相続税が算出されまるでの計算の流れ

日本の相続税の計算方法は、簡単に言いますと、

  1. 各相続人が相続する財産がどのくらいかを計算
  2. それを合算し、合算した金額をもとに全体の税金を計算
  3. その税金を、各相続人が実際に相続した割合で案分

このような流れになっています。

各相続人ごとに実際に取得した財産だけで、相続税を計算するわけではありません。

日本の相続税計算方法の大きな特徴の一つです。

では、「各相続人の納付する相続税額が算出される」までの流れを見てみましょう。

税金計算
税金計算
相続税の計算方法の概略

➀各相続人が相続する財産の課税価格を計算

課税価格を計算する上での計算要素は、下記1から6まであります。

  1. 相続又は遺贈により取得した財産の価額
  2. みなし遺贈により取得した財産の価額
  3. 非課税財産の価額(マイナス)
  4. 相続時精算課税に係る贈与財産の価額
  5. 債務及び葬式費用の額(マイナス)
  6. 生前贈与加算額

各人の課税価格(千円未満切捨)は、1~6の合計となります。(3と5はマイナスとなります。)・・A

➁相続税の総額を計算

  1. 上記で計算した各人の課税価格を合計します。・・B
  2. 合計した金額から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引きます。この金額を【課税遺産額】といいます。
    ※基礎控除は、全体の財産から差し引くものであり、個々の財産から差し引くのではないことに注意して下さい。
    また、法定相続人(詳しくは法定相続人になれる人に記載)とは、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人をいいます。
  3. 課税遺産額に法定相続人の法定相続分(実際に相続しているか否かは関係ありません)を掛けて、法定相続分に応ずる取得金額(千円未満切捨)を求めます。
  4. その金額に相続税の速算表に当てはめ、相続税額(相続税の総額の基となる税額)を計算します。
  5. 上記の金額を合計(百円未満切捨)します。これが相続税の総額となります。・・C

相続税の速算表
取得金額税率控除額(万円)
1,000万円以下10%
1,000万円超 3,000万円以下15%50
3,000万円超 5,000万円以下20%200
5,000万円超 1億円以下30%700
1億円超 2億円以下40%1,700
2億円超 3億円以下45%2,700
3億円超 6億円以下50%4,200
6億円超55%7,200

➂各人の算出相続税額を計算

計算式は以下の通りです。

相続税の総額(上記C) × 各人の課税価格(上記A) ÷ 課税価格の合計(上記B)

つまり、一旦全体の税額を求め、それを各人の相続財産で按分します。

ここでの注意点は、基礎控除前の課税価格で按分する点です。

また、財産を取得した者が被相続人の1親等の血族、被相続人の配偶者、代襲相続人以外の者である場合には、上記の算式により計算した金額の20%相当額が加算されます。

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➃納付税額を求める

➂で求めた各人の算出相続税額から、各種の控除額を控除した金額が、各人の納付税額となります。

なお、税額控除の順序は以下の通りです。

  1. 贈与税額控除額(暦年課税)
  2. 配偶者の税額軽減額
  3. 未成年者控除額
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除額
  6. 外国税額控除額
  7. 贈与税額控除額(精算課税)

このように税額控除には順番があります。

例えば配偶者が海外財産を相続したとして、海外で多額の相続税を支払っていたとします。

この場合、外国税額控除が適用されますが、既に配偶者の税額軽減額で配偶者の相続税が0円なっている場合は、外国税額控除が1円も使えません。

支払済
支払済
海外で多額の相続税を支払済みでも、場合によっては外国税額控除が使えません。

税額控除は控除される順番が決まっているので、このような場合には、海外の財産を配偶者でない方が相続し、外国税額控除の適用を受けるというのも一つの相続税対策です。

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相続財産にはプラスとマイナスがある

➀の各相続人が相続する財産の課税価格を計算。

この財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。

通常、このプラスの財産を積極財産といい、マイナスの財産を消極財産と呼びます。

以下のようなものが積極財産に該当します。

  • お金
  • 不動産
  • 動産
  • 株式

などで、相続したら嬉しい財産です。中には不動産は相続してもうれしくない方もいらっしゃるかもしれません(不動産は負動産とも表記される時代)。

ただ、相続税で計算する際には積極財産に該当します。

消極財産には以下のようなものがあります。

  • 借金
  • 買掛金
  • 税金の未払い
  • 損害賠償義務
  • 公共料金の未払い
  • 預かり敷金・保証金

相続したら苦しむ財産です。このような財産は、相続財産からマイナスします。

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相続財産を洗い出し財産目録を作成する時には、積極財産はもちろん、消極財産についても書きだしましょう。

積極財産ばかりに目が奪われて、消極財産が漏れるということはよくあります。

また、積極財産のモレは税務調査などで指摘され、修正申告などに発展したりしますが、消極財産のモレは指摘されません。

消極財産を計上すればするほど相続税が安くなるからです。

消極財産のモレ
消極財産のモレ
消極財産のモレは税務調査でも一切指摘されません。なぜなら相続税が安くなるからです。

相続税を正しく計算するためにも、積極財産と消極財産の両方を正確に把握しましょう。

被相続人が外国籍である場合の相続税計算方法

被相続人が外国人であっても、相続税の計算をする場合の法定相続人及び法定相続分は、日本の民法の規定を適用して、遺産に係る基礎控除額と相続税の総額を計算します。

また、相続において、

  • 遺産が分割されたかどうか
  • 被相続人の国籍や相続人の住所がどこであるか
  • 遺言による特定遺贈又は包括遺贈があるかどうか

などは、相続税の総額の計算に関係しません。

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