相続財産ではない未支給の年金とは

年金は年6回に分けて支払われます。支払月は、2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月です。

それぞれの支払月には、その前月までの2か月分の年金が支払われます。例えば、12月に支払われる年金は10月~11月の2か月分です。

では、年金受給者が死亡した場合にはどうなるのか?

年金受給者
年金受給者
年金受給者が死亡した場合にはどうなるのか?

年金受給者が死亡した場合には、死亡したその月の分までの年金が支払われます。

なので、12月に死亡した場合には、未支給の年金(12月分の年金)が発生していることになります。(12月の年金は10月~11月分なので)

この死亡した人に支払われるはずであった年金(未支給の年金)は、遺族の方に支払われます。

そして、この未支給の年金は相続財産とはなりません。未支給の年金を受け取った方の一時所得となります。

なお、一時所得は50万円の控除額があります。なので、実際はほとんど課税されることはありません。

未支給年金を受け取れる人

被相続人(故人)が年金の受給を受けていた場合には、住所地を管轄する年金事務所に死亡届を提出する必要があります。

なお、この届出をしないと、いつまでも年金が故人の通帳に払い込まれます。そして、後に遺族が返金をする必要があります。

故人が年金を受給していた場合には、早めに手続きをしましょう。

この死亡届を提出する時に、併せて未支給分の年金を遺族がもらえる申請もします。

戸籍謄本、年金を受けていた人と未収金年金の請求者が、同一生計を証明できる書類など(年金手帳や除籍謄本など)を提出します。

未支給年金を受け取ることのできる遺族は、故人の死亡当時、生計を同じくしていた

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. 3親等内の親族(1~6を除く)

です。未支給年金を受け取れる順位もこの通りとなります。

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遺族年金は相続税も所得税も非課税

条件によって、妻や子どもが遺族年金を受給できる場合があります。

遺族年金を受給できるかどうかについては、日本年金機構にて確認することができます。

遺族年金がもらえる場合、既に自身(妻)が年金を受給している場合、年金の選択をする必要があります。

もしも、自身の老齢年金と遺族年金がほぼ同じような金額なら、遺族年金を選択したほうが賢明です。

選択
選択
自身の老齢年金と遺族年金がほぼ同じような金額なら、遺族年金を選択したほうが賢明

遺族年金は相続税はもちろん、所得税の対象にもならないからです。

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相続の課税の対象となる年金もある

では年金であれば、相続税対策から除外してもいいのか?というと、そういう訳でもありません。

以下のような場合には、相続税の課税対象となります。

  • 保険料負担者
  • 被保険者
  • 年金受取人

が同一人物の個人年金保険契約で、年金支払保証期間内にその人が死亡した場合で、残りの支払保証期間の年金を遺族が受け取ることになった場合には、相続税の課税対象となります。

また、企業年金に基づく遺族年金なども、相続税の課税対象となります。

相続税の課税対象となる年金は、しっかりと相続税対策をして申告をしましょう。

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会社から退職金ではなく遺族に死亡慰労金や年金が出される場合

被相続人の死亡によって、被相続人が勤めていた会社から退職金でなく、遺族に対する死亡慰労金や年金が出されるということがあります。

退職金は会社の規約・規定によって決まりますので、全ての会社の制度が同じではありません。

会社ごとの規定
会社ごとの規定
退職金は会社の規約・規定によって決まるもので、一律で同じというものではありません。

なので退職金という形ではなく、遺族が死亡慰労金や年金として受け取る、という場合があります。

この場合の慰労金や年金は、指定された者(相続人)の独自の財産(権利)となりますので、遺産(相続財産)にはなりません。

生涯現役とも言われる時代。会社に勤めながら亡くなる。そのようなケースも増えてくるのかもしれません。

そのような場合に遺産分割協議や相続税対策を円滑に進めるためにも、被相続人が生前中に会社の退職金の規定がどうなっているのか?を確認しておくのもいいかもしれません。

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動画で解説

年金と相続の関係について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴できます。

未支給の年金や遺族年金は相続財産ではない

動画内容

公的年金には年齢によって支給される老齢年金、年金に加入している人が亡くなったときに遺族に支給される遺族年金、障害を負ったことによって支払われる障害年金があります。

私たちが一般にいう年金は老齢年金のことです。

この年金は所得税の対象になります。

では年金を受け取っている人が死亡した場合、どうなるのでしょうか。

年金は年6回、偶数月に支払われます。

このとき支払われるのは前の2ヶ月分の年金にあたります。

たとえば4月に支払われるのは2月と3月の年金、6月に支払われるのは4月と5月の年金ということです。

では、年金を受け取っている人が12月に亡くなった場合、10月と11月の年金はどうなるのでしょうか。

この2ヶ月分は遺族に支払われます。

そして、この年金は相続税ではなく所得税の対象になります。

所得の種類は一時所得です。

一時所得には年間50万円の特別控除があります。

そのため受け取る額が50万円より少なく、他に一時所得にあたるものがなければ所得税はかかりません。

そのため実際に課税されるケースはほとんどないといえるでしょう。

では、この2ヶ月分の年金はどうやったら受け取れるのでしょうか。

これは死亡届を提出するときに、年金を受け取る人物を併せて申請する仕組みになっています。

受け取ることができるのは、まず亡くなった人の配偶者で、いなければ子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹などの順番となります。

先の順番の人がいれば後の順番の人は受け取れません。

続いて遺族年金についてお話します。

夫が亡くなると妻や子に遺族年金が支給されることがあります。

ただし、もし残された妻が自分自身の年金を受給している場合、どちらの年金をもらうか選択することになります。

ここでポイントとなるのは、遺族年金は老齢年金と違って所得税がかからないということです。

もし、自身の老齢年金と遺族年金がほぼ同じような金額であれば、遺族年金を選ぶようにしましょう。

では、相続税の対象になる年金はないのかというと実はあります。

まず、民間の保険会社から支払われる個人年金があげられます。

亡くなった人が自分で保険料を負担した個人年金を受け取っている途中に亡くなってしまい、まだ受け取っていない年金が遺族に支払われる場合です。

遺族が受け取る個人年金は相続税の対象になります。

このほかに企業年金から支払われる遺族年金も相続税の対象になります。

最後に、亡くなった人が勤めていた会社から、遺族に死亡慰労金として年金が支払われる場合について考えてみましょう。

死亡退職金であれば別ですが、死亡慰労金であれば相続税の対象になりません。

死亡慰労金は遺族個人に対して支払われるものだからです。

このように日本には国の年金、民間である保険会社の年金、会社の年金など色々な年金があります。

生前のうちに、会社などの年金制度がどのようになっているかを確認しておくのもいいかも知れません。

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