リバースモーゲージは手間をかけずに物納するようなもの

リバースモーゲージという制度を、ご存知でしょうか?

リバースモーゲージとは、高齢の方が自宅を担保に生活費を借りる、というローンの一種です。

そして、このリバースモーゲージは、【手間をかけずに物納するような効果】があります。

面倒
面倒
何かと面倒な物納が、リバースモーゲージで簡単に

そんなリバースモーゲージについて、解説しています。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、自宅を担保に老後の生活資金を借り入れ、その借り入れた方が亡くなるまで返済不要という制度です。

リバースモーゲージ
リバースモーゲージ
自宅を担保に老後の生活資金を借り入れ、その借り入れた方が亡くなるまで返済不要という制度

これは

  1. 年金の支給額引き下げ
  2. 年金の支給開始年齢の引き上げ
  3. 高齢者の医療費や介護費用の負担増加

などの理由により、リバースモーゲージ(逆抵当融資)と呼ばれるものが誕生しました。

高齢者が自宅の土地や建物等の不動産を担保にすることによって、生活費を借り入れるということです。

老後の生活資金で困っていたり、医療費が大変かかるという方にとっては、非常にありがたい制度とも言えます。

老後破産
老後破産
リバースモーゲージ(逆抵当融資)は老後破産防止に有効

なぜなら、自宅を売却して資金を工面しても、住む家がなくなってしまいます。

それがリバースモーゲージなら、ただ単に自宅を担保にいれるだけです。

お金を借りて住み続けることができ、しかも亡くなるまで返済は不要という、大変便利な制度です。

このリバースモーゲージは、

  • 信託銀行
  • 地方自治体

などが実施しています。ただ、

  1. 金利上昇
  2. 不動産価格の下落
  3. 長生きによる貸付金額の増加

などにより、貸付金の総額が担保不動産の評価額を超えるリスクを、金融機関等がとる必要があります。

このリスクのせいか、まだ一般的に普及している、とはいえない状況です。

リバースモーゲージでも不動産を処分(物納)せずに相続も可能

リバースモーゲージは、借入申込者が亡くなるまでお金が増え続けていきます。

死亡時に、不動産を処分することにより、借り入れた金額の全額(元金及び利息)を一括返済します。

本来、リバースモーゲージを利用していなければ、自宅は相続財産となります。

そして、相続税の納税資金確保に困った場合、自宅の物納などを検討する場合があります。

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配偶者居住権を取得すれば、配偶者は自宅に終身住み続けられる

リバースモーゲージを利用すると、自宅が相続財産にならないので相続税の節税になり、その分納税資金も安くなります。

これはリバースモーゲージの利用は相続税の物納効果がある、ということも言えます。

ただ、不動産の処分した金額のほうが、借り入れた金額よりも多い場合は、借入金を返済しても売却代金が残ります。

そのような場合には、その残金は相続財産となり、相続人が相続することなります。

また、相続人が借入金全額を一括返済すれば、不動産を処分せずに相続することも可能です。

社会福祉協議会でもリバースモーゲージ形式を取り扱っている

リバースモーゲージが普及していると言える状況ではない中、厚生労働省が創設した不動産担保型生活資金(長期生活支援資金)貸付制度というものがあります。

これは都道府県の補助を受けながら、都道府県の社会福祉協議会が実施している貸付制度で、リバースモーゲージ形式と言われています。

高齢者が所有している自宅の土地建物を担保に、都道府県の社会福祉協議会が、その高齢者に生活費を貸し付けるという制度です。

主な内容は以下の通りとなります。

対象者

以下の全てに該当する方が利用対象者となります。

  1. 配偶者又は親以外の同居人がいない
  2. 世帯の住民税が非課税程度であること
  3. 世帯になっている人の年齢が原則65歳以上
  4. 土地の評価額が1,500万円以上の一戸建て住宅
  5. 不動産に賃借権等の利用権や抵当権等の担保権が設定されていない
  6. 借入申込者が単独で所有する不動産に居住
    (ただし、同居の配偶者が連帯して借受人になる場合は、配偶者との共有不動産も可能)

逆にいいますと、以下のような場合には利用できません。

  1. 集合住宅
  2. 所得の多い世帯の高齢者
  3. 子どもと同居している高齢者
  4. 建物が区分所有になっている
  5. 不動産に既に担保が設定されている

貸付内容

  1. 貸付限度額:居住用不動産(土地)の評価額の70%程度
  2. 貸付期間:貸付限度額に達するまでの期間、または死亡日まで
  3. 1月当たりの貸付金額:30万円以内
  4. 貸付利子:年利3%又は長期プライムレートのいずれか低い利率
  5. 返済期限:貸付契約の終了時(死亡など)
  6. 返済方法:貸付元利金の一括返済
    【借受人(死亡時はその相続人)や連帯保証人が、当該不動産の売却などをする】

その他に、不動産の評価鑑定料・登記手続費用・各種証明書発行手数料等は、申し込み者が負担します。

また、推定相続人の中から連帯保証人1名を選ぶ必要もあります。

ただし、都道府県社会福祉協議会によって、上記に記載している条件等が異なってくる場合もあります。

必ず利用する福祉協議会へ確認をしましょう。

動画で解説

リバースモーゲージに相続税の物納のような効果がある、ということについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

リバースモーゲージは相続税の物納効果あり

動画内容

突然ですが、リバースモーゲージという制度をご存知でしょうか?

リバースモーゲージとは、高齢の方が自宅を担保に生活費を借りる、というローンの一種です。

今回は、このリバースモーゲージに相続税の物納のような効果がある、ことについてお話を致します。

リバースモーゲージと通常のローンの最大の違いは返済の方法です。

通常のローンは、お金を一括で借りた後、少しずつお金を返していかなければなりません。

言い換えると、生きている間に返済することが原則です。

これに対し、リバースモーゲージは、少しずつお金を借りながら、生きている間は返済をせず、亡くなった時に一括返済します。

しかも、返済はお金ではなく、担保に入れた自宅を引き取ってもらうことで完了します。

このように通常のローンと、返済のタイミングが逆なので、リバースモーゲージという名前がつけられています。

リバースモーゲージで借り入れができるのは、一部の金融機関や社会福祉協議会などです。

ただし、すべての不動産がリバースモーゲージの対象になるわけではありません。

また、不動産の価値によって、借入限度額も変わります。

まだ、あまり普及していない制度ですが、老後の生活不安を解消してくれる有利な制度です。

さて、リバースモーゲージには、老後の生活面だけではなく相続の面でもメリットがあります。

リバースモーゲージを使えば、お子さんなどに自宅を相続させることはできなくなりますが、見方を変えると、自宅という大きな財産がなくなる分、相続税が安くなるといえます。

相続財産の大半が自宅というケースは多いです。

ところが住む予定のない、親の家や土地を相続しても、あまり良いことはありません。

家や土地の相続税は、相続人が自分でお金を用意する必要があります。

相続した財産が現金であれば、その現金から相続税を支払えば済みますが、家や土地の場合はそうはいきません。

自分のお金から支払えないときは、家や土地を売却して資金を作るか、相続税の分割払いや物納を検討することになります。

ただし、売却は納得のいく価格で、買い取ってくれる相手が期限内に見つかるとは限りません。

仮に高く売れたとしても、利益がでた分には所得税がかかります。

物納とは、相続した家や土地そのものを、税金の代わりに国に納める方法ですが、事前の申請など非常に多くの手間がかかります。

それから、不動産はただ持っているだけでもコストが発生し続けます。

具体的にいうと、固定資産税や老朽化による危険が生じないためのメンテナンス費用などです。

もし、必要のない親の自宅を相続してしまうと、相続税を払うための資金調達や、将来発生する管理コストに悩まされることがあります。

それなら相続時にリバースモーゲージで、引き取ってもらってはいかがでしょうか。

リバースモーゲージで親の自宅を引き取ってもらうことは、手間をかけずに物納するようなものです。

相続税も安くなりますし、その後の管理コストも不要です。

もし、残りの相続財産の合計額が一定の基準を下回れば、相続税の申告さえしなくてよいこともあります。

しかも相続人がどうしても親の家を相続したいと思えば、借り入れた額を一括返済すれば可能です。

このようにリバースモーゲージは本来、老後のためのローンですが、自宅を相続する必要のないケースで活用すれば相続対策にもなります。