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換価分割のメリットとデメリット

遺産の換価分割とは、不動産などの遺産を売却して現金化し、その売却代金を相続人同士で分け合う方法です。

遺産を1円単位で正確に分け合うことができるため、相続人の間で公平な分割がしやすいという大きなメリットがあります。

公平
公平
遺産の換価分割は公平に分割しやすいというメリットがあります。

例えば、遺産が6000万円で売れる土地一つだけだったとします。

この土地を売却し、長男、次男、三男の3人で2000万円ずつ現金で受け取る形が換価分割です。

現金化しやすい土地や株式などの遺産を分ける際に、よく選ばれる方法です。

また、遺産が不動産しかない場合、相続税を支払うための現金(納税資金)が不足しがちです。

換価分割であれば、遺産を売却してまとまった現金を得られるため、納税資金をしっかり確保できるというメリットもあります。

しかし、先祖代々受け継いできた大切な土地や家を手放すことになります。

そのため、必ずしも相続人全員が売却に賛成するとは限りません。

公平で分かりやすい反面、「売るか、残すか」で意見が対立し、トラブルに発展することも少なくありません。

大前提として、遺産を売却するには相続人全員の同意が必要です。

全員の同意
全員の同意
遺産の売却には相続人全員の同意が必要です。

さらに、不動産を売却するためには、亡くなった方の名義から相続人の名義へと変更する「相続登記」を行う必要があります。

2024年4月1日からは、この相続登記が義務化されました。

相続登記の手続きには、登録免許税という税金や、司法書士に支払う報酬などの費用がかかります。

また、売却手続きをスムーズに進めるために、代表者一人の名義にしてから売却し、後で代金を分ける方法をとることがよくあります。

この場合、遺産分割協議書に「換価分割のために代表者の名義にする」としっかり記載しておかないと、他の相続人への贈与とみなされて多額の贈与税がかかるリスクがあります。

さらに、代表者が売却代金を受け取った後、他の相続人の口座へ振り分ける手間や振込手数料が発生することも見落とせないポイントです。

不動産の価値は常に変動するため、売却するタイミングによって手元に残る金額も変わってきます。

もし売却によって利益(売却益)が出た場合には、所得税や住民税(譲渡所得税)といった税金がかかります。

特に、先祖代々受け継いできた古い土地などを売る場合、当時の購入代金(取得費)が分からないことが多く、想定以上に高額な税金が発生しやすい点には注意が必要です。

相続人間で売却代金を分けた場合は、それぞれの受け取った割合に応じて、各人が譲渡所得税の確定申告を行わなければなりません。

さらに、売却によってその年の所得が増えると、翌年の国民健康保険料や後期高齢者医療制度などの社会保険料が高くなる可能性がある点にも注意が必要です。

ただし、会社勤めの方が加入している勤務先の健康保険(社会保険)の保険料は給与をベースに計算されるため、不動産の売却益が出ても保険料は上がりません。

このように、換価分割には売却の手間や費用がかかります。

所得税や住民税、一部の社会保険料の増加、不動産会社への仲介手数料などの支払いにより、最終的に手元に残る遺産が目減りしてしまうというデメリットがあります。

目減り
目減り
遺産の換価分割は遺産が目減りするというデメリットがあります。

ただし、税金の負担を軽くするための特例を利用できる場合があります。

例えば、相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合に使える「取得費加算の特例」があります。

また、一定の条件を満たす空き家となった実家を売却した際に使える「空き家の3000万円特別控除」という特例も存在します。

2024年1月1日以降の売却において、相続人が3人以上いる場合は、この空き家特例の1人当たりの特別控除の上限額が2000万円となります。

また、同年のルール改正により、古い実家を解体せずにそのまま売却しても、買主側で解体や耐震改修をしてくれれば特例が適用できるようになり、使い勝手が向上しました。

この際、売却した年の翌年2月15日までに買主が解体や耐震改修を行う必要がありますので、スケジュールの確認が大切です。

なお、この空き家特例はいつでも使えるわけではなく、現在のところ2027年(令和9年)12月31日までの期間限定の制度となっている点には注意が必要です。

この空き家の特例などを利用して売却益(所得)をゼロに抑えることができれば、翌年の国民健康保険料などが上がる心配はありません。

ここで非常に重要なのは、これら2つの特例(取得費加算の特例と空き家特例)は、同じ不動産に対して同時に併用することができないという点です。

どちらの特例を利用したほうが税金の負担が軽くなるのか、事前にしっかりと比較して検討する必要があります。

換価分割のメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。


換価分割のメリットは以下の通りです。

  • 相続人間で1円単位まで公平に分割しやすい
  • 相続税を支払うための納税資金を確保しやすい

換価分割のデメリットは以下の通りです。

  • 譲渡所得税や住民税がかかる場合がある
  • 相続登記の費用や仲介手数料など、売却の手間や費用がかかる
  • 代表者が代金を振り分ける手間や振込手数料が発生する
  • 思い入れのある不動産や株式などを手放すことになる
  • 希望通りの金額で売れないリスクがある
  • 遺産分割協議書の書き方次第では贈与税が課されるリスクがある

遺産の換価分割は、公平に分けられる反面、相続人全員の合意が不可欠であり、手数料や税金で遺産が目減りするというデメリットがあることをしっかり認識しておきましょう。

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遺産の換価分割を動画で解説

遺産の換価分割について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。

遺産の換価分割のメリット・デメリット

動画内容

遺産の換価分割とは、遺産の全部、または一部を売って、そのお金を何人かいる相続人で平等(公平)に分け合うという遺産の分け方です。

例えば遺産が土地一つしかなくて、相続人が長男、次男、長女の3人がいる場合を考えてみましょう。

この土地を6000万円で売って、そのお金を3人で分けると一人2000万円ずつになり、公平に分けられます。

これが遺産の換価分割です。

この方法ですと、モノではなくお金で相続するので、相続税を払いやすい、というメリットがあります。

けれども残された土地を、相続する人全員が「売ってもいいよ」と言うとは限りません。

相続人全員が同意しないと、土地は売れません。

土地を売るためには、相続人全員の同意をもらうという手間や、不動産屋への費用がかかります。

また、予想に比べて低い値段しかつかないこともあります。

逆に高く売れた時には、譲渡所得税の申告をしなければなりません。

このように遺産換価分割をすると、手間や費用、税金がかかってしまい、結局遺産が目減りする可能性があります。

これがデメリットとなります。

遺産を換価分割する方がいいかどうか、迷った時には税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。

賢い相続をしましょう。

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