銀行等の金融機関からの借金の調べ方
亡くなった親にどうやら借金があったようだ。でも、具体的な内容はおろか、どこから借りていたのかも分からない。
親が突然亡くなった場合、このようなケースは珍しくありません。
そのような場合には、相続人が故人の借金を確認する必要があります。
- 銀行
- 信金
- 農協
などの金融機関からの借金は、基本的に全国銀行個人信用情報センターで確認できます。
故人が全国銀行個人信用情報センターに加盟している銀行等から借金している場合には、相続人が調べることが可能です。
相続人が全国銀行個人信用情報センターに情報開示を申し込むという形になります。
情報開示の申し込み方法は郵送で、以下の資料などを同封します。
- 定額小為替1000円分
- 登録情報開示申込書(法定相続人用)
- 被相続人の死亡を証する資料(戸籍謄本の原本など)
- 相続関係説明図(相続人が第3順位の者である場合)
- 運転免許証やパスポート等の本人確認書類のコピー
- 開示請求者(申込者)が法定相続人であることを証する資料(戸籍謄本の原本)
書類に不備があると、手続きに相当な時間を要する場合があります。
いきなり送付するのではなく、全国銀行個人信用情報センターに必要書類等を確認の上、郵送しましょう。
特に被相続人の父母(祖父母)や兄弟姉妹(甥・姪)が情報開示の申し込みをする際には、必ず確認してから郵送しましょう。
全国銀行個人信用情報センターの法定相続人のタブを選択すると、必要書類や手続きの流れを確認できます。
情報開示したデータ以外にも借金が存在する場合がある
実は全国銀行個人信用情報センターで開示されたデータが全てでない場合があります。
それは開示されるデータは、データとして残っているものだけであり、データが残っていない場合があるからです。
被相続人(債務者)の死亡により、金融機関によっては情報が削除されることがあります。
そうなると、全国銀行個人信用情報センターにデータがないことになり、その削除されたデータ(借金)は確認が出来ません。
「全国銀行個人信用情報センターで開示されたデータ(借金)=全ての金融機関からの借金」でない可能性がありますので注意が必要です。
消費者金融からの借金やクレジットの残債の調べ方
消費者金融からの借金やクレジット等の残債は、
- JICC(株式会社日本信用情報機構)
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
の情報開示制度を利用して確認することが出来ます。
JICCでは、JICCに加盟している消費者金融会社や信販会社等から登録された情報を確認できます。
JICCの情報開示手続き等のご案内で、必要書類や手続きの流れを確認できます。
ただし、全国銀行個人信用情報センターと同様に、データが削除されているものは調べることは出来ません。
なので、消費者金融等からの借金の全てを確認できない場合もありますので注意が必要です。
CICでは、CICに加盟しているクレジット会社等のクレジットの残債などを確認できます。
CICの郵送による「法定相続人開示(死亡開示)」の申込み手続き(PDFファイル)で、必要書類や手続きの流れを確認できます。
CICも全ての債務を確認できない可能性があります。
登録元のクレジット会社が被相続人の死亡を確認し、情報を削除した場合、CICのデータも削除されます。
通帳の動き・振込明細・振込カードなどでも確認する
このように開示先にデータが残っている場合には、確認することが出来ます。ただ、データが削除されていると確認できません。
情報開示したデータが、借金やクレジット(残債)の全てでない場合があります。
なので、通帳の動き・振込明細・振込カードなどで確認することも重要です。
振込明細を借金の返済の証拠として、残している方も少なくありません。
また、遺品を整理していたら、振込みカードが発見される場合もあります。
情報開示制度を利用して既に確認済みだからといって、それらを廃棄しないようにしましょう。
確認モレしている借金を、それらで確認できる場合があります。
故人の借金を調べる方法を動画で解説
亡くなった親の借金を調べる方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
相続が発生したとき、亡くなった人に借金があると、その借金まで相続しなければなりません。
これを回避する代表的な手段は相続放棄です。
しかし、こうした手続きをとったほうがいいのかどうかは、借金の全容がわからなければ判断のしようもありません。
そこで今回は、亡くなった親の借金を調べる方法について、お話を致します。
まず、銀行、信金、農協といった金融機関からの借金は、基本的に全国銀行個人信用情報センターで確認することができます。
もし亡くなった人が、このセンターに加盟する金融機関から借金をしていれば、情報開示をしてもらうことで、その内容を知ることができます。
情報開示をしてもらうには、センター宛てに郵送で必要書類を届けます。
必要書類は、センターのホームページ等で確認しましょう。
消費者金融からの借金やクレジットカードなどの借金の残りについては、JICCやCICというところで確認できますので、こちらにも情報開示の申し込みをしておきましょう。
ただし、情報開示をしてもらえるのは、あくまでデータがある場合です。
ちなみに、全国銀行個人信用情報センターでも、情報開示の前にデータが削除されてしまっている場合があり、この場合は借金を把握できません。
もちろん、センターに加盟していないところの借金もわかりません。
このことから、他のルートでも借金を調べることが大切です。
たとえセンターやJICC、CICで、借金の情報が見つからなかったとしても、直ちに亡くなった人に借金がないとは言い切れません。
最終的には、亡くなった人の通帳の動きをみたり、振込明細や振り込みカードなどを探したりする作業が重要です。
振込明細は、借金の返済の証拠として保管している人も少なくありません。
遺品整理のときに、注意をしてみてください。