海外の不動産でも相続税対策は可能
実は海外にある不動産などの財産も、原則日本と同じ方法で相続税評価します。
~以下、国税庁HP(国外財産の評価-土地の場合)より引用~
土地については、原則として、売買実例価額、地価の公示制度に基づく価格及び鑑定評価額等を参酌して評価します。
課税上弊害がない限り、取得価額又は譲渡価額に、時点修正するための合理的な価額変動率を乗じて評価することができます。この場合の合理的な価額変動率は、公表されている諸外国における不動産に関する統計指標等を参考に求めることができます。
例えば、韓国では「不動産価格公示及び鑑定評価に関する法律」が定められ、標準地公示価格が公示されています。
原則、日本と同じ相続評価方法なので日本と同じような相続税対策をすることは可能です。
例えば、小規模宅地等の軽減の特例は海外の不動産でも適用できます。
ただ、原則日本と同じ方法で相続税評価しますと言われても、そもそも路線価(土地の相続評価の基準となるもの)は日本固有の指標です。
基本的に海外にはありません。
(韓国には地価の公示制度に基づく標準地公示価格が公示されています。)
また、固定資産税評価額がない国もあります。
日本と同じ方法で相続税評価をすると言われてもできないのが現状です。
では、どうやって海外にある不動産や財産を相続税評価するのか?
それは、日本と同様の方法で相続税評価出来るものは同じように評価しますが、できないものについは、市場での売買価格や、その分野に詳しい専門家の評価を用います。
例えば、海外の不動産の相続評価の場合、
- 現地の不動産会社へ査定を依頼する
- 海外の物件に詳しい不動産鑑定の専門家に評価を依頼する
といった方法で評価をします。
それも難しい場合には、購入価額・その購入した財産がある地域の同じ種類の財産の一般的な価格などを考慮して評価します。
為替の影響で海外財産の相続税対策は流動的になりやすい
海外の財産についても、小規模宅地等の特例が使えないか?などの相続税対策をすることは重要です。
ただ、海外の財産については為替も関係してきますので、相続税対策としては「流動的になりやすい」という面があります。
海外の不動産は申告しなければバレない?
海外の不動産や財産を申告しなければいいんじゃない?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、脱税行為なので絶対に申告しましょう。
また、海外に5000万円超の財産を持つ人は、
- 国外財産調書
- 国外財産調書合計表
の提出が義務付けられています。
年度末の12月31日時点で「海外に5000万円超の財産」を持っているなら、翌年3月15日までに提出する必要があります。
なので、被相続人が海外に財産を持っている場合、既に税務署はそのことを把握していると考えたほうが賢明です。
そして、海外不動産の名義変更や相続手続きは煩雑な場合が多いです。
相続税の申告期間は10か月。
海外に財産をお持ちの場合は、早めに相続税対策を立てることが、重要となってきます。
動画で解説
海外の不動産の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
今回は海外の不動産の相続税評価方法についてお話をさせて頂きます。
結論から言いますと、海外にある不動産も原則は日本と同じ方法で評価いたします。
よって、日本と同じような相続税対策をすることは可能です。
具体的には小規模宅地等の軽減の特例は、海外の不動産でも適用できます。
たたし、路線価は日本固有の指標です。
基本的に海外にはありません。
また、固定資産税評価額がない国もございます。
このような場合、日本と同じ方法で相続税評価はできません。
例えばハワイに所有している土地を路線価方式で評価することができないということです。
ではどうすればいいのか?
日本と同じ方法で評価できないものについては、売買実例価額や専門家の評価などを参考にして評価することになります。
例えば
現地の不動産会社へ査定を依頼する
海外の物件に詳しい不動産鑑定の専門家に評価を依頼する
といった方法で評価をいたします。
それも難しい場合には、購入価額・その購入した財産がある地域の同じ種類の財産の一般的な価格などを考慮して評価します。
また、海外にあるものなら、そもそも申告しなくてもいいのではないか?と思われる方もいるかもしれません。
例外的に国内にある財産のみ相続税の対象になるという場合はありますが、基本的にすべての財産が相続税の対象になると考えて下さい。