遺族年金の給付手続き方法

遺族年金には様々な種類がありますが、受給できるかどうかには、細かい条件が定められています。

今回は、そんな遺族年金についての説明です。

遺族年金の支給要件と支給対象者

遺族年金とは、年金加入者が死亡した場合に、一定の要件を満たした場合、遺族に対して支給される年金です。

遺族年金
遺族年金
遺族年金は遺族に対して支給される年金

この遺族年金は相続財産には該当しません。詳しくは、未支給の年金や遺族年金は相続財産ではないに記載しています。

ただ、相続財産ではなくとも、遺族にとっては大切な財産(受給権)です。そして、年金には

  1. 国民年金
  2. 厚生年金
  3. 共済年金
  4. 寡婦年金

があり、国民年金加入者の死亡で一定の遺族に遺族基礎年金、厚生年金加入者の死亡で一定の遺族に遺族基礎年金+遺族厚生年金、が支給されます。
(また、年金ではありませんが、死亡一時金というものもあります。)

寡婦年金や死亡一時金には請求期限があります。相続税対策で節税し、支出するお金を減らすのも重要ですが、お金が入ってくる手続きをすることも重要です。

そして、被相続人が国民年金に加入しているか、厚生年金加入者しているか、で支給要件や支給対象者が変わってきます。

国民年金

国民年金(遺族基礎年金)の支給対象者は、被相続人によって生計を維持されていた

  • 子供のいる妻
  • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子供
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子供

となります。給付金額(平成30年4月~)は、779,300円+子の加算となります。

子の加算額は、

  • 第1子・第2子:各224,300円
  • 第3子以降:各74,800円

となり、子供のみが遺族基礎年金を受給する場合、加算は第2子以降について行い、子供1人あたりの年金額は上記年金額を子供の数で除した金額となります。

厚生年金

厚生年金の支給対象者は、被相続人によって生計を維持されていた

  • 妻(30歳未満の子供がいない妻は、5年間の有期給付)
  • 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から)
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子供、孫
  • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子供、孫

となります。給付金額は被相続人の過去の収入によって、異なってきます。

詳しくは日本年金機構のホームページ遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)に記載されています。

寡婦年金

寡婦年金は子供がいない女性が受け取れる年金です。

男性は受け取れません。また、支給期間は60歳~65歳までの間となります。

被相続人が厚生年金に加入しておらず、国民年金への加入で、以下の要件に該当すれば寡婦年金が支給されます。

  • 妻が再婚していない
  • 婚姻期間が10年以上
  • 被相続人が10年間保険料を納めている
  • 夫が老齢年金や障害年金を受給していない
  • 妻が老齢基礎年金を繰り上げ受給していない
  • 5年以内に申請している(5年以内の申請が必要)

支給金額は、被相続人の第1号被保険者(国民年金)期間だけで計算した年金額の4分の3となります。

5年以内の申請が必要となりますので、申請モレが内容に気を付けましょう。

死亡一時金

死亡一時金は1回だけの支給となり、金額は保険料を納めていた月数に応じて12万~32万円となります。

死亡一時金の支給要件は以下のようになります。

  • 被相続人と生計を同一にしていた
  • 2年以内に申請している(2年以内の申請が必要)
  • 被相続人が第1号被保険者として3年以上の保険料の支払っている
  • 遺族基礎年金、寡婦年金の支給を受けていない(支給の要件を満たしていない)

2年以内の申請が必要となりますので、申請モレが内容に気を付けましょう。

また、支給対象者は以下の優先順位となります。

  1. 配偶者
  2. 子供
  3. 父母
  4. 祖父母
  5. 兄弟姉妹

遺族年金の給付手続きは年金事務所で行う

遺族年金の受給は、給付手続きをしなければ支給されません。

国民年金・厚生年金保険・船員保険遺族給付裁定請求書という書類に所定の事項を記載します。

そして、添付書類としては以下のようなものが必要となってきます。

  1. 年金証書
  2. 在学証明書
  3. 死亡診断書
  4. 印鑑(認印可)
  5. 請求者の所得証明書
  6. 預金通帳または貯金通帳
  7. 住民票(被相続人と請求者)
  8. 戸籍謄本(被相続人と請求者)
  9. 診断書(20歳未満の障害の子がいる場合)
  10. 年金手帳、基礎年金番号通知書(被相続人と請求者)

などが必要です。ただ、必要書類は申請をする遺族年金の種類により異なります。

給付手続きする際には年金事務所や役場の年金係で相談するのがベストです。

相談
相談
給付手続きする際には年金事務所や役場の年金係で相談するのがベスト

遺族年金について動画で解説

遺族年金について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

遺族年金等の給付手続き

動画内容

ご家族が亡くなられたあと、相続の手続きも大切ですが、それと同じくらい大切なのが、遺族年金の手続きです。

亡くなられた方の配偶者やお子さんなどのうち、条件を満たす方には、その後の生活を維持するために、遺族年金を受け取る権利があります。

ただ、いくら条件を満たしていても、権利があるというだけなので、もらうための給付手続きをしなくてはなりません。

中には手続きに期限があるものもございます。

期限がある
期限がある

給付手続きを漏れのないように行うためには、まず、遺族年金にどのような種類があるのかを把握することが重要です。

遺族年金の種類には、遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金があります。

遺族基礎年金とは、国民年金加入者が亡くなった場合に、その配偶者や、一定の年齢に満たないお子さんに対して支給される年金です。

遺族厚生年金とは、厚生年金加入者が亡くなった場合に、その配偶者とお子さんに支給される年金です。

ただし、亡くなった人が奥さんで、夫が受け取る場合は、夫の年齢が55歳以上でなければなりません。

また、遺族基礎年金と同様に、支給の対象となるお子さんにも年齢制限があります。

もし配偶者もお子さんもいなければ、その受給権が、両親、孫、祖父母の順に移ります。

遺族厚生年金で受け取れる年金の額は、亡くなった人の生前の収入で変わるので、一概にいくら、ということは言えません。

寡婦年金とは、夫が亡くなった時に65歳未満の妻が受け取れる年金です。

逆に妻が亡くなったとしても、夫は受け取ることができません。

このほかにも、年金ではないのですが、死亡一時金というものがあります。

死亡一時金は、1回限りの支給となり、金額は年金保険料を収めていた月数に応じて変化します。

寡婦年金と死亡一時金には、請求に期限があり、寡婦年金は5年、死亡一時金は2年となります。

さて、遺族年金には様々な種類がありますが、受給できるかどうかには、細かな条件が定められています。

したがって、まずはご自身がどの年金や一時金を受け取れるかを知ることが大切ですので、年金事務所や役場の年金係に相談に行ってください。

どの年金が受け取れるかわかったら、期限内に給付手続きを行うことで、遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金を受け取ることは、相続対策と同じくらい大切なことなので、モレのないように、しっかりと手続きを行いましょう。