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未分割申告になる主な3つのパターン

遺産分割が相続税の申告期限までにまとまらない場合、未分割の状態でいったん申告をします。

これを未分割申告と呼びます。

以前は民法上、遺産分割に期限はありませんでした。

しかし現在は法改正により、相続開始から10年という区切りが設けられています。

10年を経過すると、生前贈与や介護の苦労などの特別な事情が考慮されなくなります。

そして、話し合いがまとまらず調停などになった場合は、原則として法定相続分で画一的に分けることになります。

ただし、相続人全員の合意があれば、10年経過後でも法定相続分以外の割合で分けることは可能です。

それ以上に注意すべきなのは、相続税の申告期限です。

相続開始から10ヶ月以内に遺産分割が終わらないと、様々な特例が使えなくなり、税金が高くなる恐れがあります。

遺産分割の期限
遺産分割の期限
一般的には遺産分割の期限と言えば、相続税の申告期限

未分割申告になってしまう主な理由は、以下の3パターンです。

  1. 相続人間で争いが発生し、申告期限までに遺産分割がまとまらないケース
  2. 申告期限までにすべての財産を把握しきれていないケース
  3. あえて未分割のまま申告するケース

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3つ目のケースは、相続人にもうすぐ18歳になる未成年者がいる場合などです。

未成年者が成人するのを待ってから遺産分割を進めるために、あえて未分割申告を選ぶことがあります。

本来、未分割申告は極力避けるべきですが、こうした理由からやむを得ず選択するケースもあります。

せざるを得ない
せざるを得ない
未分割申告は極力避けるべきですが、せざるを得ない場合もあります。

ちなみに未分割の遺産については、法定相続分などの割合に従って取得したものとみなして相続税額を計算します。

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未分割申告のデメリット

未分割申告の最大のデメリットは、有効な相続税対策が使えなくなることです。

具体的には、税額を大きく減らせる特例の適用が受けられません。

さらに恐ろしいのが、資金繰りの問題です。

特例が使えない状態の高額な相続税を、申告期限までに現金で一括納付しなければなりません。

亡くなった方の口座が凍結されている場合、現在は「預貯金の仮払い制度」を使って一部の現金を引き出すことは可能です。

一つの金融機関につき、相続人1人あたり最大150万円までは引き出すことができます。

ただし、この上限額は口座残高や引き出す人の法定相続分に応じて計算されるため、必ずしも150万円全額を引き出せるわけではない点に注意が必要です。

なお、仮払いを受けるには、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本など、金融機関窓口での手続き書類が必要になるため、ある程度の手間と時間はかかります。

さらに、相続税が数百万円から数千万円と高額になるケースでは、焼け石に水となることも多いです。

結局は相続人が一時的に多額の現金を自腹で立て替える事態に陥りかねません。

後から分割がまとまって還付を受けられるとしても、一時的な立て替え払いは精神的にも金銭的にも大きな負担となります。

また、2024年4月からは相続登記が義務化されました。

遺産の中に不動産が含まれている場合、遺産分割が長引いて不動産を相続したと知った日から3年以内に登記ができないと、10万円以下の過料の対象になる恐れがあります。

ペナルティを避けるためには「相続人申告登記」などの手続きを行う必要があり、未分割状態が続くことは不動産手続きの面でも大きなデメリットになります。

損する
損する
未分割申告は損をする確率が高くなる

未分割申告の主なデメリットは以下の通りです。

  1. 税額軽減等に関する各種特例が使えない
  2. 基本的に物納ができない
  3. 納税猶予が適用されない
  4. 一時的に高額な税金を立て替え払いする資金繰りの悪化に陥る

未分割のまま、あるいは共有状態で相続した場合でも、相続人全員が足並みを揃えて共同申請すれば物納自体は可能です。

しかし、遺産分割すらまとまっていない状態で全員の同意を得るのは現実的に極めて困難です。

そのため、実質的には物納できないと考えた方がよいでしょう。

スムーズに物納するには、少なくとも物納したい財産について「誰が取得するか」の遺産分割(一部分割)を終わらせる必要があります。

未分割申告によって使えなくなる各種特例

以下の特例は、未分割の状態では使えなくなってしまいます。

  1. 配偶者に対する相続税額の軽減
  2. 小規模宅地等についての相続税の特例
  3. 特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例
  4. 特定受贈同族会社株式等についての相続税の課税価格の計算の特例
  5. 農地等についての相続税の納税猶予
  6. 山林についての相続税の納税猶予及び免除
  7. 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除
  8. 医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除
  9. 医療法人の持分についての相続税の税額控除
  10. 個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除

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1から4の特例については、救済措置が用意されています。

相続初心者の方にとっては、特に1と2の特例が重要になるケースが多いです。

未分割のまま行う最初の相続税申告の際に、申告期限後3年以内の分割見込書を一緒に提出しておきます。

そして申告期限から3年以内(つまり、亡くなってから3年10ヶ月以内)に遺産分割を完了させます。

その後、分割された日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行えば、特例を適用できます。

納めすぎた相続税がある場合は、その分の還付を受けることができます。

税金還付
税金還付
納税済みの相続税額が多かった場合は、その多額であった部分の金額は還付されます。

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逆に、仮の申告時よりも多く遺産をもらった人は、追加で税金を納める手続き(修正申告)が必要になる点には注意しましょう。

この場合、期限内に「分割見込書」を出して適法な手続きを踏んでいれば、追加の税金に対する過少申告加算税などのペナルティはかかりませんので安心してください(※納付日までの延滞税はかかる場合があります)。

ただし、裁判や調停などでどうしても3年以内にまとまらない場合は、別途手続きがあります。

「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出することで、期限を延長することが可能です。

この承認申請書には「申告期限から3年を経過した日の翌日から2ヶ月以内」という非常に厳格な提出期限があるため注意が必要です。

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一方で、5から10の特例にはこのような救済措置はありません。

納税猶予などの特例は、申告期限の時点で「誰が事業や農業を引き継ぐのか」が確定し、実際に事業等を引き継いでいないと利用できない仕組みだからです。

申告期限までに遺産分割が確定していないと、絶対に適用されません。

このように、未分割申告は金銭的な損失や一時的な資金ショートにつながる可能性が非常に高い手続きです。

遺産分割協議が長引くことは、相続人同士の精神的な負担にもなります。

未分割申告のデメリットを相続人全員で共有し、なるべく早く協議をまとめることが大切です。

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