残高証明書では確認できない単元未満株
単元未満株とは、単元株といって、株式の発行会社が定めた売買単位に満たない端株のことをいいます。
たとえば、単元株100株とする会社の株式は100株単位で売買することになりますが、これに対し、10株しか保有していなければ、それは単元未満株ということになります。
なぜこのような株式が存在するかというと、
- 株式分割
- 会社の合併
- 会社が単元株の基準を変更した場合
などが原因です。
今回は、そんな単元未満株の確認方法について、解説しています。
単元未満株は特別口座で管理されている
実は上場株式には、単元未満株というものがあります。
単元未満株とは、最低売買単位である1単元(10株、100株、1,000株など)に満たない株式のことです。
被相続人保有の上場株式は、証券会社の残高証明書で確認をすることが出来ますが、この単元未満株は残高証明書では確認出来ません。

単元未満株は残高証明書だけでは確認出来ません。
単元未満株は証券会社の口座ではなく、信託銀行が管理する特別口座で管理されているためです。
なので、被相続人の上場株式として、株主名簿管理人である信託銀行に対して、単元未満株の有無を確認する必要があります。
ちなみに、タンス株(電子化されなかった株式)も特別口座で管理されています。
単元未満株の確認方法
特別口座で管理されている銘柄が1つでもあると、配当金の受取方法として、株式数比例配分方式を適用することが出来ません。
なので、配当金の受取方法で株式数比例配分方式を適用しているということは、単元未満株が存在しないことを意味します。
よって、単元未満株がないことを確認することが出来ます。
ちなみに、株式数比例配分方式を選択しているかの確認は、株主名簿管理人である信託銀行や、取引先の証券会社で確認出来ます。
配当金の受取方法として、証券会社の取引口座で受取る場合
以下の手順で確認します。
- 株主名簿管理人の確認
- 証券代行部へ照会
被相続人保有の上場会社の株主名簿管理人を確認(会社四季報などで確認)し、該当する信託銀行の証券代行部に、被相続人の相続開始日における特別口座の残高を確認したい旨を電話で伝え、確認手続きを開始することが出来ます。

該当する信託銀行の証券代行部に、電話をして確認手続きを開始することが出来ます。
(なお、会社四季報で、頭に匿|と記載されているものが株主名簿管理人となります。)
単元未満株は、最低売買単位である1単元に満たない株式ということもあり、相続税対策にはほとんど影響がありません。
ただし、適切な相続税の申告をするためには、確認をしなければなりません。
また、相続財産として計上もれが起きやすい財産でもあります。注意しましょう。
単元未満株について動画で解説
単元未満株について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・天野敬佑が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
亡くなった方が保有する株式は、相続財産として相続税の課税対象になります。
どのような株式を何株保有していたかは、証券会社の残高証明書で確認をすることができます。
しかし、この残高証明書には記載されない株式もあります。
それが「単元未満株」です。
単元未満株とは、単元株といって、株式の発行会社が定めた売買単位に満たない端株のことをいいます。
たとえば、単元株100株とする会社の株式は100株単位で売買することになりますが、これに対し、10株しか保有していなければ、それは単元未満株ということになります。
なぜこのような株式が存在するかというと、株式分割、会社の合併、会社が単元株の基準を変更した場合などが原因です。
それまで保有していた株式が単元に満たなくなってしまうことがあるからです。
このような単元未満株は、証券会社の口座ではなく、信託銀行の特別口座というところで管理がされています。
したがって、証券会社の残高証明書には掲載されません。
しかし、単元未満株であっても配当金を受け取ることもできますし、発行会社に買取請求をして現金化することも可能です。
したがって、相続財産にはカウントしなければなりません。
ただ、やみくもに特別口座を探すのではなく、まずは証券会社の口座で管理する株式の配当金の受け取り方法が、「株式数比例配分方式」という方法かどうかを確認して下さい。
もし、この方式になっている場合は、単元未満株を保有していない、ということになります。
そうすれば、この時点で単元未満株がないことを簡単に確認できます。
相続税申告、相続手続きのことなら都心綜合会計事務所にお任せください。