遺言書の内容で「未分割申告が出来るかどうか」は変わる
一口に遺言で遺産を遺すといっても、
- 特定遺贈
- 包括遺贈
- 相続分の指定
- 遺産分割方法の指定
など、方法は様々です。
そして、遺言の内容で、未分割申告が出来るかどうか変わります。
具体的には、遺言による遺産相続が直接的な権利移転なのか、分割協議を経る必要があるものか、で分かれます。
直接権利移転の遺言の場合は未分割申告は不可
遺産が受遺者に直接権利移転する遺言の場合(いわゆる遺産分割協議が不要な場合)は、未分割での申告は出来ません。
仮に、遺言が直接権利移転の内容であるにもかかわらず、それを無視して、遺産を未分割として相続税の申告をした場合、その後に「更正の請求」をしても認められない、と考えられます。
小規模宅地等の特例など、各種特例の適用が出来ない、ということも意味します。
ちなみに、直接権利移転する遺言といえば、特定遺贈などが該当します。
分割協議が必要な場合は未分割申告は可能
遺言の内容が「相続分の指定」であったりする場合、遺産分割協議が必要になってきます。
そして、遺産分割協議が相続税の申告期限までに整わない場合、遺言があっても、未分割申告することになります。
このような場合には、後に遺産分割が整えば、更正の請求をすることが出来ます。
遺言の内容と未分割申告の可否の一覧
どういった遺言の内容が「直接権利移転、もしくは遺産分割協議が必要」なのかは、以下のとおりになります。
遺言の内容 | 記載例 | 分類 | 未分割申告 | ||
---|---|---|---|---|---|
遺贈 | 特定遺贈 | 〇〇の土地をAに遺贈する | 直接権利移転 | できない | |
包括遺贈 | 全て | 全ての遺産をAに遺贈する | 直接権利移転 | できない | |
割合 | 遺産の3/5をAに、2/5をBに遺贈する | 分割協議要 | 出来る | ||
相続分の指定 | 遺産をAおよびBに1/2ずつ相続させる | 分割協議要 | 出来る |
動画で解説
遺言書があるけど未分割申告は可能かどうかについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。