孤独死の現状
孤独死大国と言われる日本。
なんとその数は年間6万人以上とも言われています。
ある意味、相続税対策で頭を悩ませられる人は幸せなのかもしれません。
家族や親戚などの身寄りがないまま、一人で死んでいく・・。
そんな孤独死の予備軍は1000万人とも言われています。
相続税対策のニーズはもとより、孤独死した人の遺品整理のニーズも高まっています。
この孤独死はお年を召した方だけではなく、中高年にも多いそうです。
そして、もしも相続人がいれば、相続税が発生するような財産がある方の孤独死も珍しくはありません。
相続人が不在の場合の相続
配偶者や子供などの相続人がいなくて、かつ遺言書がない場合には、裁判所によって相続財産管理人が選任されます。
その相続財産管理人は相続人の捜索をしたり、亡くなった人の財産を管理します。
(管理には不動産や株などの売却・処分、債務の返済なども含まれます。)
相続人の確認調査から6ヵ月後に相続人がいないことが確定すると、特別縁故者が相続できる可能性が出てきます。
特別縁故者とは
- 被相続人の同居人
- 被相続人の介護者
- 被相続人の内縁の妻
- その他被相続人と特別な縁故があった人など
のことです。
ただし注意点は、特別縁故者は相続財産管財人が探し出してくれません。
特別縁故者ですと自分で名乗り出る必要があります。
そして名乗り出た特別縁故者に
- 財産の相続を認めるかどうか
- 全部相続させるのか、それとも一部だけ相続させるのか
などの判定は、家庭裁判所の裁量に委ねられています。
そして特別縁故者もいなかったり、特別縁故者へ相続した後でも、財産が残っていれば国庫に納められます。
また、特別縁故者もいない・遺言書もない場合には遺産のすべては国庫に納められます。
国のものになるということです。
そして、相続人が不在で国庫に納められる遺産は年間700億円を超えます。
孤独死になりそうな場合には、養子縁組や遺言書を考えよう
相続人がいなくても、遺言書があれば、遺言通りに財産を残せます。
もしも財産を相続させたい方や寄付したい先がある場合には、必ず遺言書を書いておきましょう。
ただし、遺産を奪う目的の怪しげな団体もあります。
寄付の場合は騙されないように注意しましょう。
そして、内縁の妻(夫)には相続権する権利がありません。
内縁の妻(夫)が特別縁故者として申し出て、遺産を相続できるかもしれませんが、確実に内縁の妻(夫)に遺産を相続させたいのであれば、遺言書に明記しておきましょう。
また、遺産を相続させたい人がいる場合には、その人を養子縁組する方法もあります。
もちろん、本人の同意は必要です。
養子縁組をしたら、その人はもう相続人と同じ取り扱いとなります。
養子縁組についての詳しい内容は、養子縁組を活用した相続税対策はメリットもデメリットも3つに記載しています。
私は天涯孤独で相続は関係ない。
実はそんなことはありません。
遺言書を書いたり養子縁組をすれば、国に財産が納められることもなく、通常通りの相続が発生します。
通常通りの相続が発生する。
その場合には相続税対策を考えてみるのもいいかもしれません。
寄附する方法もあります
一人も相続人がいない場合、遺産は国のものになります。
ただ、遺産を有効に使ってほしい、何かしらの社会貢献をしたい。
そのような場合には、遺産を寄附することも一つの手です。
- NPO法人
- 慈善団体
などの公益的な活動に遺産を寄付するということです。
寄附をしたい場合には、遺言が確実に執行されるためにも、公正証書遺言を作成し、弁護士や税理士などの専門家に遺言執行人をお願いしましょう。
財産が機械的に国のものになるよりも、ご自身の信条の沿った寄附は、遺産の有効活用という点や、心情的な面でも納得度や満足度が大きく違ってきます。
- 相続人が一人もいない
- 特に遺産を譲りたい相手もいない
そのような場合には、遺産の寄付を検討されるのもいいかもしれません。
ただし、詐欺まがいの団体から寄付をするよう勧誘されることも考えられますので、寄付をするときは十分注意をしてください。
孤独死の相続について動画で解説
孤独死の相続について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
今回は相続人がいない場合の相続、いわゆる「孤独死の相続」についてお話しを致します。
配偶者や子ども、親兄弟など、相続人に該当する人が誰もいない方が亡くなった場合、家庭裁判所によって相続財産管理人という人が選ばれ、亡くなった人の遺産が管理されます。
そして、この相続財産管理人が相続が発生してから、6ヶ月を経過するまでに亡くなった人に相続人となる人が、本当にいないのかどうかを調査します。
調査の結果、相続人に該当する人がいなければ、故人の財産は生前にその方と特別な関係にあった方(いわゆる特別縁故者)に相続をされる可能性が出てきます。
ちなみに特別縁故者とは、たとえば亡くなった人の同居人や、亡くなった人の介護をされていた方、亡くなった人と内縁関係にあった方などをいいます。
特別縁故者の相続を認めるかどうか、また、全ての財産を相続させるか、それとも一部の財産だけを相続させるのか、といったことは家庭裁判所が判断をします。
また、特別縁故者として財産を相続するには、自分から特別縁故者であることを名乗り出なければならない点にも注意が必要です。
さて、もし特別縁故者もいない場合や、特別縁故者へ全ての財産が相続されなかった場合、残った遺産はすべて国庫、つまり国に納められます。
年間400億円(現在では700億円)もの遺産が国に帰属しているとも言われています。
ご自身に相続人がいない場合でも、国に遺産がいくのが嫌であれば、生前のうちに遺言書を作成して遺産の行き先を決めておきましょう。
また、特別縁故者に該当しそうな方に財産を遺したい場合も、その方が特別縁故者として財産を受け取れるかどうかは不確実ですので、遺言書を記載して遺産が確実に行き渡るようにしましょう。
遺言書以外の方法としては、財産を残したい相手と話し合って、養子縁組をするという方法もあります。
また、財産を遺してあげたい人がいない場合は、お世話になった団体やNPO法人、慈善団体などに寄付をするというのも一つの手です。
ただし、詐欺まがいの団体から寄付をするよう勧誘されることも考えられますので、寄付をするときは十分に注意をしてください。
相続人がいない方は今日を機会に、ご自身が納得のいく財産の行き先をぜひ考えてみてください。