相続のことなら創業50年目の「税理士法人 都心綜合会計事務所」にお任せください

上場株式の評価の原則

上場株式とは、全国4カ所の金融商品取引所(東京、名古屋、札幌、福岡)で扱われている株式のことです。

これらの株式は銘柄ごとに評価を行います。

具体的には、次に掲げる4つの金額のうち最も低い金額を1株あたりの評価額として採用します。

  1. 課税時期の最終価格。
  2. 課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額。
  3. 課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額。
  4. 課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額。

課税時期とは、相続の場合は「被相続人が死亡した日」、贈与の場合は「贈与により財産を取得した日」を指します。

最終価格とは、金融商品取引所がその日の取引を終えた時の価格(終値)のことです。

最終価格の月平均額とは、その月に公表された終値の合計を、取引が行われた日数で割った金額を計算したものです。

なお、上場株式の過去の月平均額については、証券会社に「残高証明書」の発行を依頼する際、相続税評価に必要な4つの価格をまとめた書類を一緒に発行してもらうのが一般的です。

また、ご自身で確認したい場合は、日本取引所グループ(JPX)のウェブサイトにある「月間相場表」等で調べることができます。

ご自身で毎日の終値を一つ一つ調べて電卓で計算する必要はありませんので、ご安心ください。

具体例

夫が令和X年11月15日(金)に亡くなり、妻がA社の上場株式を1,000株相続したとします。

この場合のA社株式の評価額はどのように決まるでしょうか。

まずは以下の4つの株価を調べます。

  1. 課税時期(令和X年11月15日)の最終価格:1,560円。
  2. 令和X年11月の毎日の最終価格の月平均額:1,540円。
  3. 令和X年10月の毎日の最終価格の月平均額:1,530円。
  4. 令和X年9月の毎日の最終価格の月平均額:1,550円。

これら4つの金額を比較すると、最も低い金額は1,530円です。

この一番低い金額に、取得した株数(1,000株)を掛け算して全体の評価額を計算します。

したがって、A社株式の評価額は「1,530円 × 1,000株 = 1,530,000円」となります。

最近増えている1株単位で買える単元未満株(ミニ株など)を保有しているケースでも、1株あたりの評価額に保有株数を掛けるという基本的な計算手順は同じです。

このように上場株式の評価の原則は、納税者の負担がなるべく減るような仕組みが用意されています。

原理原則
原理原則
上場株式の評価の原則は納税者側に有利

書籍のアイコン関連記事

現金を贈与するよりも上場株式を購入して贈与するほうが有利?

2つ以上の金融商品取引所に上場されている場合

1つの銘柄が2つ以上の金融商品取引所に上場しているケースもあります。

この場合、それぞれの取引所で最終価格が異なります。

相続税の計算では、納税者が自由に金融商品取引所を選ぶことができます。

当然ながら、最も低い価格がついている取引所を選んだほうが相続税は安くなり有利です。

上場株式
上場株式
最も低い金額の金融商品取引所の評価額をもって、その上場株式の評価額とした方が有利

具体例

夫が令和X年12月5日に亡くなり、妻がZ社の上場株式を1,000株相続したとします。

この株式は、東京証券取引所および福岡証券取引所の両方に上場されています。

この場合のZ社株式の評価額はいくらになるでしょうか。

  1. 課税時期(令和X年12月5日)の最終価格:1,260円(東京) / 1,264円(福岡)。
  2. 令和X年12月の毎日の最終価格の月平均額:1,250円(東京) / 1,240円(福岡)。
  3. 令和X年11月の毎日の最終価格の月平均額:1,290円(東京) / 1,280円(福岡)。
  4. 令和X年10月の毎日の最終価格の月平均額:1,300円(東京) / 1,295円(福岡)。

このような場合は、以下のように判断します。

  1. 東京証券取引所の公表価格のうち、最も低い金額は1,250円です。
  2. 福岡証券取引所の公表価格のうち、最も低い金額は1,240円です。
  3. 両者を比較すると、より株価が低い福岡証券取引所を選択する方が有利だと分かります。

したがって、1,240円に取得株数である1,000株を掛けて評価額を求めます。

Z社株式の評価額は「1,240円 × 1,000株 = 1,240,000円」となります。

課税時期に最終価格がない場合

亡くなった日が土日や祝日だと、証券取引所がお休みのため当日の最終価格が分かりません。

また、平日であってもたまたまその銘柄の取引が成立しなかった日には価格がつきません。

把握できない
把握できない
課税時期が日曜日や休日の場合、どうなるのかしら?

このように課税時期(亡くなった日)の株価がない場合は、その日に最も近い日の最終価格を利用します。

もし、最も近い日が「前日」と「翌日」のように2つある場合は、その2つの日の平均額を計算します。

算出された平均額に円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨てた金額を採用します。

具体例

夫が令和X年9月23日(水・祝日)に亡くなり、妻が甲社の株式を1,000株取得したとします。

この場合の甲社株式の評価額はどのように計算するでしょうか。

課税時期前後の株価は以下の通りです。

9月20日9月21日9月22日9月23日9月24日9月25日
取引なし863円866円取引なし858円851円

また、各月の月平均額は以下の通りだとします。

  • 令和X年9月中の毎日の最終価格の月平均額:863円。
  • 令和X年8月中の毎日の最終価格の月平均額:871円。
  • 令和X年7月中の毎日の最終価格の月平均額:867円。

亡くなった9月23日(水)は祝日で証券取引所が休みのため、取引がありません。

そのため、最も近い日である9月22日(火)と9月24日(木)の最終価格を確認します。

最も近い日が前日と翌日の2つ存在するため、この2日間の平均額を課税時期の最終価格とします。

したがって、課税時期の最終価格は「(866円 + 858円) ÷ 2 = 862円」となります。

次に、この862円と各月の月平均額(863円、871円、867円)を比較します。

最も低い金額は862円となるため、これが甲社株式の1株あたりの評価額です。

全体の評価額は「862円 × 1,000株 = 862,000円」となります。

なお、日曜日に亡くなった場合などは注意が必要です。

金曜日は「2日前」、月曜日は「1日後」となるため、より近い「月曜日」の最終価格のみを採用します。

(※その他、その株式に権利落ちなどがある場合には、一定の修正をして評価することとなります。)

外国の金融商品取引所に上場している株式の評価方法

外国の金融商品取引所に上場している株式も、基本的には国内の上場株式と同じ手順で計算します。

まずは外貨のまま、4つの価格から最も低いものを選びます。

その後、選んだ外貨建ての金額を日本円に換算して相続税評価額を出します。

このとき日本円に計算し直すための為替レートは、原則として亡くなった日(課税時期)に金融機関が公表している「TTB(対顧客直物電信買相場)」を使用します(亡くなった方が実際に取引していた金融機関や、主要なメガバンクが公表しているTTBなど)。

なお、亡くなった日が土日や祝日で為替レートがない場合は、株価のルールとは少し異なります。

為替レートの場合は、亡くなった日より「前」の最も近い日のレートを使用します。

例えば日曜日に亡くなった場合は、金曜日のTTBを採用することになります。

ただし、外国株式の月平均額は国税庁から公表されていません。

そのため、過去の終値データを取得し、ご自身で月平均を計算する必要があります。

書籍のアイコン関連記事

外貨の相続税評価方法

NISA口座(2024年からの新NISAも含みます)の上場株式も相続税の対象

NISA口座で保有している上場株式であっても、通常と同じように相続税の評価対象となります。

NISA制度で非課税になるのは、売却益や配当金といった「所得」に対する税金です。

亡くなった方から財産を引き継ぐ際にかかる「相続税」は非課税にならない点にご注意ください。

  1. ホーム
  2. 相続の仕組み
  3. 相続税のかかる財産
  4. 上場株式の相続税評価方法