上場株式等に含み益や売却手取額が高いなら物納有利

上場株式等の物納手続きや、そのメリット等について、解説しています。

上場株式等に含み益があると物納が有利な場合がある

上場株式等の物納は、株価しだいでは物納が有利な場合があります。

個人が物納した場合、物納の許可を受けた相続税額に対応する価額については、その財産は譲渡がなかったものとして扱われます。

例えば、延納によっても金銭で納付することが困難な金額が3,000万円だったとします。

株の取得価額(被相続人の取得価額を引き継ぐ)が2,000万円、時価が3,000万円(含み益1,000万円)の株を売却したら、通常は売却益に税金(譲渡税)がかかります。

上場株式等の物納のメリットや手続方法は、売却せずに物納すれば譲渡税がかからない点です。

ただし、譲渡税が免除されるのは、簡単に言えば、延納によっても金銭で納付することが困難な金額までです。

仮に時価が4,000万円の上場株式であった場合には、1,000万円(物納額4,000万円-金銭納付困難な額3,000万円)は譲渡税の対象となってきます。

厳密に言えば、金銭による納付を困難とする相続税額を超える価額の財産で物納した場合、金銭をもって還付される当該財産の超過物納部分については、通常の譲渡と同様に譲渡税の対象になります。

相続税評価額と物納申請時の株価が同額で、かつ上場株式に含み益がある場合には、譲渡税の負担がない分、上場株式等を物納した方が有利となります。

上場株式の物納
上場株式の物納
相続税評価額と物納申請時の株価が同額で、かつ上場株式に含み益がある場合には物納有利

物納の申請期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

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物納制度

その間に相続税評価額と時価を確認しながら、有利な納税方法を検討しましょう。

相続税評価額が上場株式等の売却手取額より高いと物納有利

単純に売却手取額より、相続税評価額(物納する金額)の方が高ければ物納が有利です。

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上場株式の相続税評価方法

(物納が有利な例)

  1. 物納申請時の株価(相続税評価額):1,000万円
  2. 売却した場合の手取り額(税引き後):800万円
  3. 物納有利

(売却が有利な例)

  1. 物納申請時の株価(相続税評価額):1,000万円
  2. 売却した場合の手取り額(税引き後):1,100万円
  3. 売却有利(売却して現金で税金を納める)

上場株式等の物納手続

上場株式等を物納するためには、物納申請時までに、所有者の名義を相続人に変更しておく必要があります。

物納申請期限(相続税の納付期限)までに名義変更ができない場合には、物納手続関係書類提出期限延長届出書を提出します。

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被相続人が保有していた上場株式の確認方法

上場株式等

上場株式等の物納申請には、物納する上場株式等の所有者の振替口座簿の写しの提出が必要です。(銘柄・数量等の確認のため)

物納許可通知書を受取ったら、指定された日までに、物納する株式を所有者の振替口座から財務大臣等の口座へ振替手続をします。

振替手続完了後に、「振替を行った旨の届出書」を提出します。

国債・地方債

国債・地方債(登録国債・登録地方債及び振替国債以外)の場合は、物納申請する国債・地方債の証券の写しの提出が必要です。(国債・地方債の記号番号等の確認のため)

登録国債は、国債登録変更請求書で、登録地方債は移転登録請求書などで財務大臣へ所有権の移転手続をします。

振替国債は、財務局長名義の口座への振替手続が必要です。

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国債や地方債等の相続税評価

社債等

  • 投資信託
  • 社債(登録社債以外)
  • 貸付信託の受益証券
  • 特別な法律で設立された法人の発行する債券又は出資証券

の場合は、その写しの提出が必要です。(記号番号等を確認するため)

登録社債は、移転登録請求書で財務大臣に登録名義の移転手続をします。

登録社債以外については、物納許可通知書を受取った後、指定された日までに、税務署へ社債等を持参します。

投資信託等については、物納許可通知書を受取った後、指定された日までに、所有者の振替口座から財務大臣等の口座への振替手続をします。

そして振替手続完了後に、「振替を行った旨の届出書」を提出します。

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投資信託等の相続税評価

動画で解説

上場株式等の物納のメリットや手続方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

上場株式等の物納のメリットや手続方法

動画内容

相続税の物納とは、相続した財産そのものを、相続税を払う代わりに納める、ということをいいます。

たとえば、不動産や株式などの財産を沢山相続して、相続税の額が、なんと3,000万円になってしまったとします。

でも、現金は相続していないため、相続税は払えません。

自分の貯金から支払うことも無理です。

このような場合、相続財産を売却して、相続税を払うか、3,000万円の価値がある、相続財産そのものを物納します。

物納した財産が、一体いくら(分)の税金の支払いに充てられるのか、というと、その財産を、相続独自の方法で、評価した金額となります。

これを相続税評価額といいます。

たとえば、上場株式の相続税評価額は、相続が発生した日、つまり、亡くなった日の終値か、相続が発生した月の終値の平均、その前月、前々月の終値の平均の方が低い場合は、その価額となります。

それでは、財産を売却して相続税を払うのと、物納するのは、一体どちらがお得なのでしょうか?

もし、物納の価額が3,000万円で、売却価格も3,000万円の場合、物納も売却も同じように思えます。

しかし、売却の場合、手取りが3,000万円になるとは限りません。

売却によって、利益が発生した場合は、譲渡所得税がかかるからです。

もし、3,000万円で売却した株が、もとは2,000万円で取得したものだった場合、差額の1,000万円に、だいたい20%の譲渡所得税がかかります。

この場合、売却しても手取りは2,800万円です。

必要な相続税が3,000万円だった場合、残り200万円は、別の方法で調達しなくてはなりません。

この場合は、売却をせずに、物納した方がメリットがあります。

物納には、譲渡所得税はかかりません。

もし、上場株式にふくみ益があるときは、売却できる価格が物納と同じでも、手取り額が減ることに注意が必要です。

逆に、株が4,000万円に上昇している場合は、譲渡所得税を払っても、手取りは3,600万円です。

この場合は、売却した方がお得といえます。

このように売却する時期によって、価格が変動するものには、上場株式のほか、国債・地方債・社債などがあります。

このような財産を物納するときは、まずは売却と、どちらが得か必ず検討しましょう。

さて、物納するには、税務署に申請手続きが必要となります。

期限内に専用の書類を用意して、提出しなくてはなりません。

上場株式の場合は、名義を相続人に変更した上で、振替口座簿の写しが必要となります。

その後、物納許可が下りたら、物納する株式を、所有者の振替口座から、財務大臣などの口座へ振替をして、納税をします。

国債、地方債、社債なども、それぞれに申請手続きの方法が、決められています。

物納を検討したい方は、まず、相続の専門家にご相談ください。

そして、相続税対策・相続手続・相続税の申告のことなら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せ下さい。

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