動産
動産とは、自動車やパソコン、現金などを言います。

現金も動産です。
動産の場合は、動産の所在で判定します。
例えば、ドルに換算していない日本円をアメリカで持っていた。
(アメリカで日本の硬化やお札を持っていた、ということです。)
この状態で、アメリカにてお亡くなりになった場合、その日本円は国内財産?国外財産のどちらになると思いますか?
答えは「国外財産」です。
意外ですよね。
日本円(福沢諭吉のお札)なのに国外財産として、扱われます。
あくまでも、動産の場合は動産の所在で判定するからです。
不動産
不動産とは土地や建物のことを言います。
不動産の場合は、不動産の所在で判定します。
なので、アメリカの家であれば、もちろん国外財産となります。

アメリカの家はもちろん国外財産
金融機関に対する預貯金
金融機関に対する預貯金には、普通の定期預金などの他に、外貨建て預金も含まれます。
では、外貨建て預金は国外財産?

外貨預金は国外財産?
実は金融機関に対する預貯金は、預け入れた支店(営業所)の所在で判定します。
なので、日本の支店で外貨建て預金を始めた。この場合は国内財産です。
支店が日本でも、本店がニューヨークの場合は?
この場合でも、預け入れた支店が日本であれば、国内財産となります。
社債・株式・出資
社債・株式・出資の場合は、発行法人の本店、又は主たる事務所の所在で判定します。
なので、どの証券取引所に上場しているかは関係ありません。

どこに上場しているかなんて関係ない
海外の証券取引所に上場していても、発行している会社が国内にあれば、国内財産です。
国債・地方債
国債・地方債も株式などと同様に、発行した国、又は地方公共団体の所在で判定します。なので普通に
- 日本国債・・国内財産
- 外国債・・国外財産
となります。

日本国債であれば、もちろん国内財産
貸付金債権
借りている人(債務者)がどこに住んでいるかで決まります。
債務者が国外に住んでいるのであれば国外財産。
日本に住んでいるのであれば、国内財産となります。

借りている人(貸し付けた相手)が国外に住んでいれば、国外財産
退職手当金
退職手当金は、その退職金を支払った者(会社など)の本店、もしくは主たる事務所の所在で判定します。

退職金を支払った者(会社など)の本店、もしくは主たる事務所の所在で判定
なので、日本の支店から退職金を支払われても、本店がニューヨークの場合は、その退職金は国外財産です。
ちょうど、金融機関に対する預貯金と取り扱いが逆になります。
生命保険金
退職手当金と同様になります。

退職手当金と同様で、本店もしくは主たる事務所の所在で判定
その他の財産
上記以外のその他の財産は、以下のようになります。
財産の種類 | 所在の判定 |
---|---|
不動産の上に存する権利 | 不動産の所在 |
不動産の上に存する権利 | 不動産の所在 |
船舶又は航空機 | 船舶又は航空機の登録をした機関の所在船籍のない船舶については、その所在 |
鉱業権、租鉱権又は採石権 | 鉱区又は採石場の所在 |
漁業権又は入漁権 | 漁場に最も近い沿岸に属する市町村又はこれに相当する行政区画 |
寄託金 | 受入れをした金融機関等の営業所又は事業所の所在 |
損害保険金 | 契約に係る保険会社等の本店等の所在本店等が国内にない場合、国内に保険契約に係る事務を行う営業所等を有するときは、これらの営業所等の所在 |
集団投資信託又は法人課税信託に関する権利 | 信託の引受けをした営業所等の所在 |
特許権、実用新案権、意匠権、商標権等で登録済みのもの | 登録した機関の所在 |
贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金銭 | みなされる基因となつた財産の種類に応じて判定された所在 |
事業上の権利(売掛金・営業権・電話加入権等) | 宮葉所又は事業所の所在 |
その他の財産 | 財産の権利者であった被相続人の住所の所在 |
動画で解説
相続財産の国内・国外の判定方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
日本の相続税は、日本国外にある財産を相続した場合でも、原則的には課税されるようになっています。
ただし、ごく一部の方については、日本国外にある財産について、日本の相続税はかかりません。
海外の財産に課税されない、ごく一部の人のことを、制限納税義務者といいます。
この制限納税義務者に該当される方にとっては、その財産が国内にあるのか、国外にあるのかの判定が非常に重要となります。
今回は、相続財産の国内・国外の判定方法についてお話を致します。
まずは、動産の判定方法についてお話します。
動産とは、現金や自動車、パソコンなど、持ち運びのできる財産をイメージするとよいです。
動産の国内外の判定は、その動産の所在地で判定をします。
国外にある車は国外の財産ですし、現金も国外にあれば、国外財産となります。
たとえ、それが日本の500円硬貨であっても、国外にある以上は、国外財産と判定されます。
続いては不動産ですが、不動産もその所在地で判定します。
アメリカにある家は、もちろん国外の財産です。
さて、迷いやすいのが、預貯金の判定です。
預貯金は、どこが所在地になると思われますか?
また、外貨建て預金といって、ドルやユーロなどで預金している預貯金を、日本の銀行で行った場合はどうでしょうか?
預貯金の場合、実は、お金を預け入れたときの、支店や営業所の場所で判定をします。
日本にある支店で始めた預貯金は、国内の財産です。
それが外貨建て預金であっても、日本の支店で始めた場合は、国内の財産となります。
本店がニューヨークにある外国の銀行だったとしても、預け入れた支店が日本であれば、国内の財産として判定されます。
それから、社債、株式、出資についてですが、これらは発行した法人の本店や、主たる事務所の所在地で判定されます。
たとえ海外の証券取引所に上場している場合でも、日本の会社が発行していれば、国内の財産として判定されます。
国債や地方債も同じ考え方で、発行した国や団体の所在地で判定されます。
それから、人に貸したお金も、それを返してもらう権利が相続財産となります。
この場合、貸付けた相手が住んでいる場所で判定をします。
もし貸し付けた相手がアメリカに住んでいれば、国外の財産になります。
続いて、亡くなった人が勤めていた会社から、退職手当金が出された場合ですが、この退職手当金は、その会社の本店や主たる事務所の所在地で判定されます。
もし本店がニューヨークにある会社であれば、たとえ日本の支店に勤めていたとしても、その退職金は国外の財産になります。
さきほど、預貯金については、預け入れた支店の所在地で判定される、ということをお話し致しましたが、退職手当金はその逆の扱いになる、ということです。
最後に、生命保険金についてですが、退職手当金と同じで、その生命保険会社の本店や、主たる事務所の所在地で判断されます。
財産の国内外の判定方法は、それが何の財産かで変わってきます。
判定に迷ったときや、そもそも国外の財産の相続税を、自分が払わなければならないかどうか、判断に迷ったときは、専門家に相談しましょう。
そして、相続のことなら税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。