続できるケースはありますが、それは代襲相続によって相続するわけではありません。
そもそも、直系尊属(※下記参照)には代襲相続という仕組み自体が存在しません。

父母や祖父母といった直系尊属が相続人になれるのは、あくまで「法定相続人の第2順位」という法律上の順番によるものです。代襲相続とはまったく別のルールで動いています。
法定相続人の順位に関する詳しいルールは、法定相続人になれるルールは第1位~第3位まであるをご覧ください。
(*)直系尊属とは
父母や祖父母など、自分より上の世代で直通する系統の親族のことです。養父母もこれに含まれます。一方で、叔父や叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。詳しくは【血族と姻族の違い】や【親族や親等数】について徹底解説で説明しています。
代襲相続において、トラブルや勘違いが起きやすいのが「養子縁組」が絡むケースです。
被相続人に養子がおり、その養子が既に亡くなっている場合、養子に子供(被相続人から見て孫)がいれば代襲相続が発生しそうに思えますが、実は養子の子が生まれたタイミングによって結果が変わります。
【救済策】縁組前の子に相続させたい場合
養子縁組をする前に生まれていたお孫さんであっても、亡くなった方(被相続人)と直接養子縁組を結んでいれば、代襲相続ではなく「養子」として直接の相続人になることができます。再婚相手の連れ子がいらっしゃる場合などは、この直接の養子縁組を検討すると良いでしょう。
養子縁組の時期と、孫が生まれた時期の前後関係は、戸籍謄本をしっかり読み解いて確認する必要があります。判断に迷った場合は、思わぬ相続トラブルを防ぐためにも専門家に相談することをおすすめします。
代襲相続について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。
動画内容
代襲相続とは、本来であれば相続人となるはずの方が一定の理由によって相続人ではなくなったとき、その方の子供が親の相続人としての地位を受け継いで、代わりに相続人になることをいいます。
代襲相続が発生する理由には、本来相続人となるはずだった方の死亡、欠格、廃除の3つあります。
死亡とは、被相続人が亡くなる以前に死亡してしまっていること。
欠格とは、たとえば相続のために身内を殺害するなど、相続人としてふさわしくない行為のあったこと。
廃除とは、生前に被相続人に虐待を加えるなどしたため、被相続人の請求によって相続人から廃除されたことをいいます。
この中には相続放棄が含まれていないのですが、相続放棄をしても代襲相続は発生しません。
代襲相続は、本来相続人となるはずだった人が財産を相続していれば、いずれはその子供たちがその財産を相続できていた、という考えから行われています。
こうした考えから、相続人になれる人が自ら相続権を放棄してしまうケースは、この代襲相続の理念から外れます。
そのため相続放棄をしても代襲相続は起こらないのです。
さて、代襲相続が起こるのは、本来相続人となる人が被相続人の子供であるケースか、兄弟姉妹であるケースです。
まず、本来相続人となる人が子供であるケースの代襲相続人は、被相続人から見て孫にあたる人物となります。
さらに孫にも代襲相続の原因となる理由が発生していれば、次はひ孫と若い世代で代襲相続を繰り返します。
これを再代襲といいます。
一方、本来相続人となる人が兄弟姉妹の場合、代襲相続は一代限りで終わり、再代襲は起こりません。
つまり、被相続人から見て甥や姪までしか、代襲相続人にならないということです。
なお直系尊属に代襲相続という制度はありません。
代襲相続が起こるかどうかで法定相続人が誰になるのかということや、その人数が変わってきます。
相続において非常に重要なところですので、わからないことがあれば専門家に相談しましょう。
そして相続税対策や相続税申告など、相続に関することなら税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。