2人を被保険者にする連生終身保険は二次相続に最適
被相続人が被保険者となっていたはずだが生命保険金が下りない。
どうしたことか?
実は生命保険には連生終身保険という、2人を被保険者とするものがあります。
そのため被保険者のどちらか一方だけ亡くなっても原則、保険金が下りません。
この連生終身保険は二次相続における「納税資金を確保する」ために開発された保険です。
なので、1つの保険契約で2人を被保険者とします。
通常、夫が亡くなり妻が亡くなるという順番が多いです。
夫と妻の2人で被保険者となり、夫が亡くなった時には保険金が下りず、妻が亡くなった時に保険金が下りるということが可能な保険です。
逆に妻が先に亡くなった場合を想定して、妻が亡くなった時には保険金は下りず、その後に夫が亡くなった際に保険金が下りる、ということも可能です。
また死亡のみならず、高度障害状態となった場合にも保険金が下ります。
連生終身保険は、被保険者として第一被保険者、第二被保険者を設定します。
そして、基本的に第二被保険者が死亡又は高度障害状態となった場合に、死亡保険金又は高度傷害保険金が支払われる保険です。
また、被保険者のどちらか一方が以下の状態になった場合には、保険料の払込みが免除された上で保険契約はそのまま継続されます。
- 死亡
- 所定の身体障害状態
- 所定の高度障害状態
連生終身保険は税金関係が複雑
連生終身保険で問題になってくるのが、受け取った保険金に税金がかかるかどうかです。
連生終身保険の保険金は死亡によって支払われることもあれば、高度障害によって障害状態になった本人に支払われることもあります。
通常、高度障害によって受け取った保険金は非課税になります。
また、死亡によって受け取ったものは誰が保険料を負担するのかで、相続税・所得税・贈与税などの税金が発生します。
連生終身保険で難しいのは、その保険金が「死亡と高度障害のどちらが原因」で支払われているかの判断です。
たとえば保険料を支払っている夫が先に亡くなり、残された妻が高度障害になった場合、妻は高度障害に対する保険金を受け取りますが、これは非課税です。
一方、この順番が逆になり妻が先に高度障害となり、その後夫が死亡した場合は妻に支払われる保険金は、夫の死亡を原因としているため相続税の対象になってしまいます。
連生終身保険は二次相続対策ができる一方で、税金の判断が難しいという難点があります。
連生終身保険の具体例
具体的な例は以下の通りとなります。
- 被保険者が2人とも死亡
- 第一被保険者が高度障害状態になり、第二被保険者も高度障害状態となった場合
- 第一被保険者が高度障害状態になり、第二被保険者が死亡した場合
ちなみに上述の場合の保険金の受取人と、支払われる保険金の内容は以下のようになります。
- 指定してある受取人(死亡保険金)
- 第一被保険者(高度傷害保険金)
- 第一被保険者(高度傷害保険金)
また、第1被保険者が夫、第2被保険者が妻で、契約者・保険料負担者が夫の場合の保険金の課税関係は以下のようになります。
第1保険事故 | 第2保険事故 | 給付対象者 | 給付内容 | 課税対象 |
---|---|---|---|---|
夫が高度障害 | 妻が死亡 | 夫 | 死亡保険金 | 所得税(一時所得) |
夫が死亡 | 妻が高度障害 | 妻 | 高度傷害保険金 | 非課税 |
夫が高度障害 | 妻が高度障害 | 夫 | 高度傷害保険金 | 非課税 |
妻が高度障害 | 夫が死亡 | 妻 | 死亡保険金 | 相続税 |
妻が死亡 | 夫が高度障害 | 夫 | 高度傷害保険金 | 非課税 |
妻が高度障害 | 夫が高度障害 | 妻 | 高度傷害保険金 | 非課税 |
妻が死亡 | 夫が死亡 | 指定受取人 | 死亡保険金 | 相続税 |
夫が死亡 | 妻が死亡 | 指定受取人 | 死亡保険金 | 状況により判定 |
動画で解説
二次相続の対策になる生命保険について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
そもそも二次相続が何かというと、たとえば最初に夫が亡くなり、次に残された妻が亡くなった時に発生する相続のことです。
後から亡くなった妻の相続では夫が亡くなった時に相続した財産と、もともと妻がもっていた財産の合計をお子さんなどが相続することになります。
このことから二次相続の方が相続税額が高くなってしまい、お子さんなどが納税資金の調達に苦しむということが起こり得るのです。
このような二次相続の納税対策になる保険が「連生終身保険」です。
この保険は保険の対象者が2人いて、そのお2人が亡くなった時に指定した受取人に保険金が支払われる、という仕組みです。
この保険に加入すれば、夫婦のどちらか先に亡くなったとしても、二次相続でお子さんが納税資金の確保に困る状況を防止できます。
連生終身保険では夫婦のそれぞれに死亡か、高度障害状態が発生した時に初めて保険金が支払われます。
しかも保険料は一生支払う必要はなく、どちらか一方が亡くなるか、高度障害状態になった時点でその後の保険料は全額免除されます。
ただし、連生終身保険で問題になってくるのが、受け取った保険金に税金がかかるかどうかです。
連生終身保険の保険金は死亡によって支払われることもあれば、高度障害によって障害状態になった本人に支払われることもあります。
通常、保険金とは高度障害によって受け取ったものは非課税になりますが、死亡によって受け取ったものは誰が保険料を負担するかで、相続税・所得税・贈与税などの税金が発生します。
連生終身保険で難しいのは、その保険金が死亡と高度障害のどちらが原因で支払われているかの判断です。
たとえば保険料を支払っている夫が先に亡くなり、残された妻が高度障害になった場合、妻は高度障害に対する保険金を受け取りますが、これは非課税です。
一方、この順番が逆になり、妻が先に高度障害となり、その後夫が死亡した場合は妻に支払われる保険金は夫の死亡を原因としているため、相続税の対象となってしまいます。
連生終身保険は二次相続対策ができる一方で、税金の判断が難しいという点があります。
活用するときは専門家に相談しましょう。
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