
ご家族が亡くなられたとき、残されたご遺族の生活を支える大切な制度が「遺族年金」です。一定の要件を満たすことで給付を受け取ることができますが、年金の種類によって受給の条件は細かく定められています。また、2025年に成立した年金制度改正法により、2028年からは遺族年金の制度が大きく変わります。この記事では、遺族年金の種類や受給できる方の条件、最新の法改正のポイントについて解説します。さらに、実際の給付手続きの方法についても初心者向けにわかりやすくお伝えします。
遺族年金とは、国民年金や厚生年金などの年金加入者が亡くなった際に支給される年金のことです。
残されたご遺族の生活を保障するための大切な制度となっています。

この遺族年金は、原則として相続税の対象となる「相続財産」には含まれません。
詳しくは、未支給の年金や遺族年金は相続税の対象?もらえる年金の種類と注意点のページに記載しています。
日本の公的年金制度における遺族給付には、主に以下の種類があります。
亡くなった方が「国民年金」と「厚生年金」のどちらに加入していたかによって、受け取れる年金が変わります。
対象者や金額も異なるため、まずは故人の加入状況を確認しましょう。
なお、以前存在していた「共済年金」は、現在は厚生年金に統合されています。
相続税対策をして無駄な支出を減らすことも重要ですが、本来もらえるはずの年金をしっかりと受け取ることも同じくらい重要です。
亡くなった方が国民年金に加入していた場合、一定の要件を満たすと「遺族基礎年金」が支給されます。
遺族基礎年金は「高校卒業までの子供がいる配偶者」または「子供自身」しか受け取ることができません。
子供がいないご夫婦の場合、残された配偶者は遺族基礎年金を受け取れないため注意が必要です。
ここで、2028年の法改正による嬉しいニュースがあります。
子供がいる場合の加算額が手厚くなり、子供1人につき年額で約4万5,000円引き上げられ、約28万円になる予定です。
さらに、親が再婚した場合でも、子供自身は引き続き遺族基礎年金を受け取れるようになります。
詳細については、日本年金機構のホームページ遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
をご参照ください。
会社員など厚生年金に加入していた方が亡くなった場合、「遺族厚生年金」が支給される場合があります。
遺族基礎年金とは異なり、子供がいない配偶者でも受け取れる可能性があります。
注意したいのは、2028年4月以降はこの遺族厚生年金のルールが大きく変わるという点です。
これまで男女で異なっていた受給条件の差が解消されます。
残された配偶者が60歳未満で、かつ子供がいない場合、男女ともに「5年間のみの有期給付」へ統一されることになりました。
ただし、2028年度末の時点で40歳以上の女性は特例として対象外となり、これまで通り一生涯受け取ることができます。
5年で打ち切りになると不安に感じるかもしれませんが、この5年間の給付額は現在の約1.3倍に手厚く増額されます。
さらに、今回の改正で5年間の有期給付の対象となる世代については、「年収850万円未満」という収入制限が撤廃されます。
また、5年が経過した後も、収入が少ない方や障害のある方には引き続き年金が支給される「継続給付」という救済措置も用意されているためご安心ください。
あわせて、亡くなった配偶者の厚生年金記録を分割してご自身の記録に上乗せできる「死亡分割」という新制度も始まります。
これにより、ご自身の老後の年金を手厚くできるメリットが生まれました。
詳細については、日本年金機構のホームページ遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
をご参照ください。
寡婦年金は、夫が亡くなった際に遺族基礎年金を受け取れない妻を救済するための年金です。
女性のみが対象の制度であり、支給される期間は妻が60歳から65歳になるまでの間となります。
夫が国民年金としてご自身で保険料を10年以上納めていたことなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
支給される金額は、夫が本来受け取るはずだった老齢基礎年金額の4分の3です。
なお、この寡婦年金も2028年の法改正で大きな見直しが入ります。
2028年4月以降、受給できる年齢が段階的に引き上げられ、将来的に廃止される予定です。
また、遺族厚生年金に上乗せされる「中高齢寡婦加算」という制度も、25年かけて支給額が段階的に引き下げられ、最終的に廃止されます。
寡婦年金は受け取れる権利が発生してから5年以内に申請しなければならないため、期限切れにご注意ください。
死亡一時金は、国民年金としてご自身で保険料を36か月以上納めていた方が、年金を受け取らずに亡くなった場合に支給されます。
遺族基礎年金を受け取れる方がいる場合は、この死亡一時金は支給されません。
もらえる金額は、保険料を納めていた月数に応じて12万円から32万円となります。
受け取れる遺族の優先順位は、配偶者、子供、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順番です。
先ほどの「寡婦年金」と両方の条件を満たしている場合は、ご自身の希望に合わせてどちらか一方だけを選ぶ仕組みとなっています。
死亡一時金についても、亡くなった日の翌日から2年以内に申請を行う必要があるため、申請漏れには十分注意しましょう。
詳しい内容は、日本年金機構のホームページ死亡一時金
をご参照ください。
遺族年金は、条件を満たしていても自動的に振り込まれるわけではありません。
受給するためには、年金請求書に必要事項を記入し、ご自身で給付手続きを行う必要があります。
手続きの際には、基礎年金番号通知書や戸籍謄本などの添付書類が求められます。
現在は請求書にマイナンバーを記入することで、住民票や所得証明書などの添付書類の多くを省略できるようになっています。
ご遺族の書類集めの負担が大きく減りますので、ぜひマイナンバーを活用しましょう。
また、請求書に自筆で署名をする場合は原則として押印不要となっています。
申請する年金の種類や、ご家族の状況によって必要となる書類は細かく異なります。
給付手続きをする際には、年金事務所や市区町村役場の年金窓口へ行き、直接相談するのがベストです。
