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住宅ローンの残債務は団体信用生命保険から支払われる

相続財産の価額から差し引ける債務(借金)とは、被相続人が亡くなった時点で確実に存在していたものです。

では、住宅ローンの残債はどうなるのでしょうか?

一見すると立派な借金に思えますが、実は多くの場合、「住宅ローンには団体信用生命保険(団信)がセット」になっています。

団体信用生命保険(団信)とは、金融機関が生命保険会社に保険料を支払い、ローンの返済途中で名義人が次のような状態になった場合、

  • 死亡した場合
  • 高度障害になった場合

名義人に代わって、生命保険会社が「残っている住宅ローン」を全額支払ってくれるという保険です。

そのため、被相続人が亡くなると同時に住宅ローン(債務)は消滅します。そもそも借金そのものがなくなるため、「債務控除」の対象にはならないということです。

「多額のローンが残っているから、急いで相続放棄しなきゃ!」と焦る必要はありません。大抵の場合は団信に加入しているため、まずは冷静になって、被相続人が団信に入っていたかどうかを金融機関に確認しましょう。

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※初心者が勘違いしやすい3つの注意点

  1. 家の「不動産としての価値」には相続税がかかる
    団信によってローン(借金)はゼロになりますが、手元に残った「家や土地そのもの」は相続財産としてカウントされます。不動産の評価額に対しては相続税がかかる(または非課税枠の計算に含まれる)点にご注意ください。
  2. 団信は「生命保険の非課税枠」の対象外
    相続税には「死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)」というルールがあります。しかし、団信の保険金は遺族ではなく金融機関に直接支払われるため、この非課税枠の対象にはなりません。
  3. 夫婦で「ペアローン」を組んでいる場合
    夫婦それぞれでローンを組む「ペアローン」の場合、団信で支払いが免除されるのは「亡くなった方の分のローン」のみです。残された配偶者ご自身のローンはそのまま残り、引き続き支払い義務が生じます。(※夫婦連生団信などの特殊な保険に入っている場合を除きます)

3年以内に申請する必要がある

生命保険金の請求権は、死亡から3年で時効になります。

被相続人が死亡したら、なるべく早めに手続きをしましょう。手続きとしては、以下のような書類をローンを組んでいた各金融機関へ提出します。

  1. 死亡診断書
  2. 申請書(各金融機関所定のもの)
  3. 住民票(死亡の記載があるもの)

【手続き時の注意:口座からの引き落としと凍結について】
金融機関への死亡の連絡が遅れると、いつもの引き落とし日が来てしまい、故人の口座から数万〜十数万円のローンが引き落とされてしまうことがあります(後日手続きをすれば返金されます)。無用な引き落としを防ぐためにも、連絡は早めに行いましょう。
なお、金融機関に亡くなったことを伝えると、その時点で故人の銀行口座は凍結され、預金の引き出しや公共料金の引き落としができなくなります。当面の生活費の確保や、他の引き落とし口座の変更手続きもあわせて進めるようにしてください。

また、団信によってローンが完済された後には、「不動産の名義変更(相続登記)」と「抵当権抹消の登記手続き」も忘れずに行いましょう。
とくに不動産の名義変更は、2024年4月1日から法律で義務化されました。その相続登記の期限は「不動産を相続したことを知った日から3年以内」となります。正当な理由なく怠るとペナルティ(10万円以下の過料)の対象になる可能性もあるため、大変重要な手続きです。

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団体信用生命保険に未加入の場合は債務控除できる

一方で、団信に未加入である次のようなローンは、被相続人が亡くなっても債務が消滅しません。

  • 団信未加入の住宅ローン
  • アパートローン
  • 事業用の借入金

これらはそのまま借金として残るため、相続財産からの「債務控除」が可能です。

この場合、誰が債務を引き受けるか(相続人)が決まるまでの間、ローンの支払方法を取り決めるために、相続人全員が金融機関と約定書を締結する必要があります。

ローンの返済は通常1か月単位でやってきます。そのため、相続発生後1か月以内には金融機関と打ち合わせを行い、今後の対応について相談するようにしましょう。

住宅ローンは相続で債務控除できない場合もある

住宅ローンは相続で債務控除できない場合もある、ということについて、税理士法人 都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。

住宅ローンは相続で債務控除できない場合もある

動画内容

相続で亡くなった人の借金を相続人が承継した場合、その借金の額は相続財産から差し引くことができます。

これを債務控除といいます。

相続人は借金を負ってしまいますが、相続税の負担は少し軽くなるという仕組みです。

それでは亡くなった人に住宅ローンが残っていた場合、これも債務控除になるのでしょうか?

住宅ローンはどう見ても債務控除できそうなものですが、通常、住宅ローンを組むときは団体信用生命保険という保険にセットで加入していると思います。

いわゆる団信と呼ばれる生命保険です。

団信に加入した方が亡くなると、残りの住宅ローンはすべて団信から支払われます。

これによって、亡くなった方の住宅ローンは消滅します。

そのため住宅ローンは債務控除できないことが多いのです。

債務控除できないだけなら良いのですが、このとき慌てて相続放棄をしないよう注意をしてください。

住宅ローンがたくさん残っている場合、早く相続放棄をしないと、ローンを全部返さないといけなくなると思い込んでしまい、慌てて相続放棄をすることがあります。

ですが住宅ローンは、団信に加入していれば相続放棄をする必要はありません。

落ち着いて生命保険会社に連絡すれば大丈夫です。

ちなみに生命保険の請求権は3年で時効を迎えます。

3年も請求を忘れることはないとは思いますが、できればすぐに連絡をしましょう。

このときローンを組んだ金融機関には、死亡診断書や死亡の記載がある住民票、金融機関が定める申請書などを提出することとなります。

無事に住宅ローンを完済したら、次は住宅の抵当権抹消の登記も行ってください。

このとき住宅の名義変更も忘れずに行いましょう。

さてここまでは住宅ローンが通常、団信とセットになっているため、債務控除ができないというお話でした。

しかし、すべての住宅ローンが団信とセットとは限りません。

団信に加入していなければ、住宅ローンも債務控除できます。

また、アパートローンや事業用の借入金は、借金としてそのまま残ります。

相続人が借金を相続すれば、これらも債務控除できます。

借金を誰が引き受けるか決まるまでは、ローンの支払い方法を決めるために、相続人全員が金融機関と約定書を締結します。

ローンの返済は通常1か月単位ですから、相続開始から1か月以内に金融機関と打ち合わせを行うこととなります。

亡くなった方の借金や債務控除でお困りの場合、相続の専門家に相談しましょう。

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