生命保険で相続対策を行うメリットや注意点

生命保険は「相続税の節税・争続防止・納税資金の確保」などにメリットがあります。

今回は、そんな生命保険で、相続対策を行うメリットや注意点について、解説しています。

生命保険の3つのメリット

生命保険で支払われる死亡保険金は、死後の家族の生活を守るお金ですので、税の優遇措置がとられています。

具体的には、死亡保険金のうち、500万円に相続人の数をかけた金額が、そもそも「相続税がかからない財産」として扱われます。

また、多くの地主は、相続財産の9割を土地で所有しています。

現金をお持ちの地主は、そう多くありません。

保険は相続の時に、現金として支払われるので、とても有効な相続税対策の一つとなります。

生命保険
生命保険
生命保険は相続税対策としてGood!

相続税対策として、生命保険のメリットをまとめますと、以下のようなものがあります。

  1. 非課税制度がある
  2. まとまった現金をすぐに調達できる
  3. 生命保険は争族がなく、相続しやすい

それぞれ詳細を見てみましょう。

非課税制度がある

被相続人が死亡した後、相続人である遺族の生活を保障するため、「500万円 × 法定相続人の数」に相当する金額が、相続税の非課税財産となります。

例えば生命保険の受取人が、妻、子供2人で、3,000万円の生命保険金を3人の相続人が均等に1,000万円ずつ取得した場合には、1,500万円(500万円×3人)が相続税において非課税となります。

そして、妻、子供2人の相続財産は、それぞれ500万円(1,000万円-500万円)となります。

また、妻が生命保険金3,000万円の全額を取得した場合には、妻の相続財産は1,500万円(3,000万円-1,500万円)となります。

現金預金として相続した場合は、その相続した金額3,000万円が相続税の課税対象となります。

しかし、生命保険を活用すると、非課税金額を控除した後の金額1,500万円が相続税の課税対象となります。

単に現金預金を相続するよりも、相続税が安くなります。

つまり、非課税金額分だけ相続財産が減少し、節税になるわけです。

節税
節税
生命保険は節税になる

まとまった現金をすぐに調達できる

相続が発生すると、被相続人の預金口座は凍結されて、簡単に現金を引き出すことができなくなります。

また、遺言書で資産の行き先を決めておいても、手続きには時間がかかります。

一方、生命保険は受取人が保険金請求手続きを行うことで、比較的スムーズに受取人が指定する口座に支払われます。

相続税は「原則現金一括納付」ですので、納税資金をすぐに調達することができます。

一括納付
一括納付
相続税は原則一括納付。生命保険は納税資金をすぐに調達することが可能

生命保険は争族がなく、相続しやすい

生命保険は、あらかじめ契約において「保険金の受取人が決まっている」ため相続しやすいです。

死亡保険金は遺産分割の対象にならず、契約の受取人に必ず渡ります。

このため生命保険は、遺言書以外では唯一「色をつけておける財産」といわれています。

また、受取人が決まっていることから、親族間のトラブル発生のリスクは極めて低いでしょう。

トラブル
トラブル
生命保険は受取人が決まっているため、トラブルが起きにくい

ただし、受取人以外の者が保険金を取得することについて、相当の理由があると認められるときは、その保険金を取得した者が相続することも可能です。

相続対策として生命保険を活用する際の注意点

「保険料受取人・保険料負担者・被保険者」が誰なのかによって、課税関係が異なります。

夫(亡くなった者=被相続人)、妻、子を例に挙げます。

  1. 保険料受取人:妻、保険料負担者:子、被保険者:夫 → 贈与税
  2. 保険料受取人:子、保険料負担者:妻、被保険者:夫 → 贈与税
  3. 保険料受取人:妻、保険料負担者:妻、被保険者:夫 → 所得税
  4. 保険料受取人:子、保険料負担者:子、被保険者:夫 → 所得税
  5. 保険料受取人:子又は妻、保険料負担者:夫、被保険者:夫 → 相続税

以上まとめると、被保険者(=保険の対象者)が被相続人であることを前提として、保険料負担者が夫であれば相続税の課税対象となり、保険料負担者が夫以外(妻又は子)の場合は「贈与税又は所得税」の課税対象になります。

また、保険金が控除額を超えたら、この「超過した分」は相続財産に加えられます。

キャッシュを相続することと同じになりますから、これには注意が必要です。

可能なら各自で生命保険に加入する

単一の生命保険に入っており、その受取人が長男と次男のような形で、複数人(この場合は2人)に設定されていて、それぞれが2分の1ずつ受け取るというようなケースがあります。

受取人が複数に設定されている場合、保険金の振り込みは、代表者1人に振り込まれることが多いです。

つまり、長男と次男が2分の1の受取人となっている生命保険は、被保険者が亡くなったときには、長男と次男のどちらか一方の代表者に保険金が振り込まれ、これが元でトラブルになるケースも想定されます。

代表者がもう一方の相続人に対して、素直に受取人ごとの割合の保険金を支払えば問題ないのですが、互いに折り合いが悪かったり、他の財産との兼ね合いによって相続の話し合いがうまくいっていなかったりすると、たちまち相続トラブルに発展してしまうことがあります。

もし、長男と次男それぞれを保険金の受取人にしたい場合は、2つの保険に加入して「受取人を各自に設定」しておけば、そうしたトラブルを防ぐことができます。

生命保険金をあえて「一時所得」として受け取る

上述したように、保険料受取人と保険料負担者が「相続人」、被保険者が「被相続人」である場合、その保険金は相続税ではなく、所得税の対象になります。

そして、所得税の中でも「一時所得」の扱いとなります。

この一時所得は、

  • 50万円の特別控除額
  • 他の所得と合算して、所得税を計算する
  • 合算する金額は特別控除額を差し引いた金額の1/2

といった特徴があります。

現在、所得税の最高税率は45%です。

そして、住民税は一律10%です。

よって、個人にかかる最高税率は55%となります。

しかし、一時所得にかかる最高税率は、課税される前に1/2するので、27.5%となります。

これは、生命保険金を相続税の対象として受け取った際、相続税の税率が27.5%より大きい場合、同じ生命保険金でも一時所得として受け取った方が節税になることを意味します。

でも、自分で保険料を負担するのは嫌だ!と思う方もいらっしゃると思います。

その場合には、被相続人から生前に贈与をしてもらい、その贈与された金額で保険料を負担する、ということも検討してみましょう。

ちなみに相続税は、法定相続分に応ずる取得金額が、5,000万円を超えると30%以上となります。

シミュレーションしてみて、相続税が30%を超えるようなら、以下に記載している1ではなく、2・3の経由で保険に加入することも検討してみましょう。

  1. 「保険料負担:被相続人 → 保険金:相続税の対象」
  2. 被相続人 → 相続人へ保険料を贈与
  3. 「保険料負担:相続人 → 保険金:一時所得の対象」