住宅ローンは債務控除できないことが多い

団信に加入した方が亡くなると、残りの住宅ローンは、すべて団信から支払われます。

これによって、亡くなった方の住宅ローンは消滅します。

そのため【住宅ローンは債務控除できない】ことが多いです。

住宅ローンの残債務は団体信用保険から支払われる

相続財産の価額から差し引ける債務は、被相続人の死亡時にあった債務で、確実と認められるものです。

では、住宅ローンの残債はどうなるか?

住宅ローンは立派な債務のように思えますが、通常、「住宅ローンには団体信用生命保険がセット」されています。

団体信用生命保険とは、団信とも呼ばれているもので、金融機関が生命保険会社に保険料を支払い、住宅ローンの返済途中で住宅の名義人が、

  • 死亡した場合
  • 高度障害になった場合

などに、名義人に代わって生命保険会社が「残っている住宅ローン」を支払ってくれるというものです。

住宅ローン
住宅ローン
団体信用生命保険に加入していれば、生命保険会社が残っている住宅ローンを支払う

なので、被相続人の死亡とともに、住宅ローン(債務)は消滅することになります。

「住宅ローンを債務控除できるかどうか?」という以前に、住宅ローンが消滅しますので、債務控除出来ないということです。

住宅ローンが多額に残っている。相続放棄をしなくては・・

大体、団信に加入していることが多いので、「住宅ローンが原因で相続放棄をする」というケースは、あまりないはずです。

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相続放棄

焦らずに冷静に行動しましょう。

まずは団信に加入しているかを確認しましょう。

3年以内に申請する必要がある

生命保険金の請求権は、死亡から3年で時効になります。

被相続人が死亡したら、すぐに手続きをしましょう。

手続きとしては、以下のようなものを各金融機関へ提出します。

  1. 死亡診断書
  2. 申請書(各金融機関所定)
  3. 住民票(死亡の記載がある)

また、ローン完済後には、「不動産の名義変更」と「抵当権抹消の登記手続き」も忘れずにしましょう。

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相続した財産を名義変更しないまま放置したらどうなる?

団体信用保険に未加入の場合は債務控除できる

団信に未加入である

  • 住宅ローン
  • アパートローン
  • 事業用の借入金

などは、被相続人が亡くなってもローン(債務)が消えませんので、債務控除出来ます。

この場合、債務を引き受ける相続人が決まるまでの間、ローンの支払方法を決めるために、相続人全員が金融機関と約定書を締結する必要があります。

そして、ローンの返済は通常1か月単位です。

なので、相続発生後1カ月以内に金融機関と打合せをする必要があります。

動画で解説

住宅ローンは相続で債務控除できない場合もある、ということについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

住宅ローンは相続で債務控除できない場合もある

動画内容

相続で、亡くなった人の借金を相続人が承継した場合、その借金の額は、相続財産から差し引くことができます。

これを債務控除といいます。

相続人は借金を負ってしまいますが、相続税の負担は少し軽くなるという仕組みです。

それでは、亡くなった人に、住宅ローンが残っていた場合、これも債務控除になるのでしょうか?

住宅ローンは、どう見ても債務控除できそうなものですが、通常、住宅ローンを組むときは、団体信用生命保険という保険にセットで加入していると思います。

いわゆる、団信とよばれる生命保険です。

団信に加入した方が亡くなると、残りの住宅ローンは、すべて団信から支払われます。

これによって、亡くなった方の住宅ローンは、消滅します。

そのため、住宅ローンは、債務控除できないことが多いのです。

債務控除できないだけなら良いのですが、このとき、慌てて相続放棄をしないよう注意をしてください。

住宅ローンが沢山残っている場合、早く相続放棄をしないと、ローンを全部返さないといけなくなると思い込んでしまい、慌てて相続放棄をすることがあります。

ですが住宅ローンは、団信に加入していれば、相続放棄をする必要はありません。

落ち着いて、生命保険会社に連絡すれば、大丈夫です。

ちなみに、生命保険の請求権は、3年で時効を迎えます。

3年も請求を忘れることはないとは思いますが、できればすぐに連絡をしましょう。

このとき、ローンを組んだ金融機関には、死亡診断書や、死亡の記載がある住民票、金融機関が定める申請書などを提出することとなります。

無事に住宅ローンを完済したら、次は住宅の抵当権抹消の登記も行ってください。

このとき、住宅の名義変更も、忘れずに行いましょう。

さてここまでは、住宅ローンが、通常、団信とセットになっているため、債務控除ができないというお話しでした。

しかし、すべての住宅ローンが、団信とセットとは限りません。

団信に加入していなければ、住宅ローンも債務控除できます。

また、アパートローンや事業用の借入金は、借金としてそのまま残ります。

相続人が借金を相続すれば、これらも債務控除できます。

借金を誰が引き受けるか決まるまでは、ローンの支払い方法を決めるために、相続人全員が、金融機関と約定書を締結します。

ローンの返済は、通常1ヶ月単位ですから、相続開始から1ヶ月以内に、金融機関と打ち合わせを行うこととなります。

亡くなった方の借金や債務控除でお困りの場合、相続の専門家に相談しましょう。