
亡くなった方(被相続人)の遺産には、不動産や預貯金だけでなく、自動車や家具などの「動産」も含まれます。とはいえ、それらすべてを遺産分割協議書に細かく書き出す必要はありません。正しい分け方の基準を解説します。
被相続人が残した財産のうち、土地や建物といった不動産以外の形あるものを「動産」と呼びます。

ご遺族の方から「不動産はないから相続の手続きは簡単だ」という声を聞くことがありますが、家財道具などの動産はどのご家庭にも必ず存在します。
具体的には、以下のようなものが動産に該当します。
法律上は、これらすべてが遺産分割の対象となります。
しかし、「着ていた服を一枚ずつ誰が引き継ぐか決めて、協議書に書かなければいけないのか?」と心配する必要はありません。
実務上、金銭的な価値がほとんどない日用品や家具・家電については、「動産一式」としてまとめて一人の相続人が引き継ぐ形にするのが一般的です。
また、廃棄費用の方が高くつくような不要品は、そもそも協議書に記載して遺産分割の対象とする必要はありません。
ここで1つ注意したいのが、「形見分け」です。
日常的に愛用していた価値のない衣類などを形見として親族で分け合う場合、それは遺産分割の対象に含めなくて構いません。
しかし、「高級時計」や「高価な着物・宝石」などは、形見分けと称しても金銭的価値があるため、立派な相続財産となります。これらは遺産分割の対象であり、相続税の計算にも含まれる点に注意しましょう。
価値のない品物であっても、勝手に捨てたり売ったりすると、後々「あれには思い入れがあったのに」と親族間で揉める原因になりかねません。処分する際は、事前に相続人全員に声をかけるのが無難です。
動産の遺産分割は、「価値があるか・ないか」で判断し、価値のないものは「動産一式」にまとめるのが基本です。
しかし、金銭的な価値がゼロであっても、個別に遺産分割協議書に記載すべきものが存在します。
例えば、走行距離が10万kmを超えていて下取り価格がつかない自動車であっても、陸運局での名義変更手続き(または廃車手続き)には所有者を明確にする必要があります。
このような財産を「動産一式」に含めてしまうと手続きがスムーズに進まないため、価値にかかわらず個別に遺産分割を行います。

一方で、美術品や骨董品、ブランド品など「価値があるかどうかわからない」という場合もあるでしょう。
ひとつの目安として、購入時の価格で判断します。
数万円〜数十万円程度であれば「動産一式」に含めてしまうことが多いですが、数百万円で購入したようなものは個別に記載し、正しく評価する必要があります。(購入価格が不明でも、明らかに高価なブランド品などは同様です)
詳しくは、美術品や骨董品等の相続税評価方法と税務上の重要ポイントをご覧ください。
動産は、現金のように金額が目に見えないため、扱いが曖昧になりがちです。しかし、評価額を把握せずに以下のような行動をとると、深刻なトラブルにつながります。
のちのち親族間で揉めることや、税務上のトラブルを防ぐためにも、動産についてもきちんと確認し、正しい遺産分割を行いましょう。
動産の遺産分割方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。
動画内容
普通、遺産というと、思い浮かべるものは不動産や預貯金などです。
でも自動車や衣類などの「動産」と呼ばれるものも遺産となります。
動産とは、自動車・家具・本・衣類・骨董品・美術品・ブランド品・貴金属類、そして、亡くなった方に保管義務があった書類、例えば、先祖伝来の書きつけ等です。
これらも遺産と聞くと、衣類も1枚ずつ分け合うの?と心配されるでしょうが、そんなことはございません。
動産は価値がある場合には個別に遺産分割し、価値がない場合には「動産一式」として、まとめて遺産分割します。
ではどうやって「価値があるかないか」を決めるか?といいますと、だいたい購入した時の価格が数十万円までなら「動産一式」としてまとめます。
一方、購入した時に数百万円したもの、また、購入価格が分からないけれど、価値がありそうな物は個別に遺産分割する、といった形になります。
なお、個別に遺産分割するものは、専門の鑑定士さんに評価を依頼する等して評価額を算定します。
また、価値がなくても車のように名義変更などが必要なもの、誰が持っているかはっきりしないと後でトラブルになりそうなもの、例えば保管義務のあった書類などは個別に遺産分割します。
相続に関するお悩みは、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。