遺産分割協議成立後の翌日から4か月以内に更正の請求をする

法定申告期限内に遺産分割協議が成立せず、とりあえず法定相続分に基づいた申告を行い、納税をするという場合があります。

このような申告を未分割申告といい、詳しくは遺産分割が申告期限までにまとまらない場合は未分割申告に記載しています。

未分割申告をした後に遺産分割協議が整い、法定相続分より少ない財産を取得することになった等の理由で、既に納税済みの金額より少ない相続税になる場合があります。

遺産分割協議
遺産分割協議
未分割申告をした後に遺産分割協議が整い、結果納税済みの金額より税金が安くなる

このような場合でも、更正の請求をすることにより、過大に納税済みの相続税を還付してもらえます。

ただし、注意点としては、遺産分割協議が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求を行う必要があります。

4カ月以内
4カ月以内
未分割申告での税金還付の更正の請求期間は、遺産分割協議が成立した日の翌日から4か月以内

未分割申告ではなく、単なる間違いで過大納税した場合は法定申告期限から5年以内なので、この期間と混同しないようにしましょう。

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税額軽減などの優遇措置を受けるためにも更正の請求は必要

申告期限後3年以内の分割見込書を相続税の申告期限までに提出しており、実際に申告期限から3年以内に遺産分割が成立した場合、更正の請求を行うことにより、税額軽減などの特例の適用を受けることができます。

例えば申告期限までに遺産が未分割状態で、同居している息子が実家を相続するのかどうか(小規模宅地等の特例が適用できるのかどうか)不明な場合に、後に息子が実家を相続したら、小規模宅地等の特例(税額軽減の特例)が適用出来ます。

なお、申告期限後3年以内の分割見込書についての詳しい内容は、遺産分割が整わない方は申告期限後3年以内の分割見込書を提出しように記載しています。

また、詳しくは申告期限後3年以内に遺産分割がまとまらない場合にも記載していますが、やむを得ない事情などにより、申告期限後3年を経過する日においても未分割状態が続いてる場合には、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出します。

その承認申請書の提出がない場合には、その後に分割が確定しても、更正の請求で配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例などの適用が出来ません。

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また、税額軽減などの特例の適用を受ける場合は、同じように分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求をする必要があります。

ただし、税務署長が申告期限後3年を過ぎても、未分割であることについてやむを得ない事情があると認めた場合のみです。

申告期限後3年以内に遺産分割がまとまっていない場合は、更正の請求をしても、納めすぎた税金が還付されない可能性があるので注意しましょう。

未分割申告と更正の請求について動画で解説

未分割財産を分割し相続税が減少したら、更正の請求で相続税を還付してもらいましょう。税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

未分割財産を分割し「相続税が減少」したら更正の請求をする

動画内容

皆さん、こんにちは!

税理士法人・都心綜合会計事務所、税理士の田中でございます。

さて、みなさん、遺産分割協議に期限はあると思われますか?

実は遺産分割協議自体には期限がありません。

けれども相続税の申告期限がございます。

それは遺産をのこした方が亡くなってから10ヶ月目です。

ですから、その期限よりも前に遺産分割協議を済ませて相続税の計算をしなければなりません。

その期限を「法定申告期限」といいます。

では、その法定申告期限内にどうしても遺産分割協議が成立しなかったら、どうしたらいいのでしょうか?

その時は未分割申告というものを行います。

今回はその未分割申告とは何か、それをした後に遺産分割協議ができた場合にはどうしたらいいかをお伝え致します。

遺産をのこした方が亡くなってから10ヶ月目が相続税の申告・納税期限です。

これを法定申告期限と言います。

この法定申告期限までに遺産分割協議が成立しないと誰がどれだけ相続をし、それに対する税額がどのくらいになるかわかりません。

そのため相続の申告と納税ができません。

申告期限の締め切り10か月目が近づいても遺産分割協議が成立しない場合には、とりあえず法定相続分に沿った相続税の申告を行って納税をする場合がございます。

これを未分割申告と言います。

未分割申告の場合は各種の相続税軽減特例が使えないなど、不利な点が多く、また遺産は共有名義となりますので1人(で)勝手に処分もできないため、できれば未分割申告は避けた方がいいのです。

けれども、どうしても話し合いがまとまらなかった場合には、これしか方法がございません。

一度未分割申告をした後で、遺産分割協議が整って、法定相続分より少ない財産を貰うことになった場合には、既に納税した相続税の金額よりも少ない税額で良い場合もあります。

こうした場合は「更正の請求」をすることで、払いすぎた相続税を返してもらうことができます。

ただし、注意しなければいけないのはその請求期限です。

遺産分割協議が成立した日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をしなければいけません。

未分割申告ではなく単に計算間違えで多く納税した場合は、法定申告期限から5年以内に請求をします。

未分割申告の更正の請求は4ヶ月ですから、こちらと間違えないように致しましょう。

それでは遺産分割協議がまとまれば、未分割申告をした時には使えなかった税額軽減などの特例は使えるようになるのでしょうか?

それは次の2つができれば使えるようになります。

1つ目は相続税の申告期限までに申告期限後3年以内の分割見込み書を提出していること。

2つ目は実際に申告期限から3年以内に遺産分割が成立した場合。

この2つが揃えば更正の請求を行って、税額軽減などの特例を使うことができます。

税額軽減の特例には配偶者の税額軽減や小規模宅地の税額の軽減など、相続税を大きく節税できる制度がありますので、ぜひ利用したいものですよね。

申告期限後3年以内に遺産分割がまとまっていない場合には、更正の請求をしても納めすぎた税金が戻されない可能性があるので注意しましょう。

話し合いで揉めているよりも早く話し合いをつけて、相続税の特例を利用する方がお得であることを相続人皆さんでわかるといいですね。

そして、相続に関することなら税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。

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