
5千万円を超える海外財産を保有する居住者(非永住者を除く)は、国外財産調書の提出が義務付けられています。そのため、この調書の控えを確認することで、故人の海外財産を把握することが可能です。本記事では、故人が保有していた海外財産の確認方法についてわかりやすく解説します。また、海外財産を申告しなかった場合のペナルティや、控えが見つからない場合の対処法についてもあわせて紹介します。
故人が遺した海外財産も、もちろん日本の相続税の対象となります。

しかし、そもそも海外に財産があるのかどうか、ご家族がまったく知らされていないケースは珍しくありません。
また、海外財産の存在は知っていても、具体的な金融機関名や金額まで把握できていないことも多いのです。
このような状況では、正しく相続税の申告ができず、遺産分割協議が難航する恐れがあります。
そこで役立つのが、「国外財産調書」という書類です。
一定の要件を満たす方には、この国外財産調書の提出が義務付けられています。

具体的には、その年の12月31日時点で合計5千万円を超える海外財産を持つ、日本にお住まいの方(居住者)などが対象となります。
対象者は、財産の種類や金額などを記載した調書を、原則として翌年の6月30日までに提出しなければなりません。
したがって、故人が保管していた国外財産調書の控えを見つけることができれば、海外財産の全容を把握できる可能性が高いのです。
もし自宅などを探しても控えが見つからない場合は、相続人が税務署の「申告書等閲覧サービス」を利用してその場で閲覧や写真撮影をすることができます。
また、正式な写しが必要な場合は、税務署に対して保有個人情報の開示請求を行うことで、故人が提出した過去の国外財産調書を確認できる可能性があります。
なお、国外財産調書の詳しい様式については、国税庁のホームページで確認することができます。
国外財産調書の制度には、正しく申告した人を優遇する措置と、申告を怠った人へのペナルティが設けられています。
故人が国外財産調書に海外の財産を正しく記載していたかどうかで、相続税の申告漏れが発覚した際の罰則(過少申告加算税など)の重さが変わってきます。

もし、故人が国外財産調書に記載していた財産について、相続人が誤って相続税の申告から漏らしてしまったとします。
この場合、申告漏れに対する過少申告加算税などが5%減額されるという優遇措置があります。
反対に、故人が国外財産調書に記載していなかった財産が後から見つかり、それが相続税の申告からも漏れていたとします。
この場合はペナルティとして、過少申告加算税などが通常よりも5%上乗せ(加重)されてしまいます。
さらに近年では、このペナルティ制度がより厳格化されました。
税務調査の際に、税務署から海外財産に関する資料の提示を求められたにもかかわらず、指定期限までに応じなかったとします。
このようなケースでは、先ほどの5%の上乗せペナルティが、さらに重い「10%の上乗せ」へと引き上げられることになります。
加えて、故意に虚偽の記載をして提出したり、正当な理由なく提出期限までに提出しなかったりした場合には、刑事罰が科される可能性もあります。
具体的には、1年以下の拘禁刑(※)または50万円以下の罰金に処されることがあります。
海外財産の申告漏れは税務署に厳しくチェックされるため、確実に調査して申告することが重要です。
※2025年6月の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」へと名称が変更されました。