ゆうちょ銀行の貯金は一括管理されている
被相続人はおろか、相続人のゆうちょ残高も税務署は把握できます。
今回は、そんなゆうちょ銀行の残高確認について、解説しています。
ゆうちょ銀行の残高は丸見え
従来はこんな噂がありました。税務署は郵便局には調査ができない。
よって、このなごりからか、ゆうちょ銀行は安心(何をもって安心と言っているのかは、ご想像にお任せ致します。)という方がいらっしゃいます。
しかし、現実には国税局の職員は、いつでも日本郵政の集計センターに行き、被相続人に限らず誰の名寄せも集計できると言われています。
被相続人のゆうちょ残高はもちろん、相続人のゆうちょ残高も税務署は把握できるということです。
そして、名義預金の調査(名義預金の詳細については名義預金の認定を回避するには贈与を受けた本人が口座を管理するをご参照ください。)として、税務調査の際には
- 相続人
- 相続人の配偶者
- 相続人の子ども
- 孫
などの、ゆうちょ残高も税務署は照会しているようです。
また、被相続人の相続財産がそれなりにあるのに、ゆうちょ銀行への貯金がない場合には、隠しているのでは?と税務署から疑いの目をかけられやすいです。
変な疑いをかけられないためにも、相続財産の確認として、被相続人のゆうちょ銀行の残高確認はもちろんのこと、家族名義の貯金の有無についても確認をするのがベストと言えます。
そして、ゆうちょ銀行に貯金があるのかどうか分からない場合でも、「貯金調査結果のお知らせ」によって、「ない」ことを証明することが出来ます。
ゆうちょ銀行の残高確認手続き
ゆうちょ銀行での被相続人の残高照会などの手続きについては、相続人はもちろん、相続人からの委任状で代理人でも照会出来ます。
手続き方法としては、貯金等照会書に記入の上(代理人による記入も可)、以下の書類を添付して、最寄りのゆうちょ銀行へ持参します。
(正確に言いますと、この貯金等照会書で確認することは、被相続人がゆうちょ銀行に口座を持っているどうかを調べるものであり、口座があればついでに残高証明書もお願いします、という形となります。)
相続人の方が手続きをする場合に必要な添付書類
- 被相続人の除籍謄本
- 窓口で手続きをする方の相続人の戸籍謄本
- 窓口で手続きをする方の相続人の身分証明書
- 窓口で手続きをする方の相続人の印鑑
代理人が手続きをする場合に必要な添付書類
- 被相続人の除籍謄本
- 委任をした相続人の戸籍謄本
- ゆうちょ銀行所定の委任状
- 代理人の身分証明書
- 代理人の印鑑
なお、コピーでの提出は不可(必ず原本提出となります)ですが、原本の返還を希望すれば、原本は返却してもらえます。
詳細については、ゆうちょ銀行|相続手続き
にてご確認下さい。
ゆうちょ銀行には以下のような口座があり、貯金事務センターにて一括管理されています。
- 通常貯金
- 定額貯金
- 定期貯金など
このため国税局の職員は、一元管理されている貯金事務センターに照会することにより、簡単に貯金残高を知ることが出来ます。
貯金事務センターでは、貯金の調査可能な期間は過去7年分(条件により過去10年分)とされています。
税務署としては、お金の流れを調べることにより、生前に贈与していないか、名義預金はないかを調べます。
ゆうちょ銀行の残高確認は、被相続人の残高確認のみならず、
- 名義預金の有無
- 家族名義の貯金の有無
も合わせて調べましょう。そして、そんな相続手続きが面倒という方。東京新宿神楽坂の都心綜合会計事務所にお任せください。
会計事務所として48年の歴史があり、相続専門部門を有しております。相続税対策や相続税の申告はもちろん、相続税手続きの代理も致しております。お電話(03-3269-2687)お待ちしております。
動画で解説
故人のゆうちょ銀行の確認方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
故人のゆうちょ銀行に対する残高照会などの手続きは、相続人はもちろん、代理人でも可能です。
最寄りのゆうちょ銀行の窓口に必要書類を提出すれば、回答してもらえます。
相続人の場合、提出する主な書類は、被相続人の除籍謄本、窓口で手続きをする方の相続人の戸籍謄本、身分証明書、それから印鑑も必要です。
代理人であれば、被相続人の除籍謄本、委任をした相続人の戸籍謄本、ゆうちょ銀行所定の委任状、代理人の身分証明書、代理人の印鑑が主に必要となります。
また、今申し上げた書類とは別に、ゆうちょ銀行の窓口にある貯金等照会書も作成します。
手続きの流れですが、まず口座の有無を照会して、口座があれば、残高証明書の発行をお願いする、という二段階になります。
もし該当する名義がなければ、「貯金調査結果のお知らせ」によって、「ない」ということを証明することもできます。
今回のテーマは以上となりますが、短い内容でしたので、ここで少し、ゆうちょ銀行にまつわる「ちょっとしたお話」をしたいと思います。
少し前まで、税務署は郵便局に対して調査ができない、なんていう噂がありました。
しかし、それは本当にタダの噂です。
現実には、国税局の職員は、いつでも日本郵政に行き、誰の名義でも調査できると言われています。
そして、国税局の職員は、名義預金の調査も当然に行っています。
名義預金とは、口座の名義人が実際に管理していない預貯金のことです。
子や孫のために親や祖父母が内緒で作った口座に、お金を入れているケースが典型例です。
もし親や祖父母が亡くなった場合、この預貯金がどうなるのかというと、口座にお金を移していた親や祖父母の相続財産として扱われます。
かつての噂のなごりから、ゆうちょ銀行なら安心・・・
まあ何をもって安心と言うのかは、ご想像にお任せ致しますが、そう思っている方がまだ一定数いらっしゃるようです。
しかし国税局の職員は、ゆうちょ銀行だろうと、亡くなった方やその家族名義の口座残高やお金の流れを調査します。
では、ゆうちょ銀行の口座情報は、一体どんな風に管理されているのでしょうか。
現在、ゆうちょ銀行の口座情報は、貯金事務センターというところで、通常貯金、定額貯金、定期貯金などの口座情報を、名義人ごとに過去7年分管理されています。
条件によっては、10年分保存されているものもあります。
このように異なる種類の貯金が、名義人ごとに一括して管理されていますので、国税局の職員も、この貯金事務センターに照会することで、対象者の貯金残高やお金の流れを容易に把握することが出来ます。
以上がゆうちょ銀行にまつわる「ちょっとしたお話」となりました。