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相続放棄に関係なく法定相続人の数は決定している

「相続放棄をして親族の相続人を増やせば、相続税の基礎控除額が増えて節税になる」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、結論から申し上げますとこの方法で相続税を安くすることは不可能です。

相続税の基礎控除額を計算する際、基準となる人数には「民法上の相続人」ではなく「税法上の法定相続人」を使用します。

財産を引き継ぐ権利を持つ相続人は、民法によって誰がなるか規定されています。

もし、この民法の規定をそのまま税金計算に当てはめてしまうと、相続人の意図的な相続放棄によって相続税を不当に安くすることが可能になってしまいます。

このような税金逃れを防ぐため、相続税法では税金計算に用いるための独自の人数カウントルールを定めており、これを法定相続人と呼びます。

では、相続税法独自の法定相続人とはどのようなルールなのかをご説明します。

基本的には民法で規定されている相続人と同じですが、そこに少しだけ条件が追加されています。

その条件とは、「相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人」とするルールです。

これを相続税法独自の法定相続人と定義しています。

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法定相続人になれるルールは第1位~第3位まである

そして相続税の基礎控除額の計算には、民法規定の相続人の数ではなく、この法定相続人の数を使います。

よって相続税の計算では、誰も相続放棄をしていない最初の状態で法定相続人の数が確定します。

決定
決定
相続放棄の前に法定相続人の数は決定しています。

そのため、相続放棄を利用して法定相続人の数を都合よく調整することはできません。

これが「相続放棄をしても基礎控除額は変わらない」と言われる理由です。

ただし、ここで変わらないのはあくまで税金計算に用いる法定相続人の数だけであり、財産をもらう権利を持つ「相続人」は民法の規定通りに変動します。

言葉のマジックのようでややこしいですが、「税金を安くさせないために計算上は放棄をなかったことにする」と覚えておきましょう。

もちろん誰も相続放棄をしなければ、原則として法定相続人と相続人の数は同じになります。(※養子がいる場合など一部の例外を除きます。)

相続放棄があった場合の基礎控除額
相続放棄があった場合の基礎控除額
相続放棄しても相続税の基礎控除額は変わりません。

上の図のケースを見てみましょう。

母が相続放棄をして兄弟姉妹に相続権が移った場合、民法上の相続人は6名になりますが、税法上の法定相続人は2名のままです。

仮に、相続税の基礎控除額の計算に法定相続人ではなく相続人(6名)を使ってよいルールだったとします。

その場合の基礎控除額は、「3,000万円 +(600万円 × 6名)= 6,600万円」まで跳ね上がります。

しかし、正しいルールである法定相続人(2名)で計算した基礎控除額は、「3,000万円 +(600万円 × 2名)= 4,200万円」です。

もし母が放棄するだけで非課税枠が2,400万円も増えるなら、意図的な放棄が横行してしまいます。

個人の意思によって相続税を不当に安くさせないために、「相続税の基礎控除額の計算には、相続人ではなく法定相続人を使う」と法律で厳格に定められているのです。

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相続税が算出されるまでの計算の流れ

動画で解説

相続放棄しても基礎控除額は変わらないということについて、税理士法人都心綜合会計事務所の税理士である田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。

相続放棄は相続税の節税になる?

動画内容

相続税の計算では、相続税の対象になる財産の合計が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。

基礎控除額は3,000万円に法定相続人の数×600万円を加えた額で計算されます。

たとえば独身の方が亡くなった場合、その法定相続人は亡くなった方の親となります。

もし両親が健在であれば、両親ともに法定相続人になるので人数は2人です。

この場合の基礎控除額は4,200万円になりますので、相続財産が4,200万円を下回っていれば相続税はかかりません。

このように相続税の計算では、法定相続人の数がとても重要になってきます。

それでは、この法定相続人をどうやって数えるのか、というと税法には独自のルールがあります。

相続についてのルールといえば、よく知られているのは民法だと思います。

しかし法定相続人の数え方については、民法と税法ではいくつか違いがあります。

その1つが相続放棄をしたときの扱いです。

相続放棄とは、みずから相続権を放棄することをいいます。

民法の場合、相続人が相続放棄をしたとき、その相続権は次の順位の相続人に移ります。

さきほどの例で、もし両親が2人とも相続放棄をした場合、その相続権は亡くなった方の兄弟や姉妹に移ります。

兄弟や姉妹が6人いれば相続人は6人です。

では、このとき相続税の基礎控除額の計算も法定相続人を6人として計算するのかというと、そうはしません。

相続税の計算では、相続放棄をする前の状態で法定相続人の数が決まります。

つまり、両親2人のまま変わらないということです。

もし相続放棄によって基礎控除額が上がったり下がったりしてしまうと、わざと相続放棄をして税金を安くする人が出てくるかもしれません。

そのため税法のルールでは、相続放棄をしても法定相続人の数は変わらないことになっています。

逆に相続放棄をして相続人の数が減ることもあります。

たとえば両親が法定相続人の場合、母親1人が相続放棄をすれば相続人は父親1人に減ります。

このときも基礎控除額の計算は、相続放棄が行われる前の人数、つまり2人のままで行います。

相続放棄をしても「相続税の基礎控除額は変わらない」と覚えておきましょう。

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