土地家屋名寄帳で所有する全ての土地・家屋をチェック

基本的に不動産であれば被相続人に、その不動産が所在する市区町村から「固定資産税の納税通知書と課税明細書」が送られています。

なので被相続人の所有する不動産は、固定資産税の納税通知書と課税明細書で確認できます。

ただし以下のような場合には、固定資産税の納税通知書と課税明細書で被相続人名義の不動産を確認できない場合があります。

  • 土地の固定資産税課税標準額が30万円未満
  • 家屋の固定資産税課税標準額が20万円未満

この場合、これらの物件に固定資産税が課税されません。

そのため固定資産税の課税明細書に記載がない、又は固定資産税の課税明細書がそもそも送付されない場合があります。

また共有不動産の場合には、共有者の代表者に対して課税通知等が行われますので、共有不動産の確認モレが発生する場合もあります。

そうなると相続税の申告や遺産分割協議書に、被相続人名義の不動産(共有不動産を含む)がモレてしまう可能性があります。

相続税の申告の際には不動産の評価額に関わらず(固定資産税が発生していなくても)、被相続人名義(共有名義含む)のすべての不動産登記簿謄本(登記事項証明書)が必要です。

ちなみに、この不動産登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局で取得するものなのですが、被相続人、いわゆる故人の名前からは検索することができないため、どのような不動産があるか分からない状態では、不動産登記簿謄本(登記事項証明書)を取得することはできません。

自治体ごとに名寄帳を取り寄せ、被相続人の不動産一覧を確認する

では、どうやって確実に被相続人名義の不動産を全て確認するのか?

それは名寄帳というものを使います。

名寄帳を使えば市区町村単位で被相続人の所有する不動産が

  • 固定資産税がかからない
  • 共有名義

に関わらず確認できます。

ただし市区町村単位なので、それぞれの市区町村ごとに手続きをする必要があります。

なので被相続人の不動産の確認として、不動産のある全ての市区町村から名寄帳を取得しましょう。

名寄帳も完璧ではない

名寄帳には「その年の1月1日付」の情報が記載されています。

よって、1月2日以降に不動産の売買契約があっても、その情報は記載されていません。

被相続人AがBの方に不動産を1月2日以降に売っていたとしても、名寄帳にはその不動産は被相続人Aのままとなっています。

また、法人名義の不動産も名寄帳には載りません。

被相続人Aの会社が保有している不動産は名寄帳で確認できません。

固定資産税が非課税の不動産

相続税の申告の際に固定資産税が非課税の不動産は注意が必要です。

固定資産税が非課税でも相続税は課税になる場合があります。

課税
課税
固定資産税が非課税でも相続税は課税になる場合がある

例えば公園を市に無料で貸し付けている場合には、固定資産税はかかりません。

しかし、相続税の申告においては

「都市公園の用地として貸し付けられている土地」

として一定の要件を満たす場合には、通常の評価額に100分の40を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価することになります。

相続税対策にとって確認は必要ですが、そもそも固定資産税と相続税の両方とも非課税の場合でも(例、公衆用道路)、

  • 相続税の申告
  • 遺産分割協議書への記載
  • 相続登記

には必要となってきます。

なので、こういった面からも被相続人名義の不動産は

  • 固定資産税の有無
  • 相続税の有無

に関わらず確認する必要があります。



都心綜合会計事務所は相続税の申告の際、この名寄帳の取得を代理で致します。

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なぜ名寄帳で確認するのかを動画で解説

被相続人名義の不動産を名寄帳で確認することについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・天野敬佑が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴できます。

名寄帳で被相続人名義の不動産一覧(共有を含む)を確認できる

動画内容

亡くなった方が所有している不動産は、その不動産がある市区町村から「固定資産税納税通知書」「課税明細書」が送られてくるのでわかります。

ただし、固定資産税が非課税のものについては「固定資産納税通知書」「課税明細書」が送られてこないので確認をすることができません。

また共有不動産の場合には代表者にだけ通知が行くので、亡くなった方に共有名義の不動産があることがわからない場合があります。

相続税の申告では固定資産税が課税されているかどうかに関わらず、また共有名義の物件であっても、亡くなった方の名義になっている全部の不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)が必要です。

ではどうやって亡くなった方名義の全ての不動産を確認できるのでしょうか?

これには名寄帳を使います。

名寄帳では市区町村単位で亡くなった方名義の不動産が全部確認をすることができます。

ただし、あくまでも市区町村単位でしかわからないので、それぞれの自治体ごとに名寄帳を取り寄せる必要があります。

東京都区内の不動産は東京都の各区の都税事務所が担当になります。

相続税の申告のためには、遺産分割協議書に亡くなった方名義の全ての不動産が記載されていなければなりません。

もしモレがあったとするならば、そのモレている不動産については別途、遺産分割協議書を作成する必要があります。

そのため必ず名寄帳を取り寄せて、不動産をモレなく確認をするようにしましょう。

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