
実家の相続において、自宅の目の前にある「私道」は、非常に見落とされやすい財産の一つです。不特定多数の人が通る私道は、固定資産税が非課税になることが多いためです。毎年届く課税明細書に載らないことから、亡くなったご本人すら所有していることを忘れているケースが少なくありません。しかし、私道の相続を放置すると、後から遺産分割をやり直すといった大きなトラブルに発展します。2024年から始まった相続登記の義務化により、放置によるペナルティのリスクも高まりました。本記事では、名寄帳や2026年にスタートした最新制度を活用し、確実に見落としを防ぐ方法をわかりやすく解説します。
遺言書や財産目録に実家の土地建物はあっても、私道だけが抜け落ちているケースは頻発しています。

もし遺産分割協議の後に私道が見つかると、その私道のためだけに再度相続人全員で集まり、話し合いをやり直さなければなりません。
さらに恐ろしいのは、名義変更(相続登記)をせずに放置してしまうことです。
私道には、通行権や水道管を引くための掘削権など、生活に欠かせない重要な権利が複雑に絡んでいます。
将来、実家の建て替えや売却をしようとした際に、私道の名義が昔のままだと手続きがストップしてしまう危険があります。
また、2024年4月より相続登記が義務化されました。
不動産の取得を知ってから3年以内に登記を行わないと、10万円以下の過料(罰則)を科される可能性があります。
無用なトラブルやペナルティを避けるためにも、最初から私道を含めた全財産を正確に把握しておくことが重要です。
私道が見落とされる最大の原因は、役所から届く固定資産税の課税明細書に記載されないケースが多いからです。
近隣の人が日常的に通行するような公共性の高い私道は、原則として固定資産税が非課税となります。

非課税になると、毎年春に送られてくる課税明細書のリストからその土地の情報が消えてしまいます。
一部の自治体では税額0円と記載されることもありますが、記載されないことが一般的です。
残されたご家族は、この明細書だけを見て「これが故人の不動産のすべてだ」と勘違いしてしまうのです。
これが、私道特有の大きな落とし穴と言えます。
私道に面した土地や戸建てを相続する際は、必ず「明細書に載っていない私道の持ち分があるはずだ」と疑って調べるクセをつけましょう。
明細書にない私道を探し出すための基本は、市区町村の役所で「土地家屋名寄帳(なよせちょう)」を取得することです。
名寄帳とは、その市区町村内にある故人の不動産を一覧にまとめた帳簿のことです。
ただし、役所によっては非課税の私道が名寄帳に自動印字されないことがあるため注意が必要です。
窓口で取得を申請する際は、必ず「非課税物件も含めて記載してください」と担当者に伝えましょう。
さらに、2026年2月からは法務局で「所有不動産記録証明制度」という非常に便利な新制度が始まりました。
特定の市区町村しか調べられない名寄帳と違い、この制度なら全国にある故人名義の不動産を一括でリストアップできます。
遠方の山林や別荘はもちろん、思わぬ場所にある私道などの見落としも防げる画期的な仕組みです。
ただし、この新制度は「登記簿上の氏名と住所」をキーにして検索を行う点に注意してください。
故人が過去に引っ越しをして登記簿の住所変更を忘れていた場合、最後の住所で検索してもヒットしません。
そのため、戸籍の附票などで昔の住所も調べ、過去の住所とあわせて法務局に検索を依頼すると、より確実に漏れを防げます。
もっとも、検索する住所の数だけ証明書の発行手数料がかかる点には注意しましょう。
なお、2026年4月からは登記簿の「住所変更登記」も義務化され、変更から2年以内の申請が必須となりました。
怠ると5万円以下の過料の対象になるため、今後は住所不一致のトラブルも減っていくと予想されます。
相続をスムーズに終わらせるためにも、名寄帳と最新の新制度をうまく組み合わせて、完璧な財産調査を行いましょう。