相続財産を想いの側面からでも捉える
相続でもめる原因には様々なものがあります。
今回は相続財産という側面から、もめる原因を見てみましょう。
財産を相続する時に、その財産を数字的側面、いわゆる財産評価額だけで見た場合、相続はもめやすくなります。
逆に相続財産を被相続人(亡くなった方)の想いや、あなた(相続人)の想いで捉えなおした時、相続はあまりもめません。
相続財産を想いの側面から見る。
どいうことでしょうか?
例えば被相続人を父、相続人はあなたと他の兄弟2名とします。
父とあなたは車が好き。
他の兄弟2名は車にはまったく興味がなかったとします。
父が生前によく乗っていた車にもあなたは乗っていた。
初めて車を乗ったのが、その父の車でもあった。
そのうち自身でも車を購入したが、昔から乗っていて愛着もあったことから、たまに父の車に乗ったり掃除などもしていた。
そんなある日、突然父が他界した。
そして遺産分割協議をすることに・・。
中古の車で価値はまったくなさそう。
でも、あなたはこの車を相続したい。
父や自身の想い入れがある車。
これは私が相続したいし相続するべきもの。
父の形見として、この車は私が相続する。
あなたはきっとそう思うでしょうし、この時点で他の兄弟も反対しないでしょう。
でも、以下のような場合になったら、どうでしょうか?
相続の申告作業の過程で税理士さんが車を査定したところ、たまたまその車が中古として「ものすごい価値がある」ことが判明。
なんと、その車を売りに出したら数千万円もすることに・・。
他に財産と呼べるような相続財産はない。
この状況で他の兄弟は果たして何も言ってこないでしょうか?
それは分かりません。
長年、相続業務に携わっていますが人間の心は分かりません。
他の兄弟の方も、その車を欲しいということになるかもしれませんし、ならないかもしれません。
ただ一つ言えるのは
- 相続財産を想いの側面から見るのか?
- 数字(財産評価額)の側面から見るのか?
で、答えの傾向は分かります。
もうお分かりだと思いますが、他の兄弟も相続財産を想いという側面から見れば、あなたが車を相続することに反対する確率は減ります。
逆に、相続財産を数字(財産評価額)という側面から見れば、あなたが車を相続することに反対する確率は高まります。
そして、どちらが良くて悪いかという話しではありません。
人間であれば、お金をたくさん欲しいと思うのは当たり前です。
ただ、もめる相続になりにくいのは、相続財産を想いという側面から見た場合です。
もしも
- 遺産分割がまとまらない
- 他の相続人の顔も見たくない
などの相続トラブルが発生した場合には、相続財産を想いという側面から見てみるのもいいかもしれません。
動画で解説
もめる相続を防ぐには?について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。